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ABSOLUTE CONTROL ~リアルの呪文をあげる  作者: メイズ
穏当な帰結と当惑の帰趨
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改良型変装スタイル完成〈ヨネリ〉

ついに99話目になってしまった _〆(。。) ナガクナッチマッテ ゴメンナ

 考え事をしながらいつのまにか眠っていた私。


 瞼の裏に明るさを感じて、7時半過ぎに目覚めた。


 ベッドの中でごろごろしながら今日と明日のスケジュールを考える。


 今日は土曜日。月曜日からは早速 落花生高校に出勤しなければならない。


 春休み中に新入生を迎える準備や、進級にて発生する細かな準備についてのお知らせが届いてる。初日の配布物のプリントや親権者に記入提出してもらう書類配布の用意もたいへんらしい。



 ーーーその前に取り急ぎやらなければならないのは‥‥‥私の変装準備よ。


 こうなったらもう、イネリに似せようとか、そんなんじゃダメなのよ。



 イネリは履歴書とプロフィール写真を学校側に提出してある。もし、余りにも別人が現れたらどう思われるかしら? 不審に思われちゃう?


 けれど、通常でも写真と実物の印象が違う人だっているものよ。


 それに今や写真なんて加工し放題だし、SNSでアップしてくる写真と実物って詐欺だろってくらいぜんっぜん違ってビックリなことってあるじゃない?


 前にコンビニ前のボックスで証明写真 ¥800で撮ったら、下の方に無加工証明がついてきてたし、それって今や写真は美形に加工するのが当たり前くらいになっちゃってるってことの表れよね?


 時間が経てば実物の顔だって変わるものだし、リアル整形する人だっている。


 提出写真と全然違ってたって何とでも言い訳はあるわ!


 ましてイネリはうつ病ってことになっていて病院の診断書だって提出していた。


 イネリの得意技、"すがるような涙目のお願い上目遣い効果発動" で、病院の先生も異例の長期の『5ヶ月相当の休養が望ましい』って診断書を書いてくれたとか。あの子があれしたら大抵の男は逆らわないらしい。


 5ヶ月間(わずら)うって相当よ。だから提出写真よりすっごくやつれて老け込んでいた人が現れたとしても、病気だったからって向こうも余り深入りはして来ないんじゃない?


 最近はそういう見た目であーだこーだいうのもハラスメントになるし。



 今度の学校では私はヨネリだとバレないようにすることが大切なのよ!


 だって、現に業村ゴウシくんが学校にいるのよ? 


 誤魔化すには、10才くらい年を上に見せるしかない。年代が違えばきっと私だって気づかれないよ。


『あなた、プロフィール写真よりずいぶん老けてますけどどうしたんですか?』


 なーんて、面と向かって言ってくる大人はいないでしょ。たぶん。



「キテュンちゃん、これで行けると思う?」


 枕元にいたぬいぐるみを引き寄せ同意を求めた。


「‥‥‥そう、ありがとう。キテュンちゃん」


 この顔はいいって言ってくれた顔なの。



 さてと、今日は学校用の洋服とメイク用品を買いに行かなければ。もう通販では間に合わない。


 私はベッドから出て支度を始めた。



 私は街行く実際の人を観察し、参考にして30代後半位に見えそうな衣服を購入し、使えそうな色のアイシャドーとペンシル類を2本、ベースカラーなどを揃えた。



 何とか昼過ぎには部屋に戻れた。


 昨日に引き続き、両手に大荷物の紙バッグと共に。



 あーあ。こんな時、私にもイネリみたいに秘密を共有出来る彼氏がいればいいのにって思う。


 私には無理。とんだ親のトラウマで。誰かを本気で好きになるなんて多分ない。結婚なんてありえない。


 一人きりでどうにか生きて行くしかない。


 それが出来なくなったら‥‥‥イネリがこのあと結婚して幸せになったら、もう私なんてもう消えてしまったって、どうなったって‥‥‥



 私は買ってきた洋服を取り出しタグを切って姿見の前で早速フィッティング。

 顔より洋服に目が行くようなインパクトのある服を3着上下合わせてチョイスした。



 うっわー‥‥‥


 このペイズリー、私がこれを着るのね。ミドリムシ‥‥‥


 このカーテン生地のような小花パターンのメルヘンブラウス‥‥この首回りのヒダ。これ、むかーし見たおばあちゃんちの座布団の縁を思い出す‥‥‥



 これ、私着てくんだ‥‥‥

 これ着て外に出るのって結構な勇気要るよ?



 私は鏡を見てかなりの絶望したけど、これもかわいいイネリのためだから耐えるしかない。



 後はプラス10才メイクを試そう。


 私はネットで見つけたコスプレイヤーの中年キャラ作りのメイク動画を参考に、顔にアイライナーで陰影のシワを入れて、更にひと昔前流行ったらしきまつ毛の先までマスカラびっちり目力(メヂカラ)メイクをしてみた。


 ‥‥‥すごい! メイクだけでこんなにも変われるなんて。


 まるで別人だわ。


 これなら誰も私がヨネリだって思わないはず。



 自信を深めた私。



 これで月曜日から出勤よ。  


 出勤スタイルが決定してホッとした私。



 でも、これはイネリには黙っておこうっと。


 私のこの姿を見たら‥‥‥そりゃ怒るよねぇ、さすがにあの子だって。このヤバいセンスの人がイネリとして出勤するんだもの‥‥‥



 ふと、ケータイを見るとイネリからと、以前の同僚の古谷さんからメッセージが届いていた。


 うふふ、イネリは元気そう。良かった‥‥‥


 イネリとカルラさんの二人の休日を楽しむ写真と風景写真も添えられていた。


 ほほが緩む私。


 イネリがこんなに楽しそうに笑ってる。


 バンコクに送り出して良かった‥‥‥



 古谷さんは‥‥‥なあに? どうしても解けない問題があるって?


 タイにいることになってる私にわざわざ数学の質問してくるなんて。会社には他にも数学講師は何人もいるのに。 


 変わった人ね。


 古典を伝授してもらった恩もあるし、私は数式の解説と回答、ついでに偽装工作で、ヨネリの送って来たアユタヤ歴史公園の風景写真を添付して送っておいた。



 さあ、これで落ち着いた。

 部屋のお掃除をして、食料品の買い出しに行こう。



 イネリのために頑張らなくっちゃ。






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