1 転生
俺、谷川蓮人17歳の高校2年生
今、銀行強盗の人質になっています。
パァン
と銃声が響き渡る。
銃に撃たれた人はそう、俺だ。
「俺にその銃を撃ったこと…を後悔す…るが良………………」
あ…これ死んだなぁ
そして意識を失った。
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「私は女神です。あなたの死因は散々カッコつけた挙句、銀行強盗に撃ち殺されたということです。」
そう女神が告げる。
わざわざ散々カッコつけた挙句、と言われた。そこまで言わなくても良くないか?
でも、あんなにカッコつけたのに本当にダサい死に方したなー、と実感した。
どうせならカッコつけずに大胆に痛がって死ねばよかった。
「さぁ、どうしますか?選択肢は3つ。」
「一つ目はこのままもう転生しない。」
「二つ目はまたこの世界、日本に転生する。記憶は残りません。」
「三つ目は…」
「記憶を残したまま能力を一つ選んで異世界転生する、だろ?」
俺が死んでも落ち込まなかった理由、死んでも転生出来ることを信じてたからだ。
「レントさん、不正解です。正解は能力を選ばずに記憶を残したまま異世界転生する、です。」
「…」
まぁ、異世界転生できるならいいだろう。能力は欲しかったが…、すごく期待していたが…
「そのかわりですが、転生先の世界は選べます。お好きな世界を選んでください。」
「マジか!じゃあ、あのッ今期のアニメの…」
ああ、どれにしよう、メッチャ悩むじゃん。
「期待しているところ申し訳ございませんが転生者は一作品に三人までという制限がありまして、大抵のアニメは埋まっております。」
「え?」
俺の期待は何回壊されるんだ?
「ですので、今空いているのとなりますと相当マイナーなゲームとなります。」
「え?」
マイナーなゲームを知らない人はどうしたら良いのでしょうか?
「レントさんが転生できる世界は日本です。」
「あとは、レントさんの友達が作っていらっしゃったゲームですね。10分ほどプレイしたことがあるようです。」
そんなことあったか?覚えてないな、まあ10分しかプレイしてないようだし覚えてなくて当然だ。
「まぁ、どうせ日本行っても記憶ないから知り合いに会えないだろうしその世界にしておくよ。」
「了解しました。では、行ってらっしゃい!」
俺は目を開いた、そしてこの目の前に広がる大地を見て思った。
これは紛うことなきクソゲーだということだ、ということをだ。
この、のっぺりした何もない大地、不自然な森、たまにポツンとある村。自作ゲー感が半端ない。
そもそも俺の友達が作ったゲームだ。一般人の自作ゲームで俺がプレイした時間が10分、相当すぐ終わるもしくは…相当の時間を使うクソゲーということだ。
とりあえず、俺が今いる所から一番近い村に行ってみよう。
「あ、スライムだ…」
RPGと言ったらこのモンスターだ。大体のストーリーがこいつを倒す所から始まるだろう。
サクッと倒して次に行こうじゃないか。
初期装備は、ヒノキの棒か…
もう少し強そうな物が欲しかったが、まぁ今倒すべきモンスターはスライムだ。ヒノキの棒でも倒せるはずだ。
「よしっ!」
(レントさんっ!!私女神です!今、あなたの脳内に直接語りかけてます!!)
「!?…どうかした?」
(本来転生した方には話してはいけないのですが…)
(緊急事態なので聞いてください!この世界ではスライムは強いです!死にますよ!)
「マジで?まぁ、死んだら死んだで、蘇生して貰えばいいじじゃないか」
(ないです!ありません!死んだら終わり!蘇生システムがないゲームです!コンテニューも出来ません!)
「え?」
俺のまわりにいたスライムはいつの間にか仲間を呼んで増えていた。
「俺のまわりにはスライムがもう既に5匹ほどいて回り込まれているんだが...どうすればいいでしょう。女神様」
(……死んで下さい、としか言えません。)
「ちょっ!?女神様!?!?マジですか!?」
見捨てられたなぁー、死ぬなぁー、
(…………女神として見殺しにするのはどうかと思います。ですので…ルール違反ですが、今からそっち行きます!助けに行きます!)
「え?どゆこと?」
(だから助けに行くんですよ!!私が!)
「え?俺、見殺しにされないの?」
「そうですよ!!!」
その瞬間、目の前が光り輝いて目が開けられに程にフラッシュした。
目を開けたら、俺の前にには女神がいた。
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