3 宿屋
イリスのあとを追いかけてイリスより少し遅く宿屋に入った。
「こんばんはー....あ、イリスだ」
先に来ていたイリスが部屋を取ろうとしてくれている。
「あ!蓮人君!!聞いて~!金がない!!!ください!」
「あげねーよ」
自分の宿代は払うがイリスのまで払う必要はない....
いや、でもイリスは命の恩人だし俺のせいで女神をクビにされたようなものだ...
「なんで!!ここは日本円で払えるよ!どうせ、いっぱい持ってるでしょ!銀行強盗で死んだんですもの!」
思い出した。銀行強盗で死んだ、金をほぼ入れた後に。
「あげるあげない以前の問題が発生した。俺は金をほぼ持ってない...」
「.....じゃ、帰るか!」
「え?ここまで来たのに?」
イリスの帰る発言に俺は困惑する。
「そういえば、宿代何円?」
払えないだろうけど一応聞いておく。
「2人で10円...」
???
「ん?」
「10円だよ!」
「持ってるよ」
「わーお!持ってるんかい!!」
逆に銀行に全部入れ、無一文で銀行を出る人のほうが少ないのでは?
「持ってる。はいこれ、」
イリスに10円玉を渡す。
この世界の物価は安いのか?それともこの宿がおかしい?
ほぼ入れたといっても500円弱ぐらいは持っている。
「宿代って日本だと2人で1万円くらい?」
「......わかんない、安くてそのくらい?」
会計をすましたイリスが答える。
「つまり、いま日本だと250000円持ってるぐらい?」
「た...多分、暗算苦手だからわかりません」
「ま、それよりも先に部屋入るか!」
「そうだね!」
「おっじゃましまぁ~す!!」
元気よく近所迷惑になるくらいの声であいさつするイリス。
「夜は静かにしような...」
「はい...あ!話の続き!!」
「ゲーム、アニメ以外の人もいてその人達は普通にしゃべるよー!あとはメイン人物も」
急にさっきの続きを話しはじめた。
「え?じゃあ誰が普通にしゃべらないんだ?」
「モブと、マイナーキャラかな」
「それならよかった」
これで好きなキャラが死んだりするのを防げる。
「よかった?このゲームに好きなキャラいないでしょ?」
「それもそうだな....」
イリスの言うとおり、好きなキャラがいない。
それどころか知ってるキャラもいない。
「あ!この宿ね!なんとなんと!」
また元女神が騒ぎだした。
「なんだ?もったいぶらないで教えてくれ」
「少しくらいもったいぶったていいでしょ!で、なんだっけ?覚えてる?」
覚えてる?って数秒前のことじゃないか...
「この宿がなんとなんと!!、とか騒いでたよ」
「思い出した!近くに武器やがあるって教えてくれた!」
めっちゃ簡単に思い出すな...
「それは嬉しい、俺の今持ってる装備は初期装備はヒノキの棒だけだからな」
「それで、スライムに挑もうとしたんだ.....」
「いやっ!それは知らなっかただけでな!」
「命大事にね?」
イリスが笑顔で覗き込んでくる。その笑顔がなぜか怖い...
「イリス...怒ってます?」
もし怒っているとしても原因がわからない。
「いや?怒ってないけど、せっかく助けるために女神をクビになったのにそんな装備で挑んでいたことを知ったら私がいないと死にそうだなーと思い忠告をしただけですが?」
え?怒ってますよね....?
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