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ABSOLUTE CONTROL ~リアルの呪文をあげる  作者: メイズ
よみがえる思い出の中で
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キミドリさん(仮名)の証言 ~シロイの呪い〈如月〉

 ねえ、このクラスにXXXXって女子いんだろ? ちょっと呼んでくんね?


  ・・・・・ちげーよ!んなわけないだろっ!


 俺、その人見たこと無いし。顔も知んねーし。


 それに俺には他にずーっと前から忘れらんない好きな子いるし。

 

 なあ、XXXXってどんな子?



 ・・・・・へー、素顔は美人なのにすっげー変なメイクしてんの? 何で? 


 シロイの呪い? 何それ? 祟り神を怒らせた呪い? 


 あ、いた? あざー。



 ねぇ、君。悪いんだけど、話聞かせてくんね? ミドリさんから聞いてさ。あ、ミドリさんがキミドリさんによろって言ってたぜ。でさ、去年シロイさんからひどい目にあわされたんだって? 教えてくんね? そん時のこと。




 ーーーキミドリさん(仮名)の証言



 ・・・・・過ぎたこともう話したくないんだけど。ねぇ、あたしの方あんま見ないでくれる?


 だって、みんなあたしの顔見ると目をそらすし、バカにした目で見たりするんだもん。


 きっとあたしが・・・不細工だからだよ。見ればわかるでしょ?


 はっ?・・・あたしのメイクが濃すぎるせいだって?


 なあに? あなた、今初めて会った人に失礼じゃない?


 だってさ、素顔なんてぜーったい見せらんないよ。あたし目小さいってバカにされたことあるし。


 ・・・そうかな? メイクし過ぎで目が大きすぎて怖い? ほどほどの方が可愛く見える? そうかな? 一応外部意見として参考にさせてもらうかも。


 ・・・ファンデがロウ人形みたい? 厚すぎ? そうかな? だって毛穴がデカいってディスられてから気になっちゃてて。


 ・・・そうだね、あたしの顔初見のあなたが言うんならそうかも。・・・・・ふーん、塗るより素肌のお手入れが重要なんだ? あなたのお姉さんが教えてくれたの? ・・・・・ふーん。ありがとう。あなた、男子なのにお肌キレイよね。その毛穴引き締め効果類無(たぐいな)いっていうお手入れ方式、早速やってみるね。



 ・・・あなた、いい人っぽいね。いいよ。お礼に聞きたいこと話してあげる。


 あたし、あれ以来マジ色々分かんなくなっちゃてる自分がいるし。



 あれは4月の終わりごろだったかな?


 シロイさんがさ、あたしに言ってきたんだ。


『キミドリさんて和風美人だよね。目が細くて』


 あたし、そんなこと思ったこと無かったのにそう言われて、自分の目が気になりだしちゃったの。


 だって、それって褒めてるようでディスってるでしょ?

 それで、太めにアイライン入れるようにしたの。


 それからちょっと経ってからシロイさんが、


『これ、ナイショだよ? 昨日ミドリさんがさ、キミドリさんって何かちょっと残念な美人だよねってシルバくんに言ってたの聞いちゃった。昔っぽい地味顔だって』


 ひどいって思った。ミドリはあたしがシルバくんのこと好きなの知ってるくせに。


『きっとキミドリさんがアイライン入れて余計綺麗になったからジェラシーだよね。気にしない方がいいよ』


シロイさんはそう言って慰めてくれたのよ。



 それからもシロイさんは次々あたしにこっそり教えてくれたの。


『この間さ、ミドリさんが私にね、キミドリさんて毛穴が目立つよね。あれで美人も台無しだよねって言ってきたから、私、そんなのファンデでかくせるから関係ないよっと言っといたよ。キミドリさん美人だから嫉妬されてるんだよ。ミドリさんには気をつけた方がいいよ』



 あたし、あの真面目で優秀できちんとした大人しいシロイさんがあたしに嘘をついてるなんて思いもしなかったの。


 あたしはミドリに対して段々疑心暗鬼になっていって、ミドリの方もなんだかあたしに対してよそよそしい態度が目につくようになってきて、段々話すことも少なくなっていったの。


 その内ミドリにシカトされて、だからあたしも全く話さなくなったんだ。




 それからね、妙な噂が流れてきたの。


 あの親切で優しいシロイさんがあたしとミドリの悪口を言ってたっていう。


 彼女、あたしたちのおしゃべりで迷惑してたみたいなの。


 それであたしたちを仲違いさせるためにそれぞれに嘘をささやいていたんだわ。


 迷惑だったら、そう言ってくれたらあたしは気をつけたのに。



 ミドリのこと誤解してたってわかった時にはもう手遅れだった。



 それを今更知ったとて、あたしの気の合う親友だったミドリとは元の関係には戻れなかった。


 もう、あたしたちはそれぞれ別のグループの友だちと過ごすようになっていたし。



 もう、シロイさんとは関わりたくないわ。

 何か空恐ろしいオーラを感じるの。



 えっ?あたしの素顔の写真を見てみたい?


 無理無理! 絶対ダメ。



 えっ? あなた今シルバくんとおんなじクラスなんだ?


 あたしの言ったこと絶対に言わないでね! いい?



 ・・・・・それ、ほんとう?


 シルバくんの好きなタイプはナチュラルな人?

 落ち着いた雰囲気の浴衣の似合う子が好きって言ってたの?

 


 ・・・・・そんないきなりこのメイク変えるなんて無理だって。


 ・・・そうかな?


 ・・・ホントにそう思う? でも怖いよ、あたし。


 素顔なんて二度と誰にも見せらんないよ。




 一生誰にも・・・・・ 


 

 

 


 


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