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ABSOLUTE CONTROL ~リアルの呪文をあげる  作者: メイズ
挿話 それはピュアな片想い 
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ライダくんに相談

 次の日曜日の夜、思いきってライダくんに連絡を取った。


 あたしの中で芽生えたこの気持ち、この勢いは自分でも止められなかったの。




 二日前の金曜日の夜、


 あたしが素顔に戻ったら、パパもママもお兄ちゃんもすごく喜んでくれた。


「リン、なんかあって急に目が覚めたのか? ううん、言わなくてもいい。リンが元に戻ったんだから・・・」


 お兄ちゃんがあたしを放したと思ったら、今度はあたしの両肩を掴んで顔を見ながらうるうるしてる。


 あたしは心の中で津田沼くんのこと思い浮かべた。


 あの、帰り際、最後に見せた照れた笑顔と後ろ姿・・・


 津田沼くん、今のあたしを見たら何て言ってくれるかな?



 ねぇ? 『俺が思った通り、素顔の方がイケてるぜ!』って言ってくれますか?



 あたしはそれから津田沼くんのことで頭の中がいっぱいになってしまった。


 ベッドで目を瞑っていても浮かぶのは彼の事ばかり。


 あたし、津田沼くんのお陰で素顔に戻ることが出来たの。自分で自分がおかしくなっていることはわかってた。それでも今までメイクをやめることは出来なかった。


 きっかけをくれた津田沼くん。


 ・・・あたしの呪いを解いてくれた恩人。


 まるでおとぎ話に出てくる、白馬に乗った王子様みたい。


 愛の口づけで悪い魔女にかけられたお姫様の呪いを嘘みたいに解いてしまう物語。


 そうよ、闇の魔法に囚われていた美しき姫のあたしの心を偶然通りかかった白馬の王子様の津田沼くんが救ってくれたの。


 そして、見つめ会った二人はそのまま恋に落ちて、それから・・・



 やだ・・・あたしったら。何想像しちゃってるの? 恥ずかしすぎるっっ!


 あんなに素敵な人だもの。きっと彼女がいるに決まってる。でも、いないかも。

 好きな人はいるのかな? いるよね、きっと。でも、今はいないかも。


 あたしはちょっと幸せなで妄想でほわほわしながらいつの間にか眠りに落ちていた。


 ここしばらくは感じた事のないような温かく幸せな眠りに・・・



 土日の予定は全てキャンセルして、家で過ごした。


 それでもこのまま外に出るのは怖くて。


 でもあの念入りメイクはもうしたくない。だって津田沼くんにあの顔を見せるなんて恥ずかし過ぎる。


 このあたしの心境の180度の変わりようと、それでもつきまとう素顔への戸惑い。



 そうだ! ライダくんに相談してみようかな?



 だって、ライダくんは去年のクラスのリーダーだったし、宇良川ルルスさんに対抗出来るただ一人の人だった。彼女の被害にあった人はライダくんの庇護の下、なんとか1年を乗り越えた。


 ライダくんなら信頼出来る!



 あたしは夜になったらライダくんに連絡してみようと決心した。


 そして私のこの素顔を思いきって見てもらうの。

 家族以外に見せるのはちょっと怖いけど、私、がんばる。


 だって、津田沼くんにあたしの素顔を見て欲しいから。


 その勇気を作るの。




 夜、9時前位にライダくんにメッセージを送ってみた。


『急にごめんね。お話したいことがあるの。今、ビデオ通話出来る?』


 あたしのメッセージ、気がついてくれるかな?


『いいぜ。どうしたんだよ?』


 すぐに返事が来た! ラッキー! なんだかいい予感。


 早速ビデオ通話に切り替えた。



 あたしは画面に映る自分を見ながら表情を作ってみる。髪を手ぐしで手早く整えた。


「・・・どうかな? 私」


 ドキドキ・・・なんて言うかな? 


 ディスプレイであたしと並んでるライダくんの表情を見てる私は、自分で見ても緊張してるのがわかるくらい。


「どうって・・・あのメイク止めたんだ。かわいいじゃん。こっちの方がずっといいぜ」


 ライダくんの驚きと笑顔。


「本当に? 家族もそう言ってくれるけど、自信がなくて怖いの。ライダくんがそう言ってくれるならちょっとだけ安心した」


「ちょっとだけかよ? はん?」


 ふざけてすねた顔がかわいい。


 あたしはここで思いきって今日のメインテーマを切り出すことにした。


 ごくりと喉が鳴る。


「うん。あの・・・突然なんだけど、津田沼くんと仲いいんでしょ? あの・・・津田沼くんって彼女いるのかな? 好きな人いるのかな?」


「さあな、俺の知ってる限りじゃ いないみたいだけどな」


 ・・・そうなんだ・・・うふっ


 ほっとした。ちょっと緊張がほどけたのが自分でわかった。



「ホントに? じゃあ、私にも見込みあると思う?」


「本気なのか? いい加減な気持ちじゃねーだろうな? キサラはかっけーし、ちょっとチャラく見えるけど女の子には真面目なんだ。ただの気まぐれだったら止めてくれよ」



 急にコワい顔になったライダくん。


 あたし、ふざけて言っていると思われちゃったの?

 もしかしたら、ライダくん、これまでにも津田沼くんのこと聞かれる事何回もあったのかも・・・


 これは気まぐれではないよ? あたし、本気なのよ? 今、もし白銀くんに告白されたとしても交際は断るって断言できるくらい。


「そっ、そんなんじゃないよっ! 私、すっごい悩んで、すっごい勇気出してこうしてライダくんに連絡したの! 津田沼くんは私を救ってくれた王子様なの。私・・・本気なのよ・・・ふぇっ・・・ふぇーんっ」



 ライダくんに怒られて、あたし・・・

 勝手に涙が流れ出した。



「・・・ごっ、ごめんなさい。私・・・ふぇっ・・・泣いたりして・・・ぐずっ・・・」


 あたしは慌てて退散。


 最初に感じたいい予感は全くの気のせいだったみたい・・・



 あたしはティッシュを3枚引き出し涙を拭き鼻をかんだ。


 恨めしくスマホを斜めに見てたら、ライダくんからメッセージが来たみたい。



『今度の金曜日、キサラのバースデー!』



 やっぱライダくん! 優しい。


 とりあえず、あたしは津田沼くんにお礼をしたいわ。


 あたしも本当はこの気持ちを整理しきれてないの。



『あたし、津田沼くんのお陰で元に戻れたの。呪いが解けたお礼をしたいです。金曜日、頑張って美味しいお弁当つくるからライダくんと津田沼くんで食べて欲しいの。受け取ってくれますか? 津田沼くんにはあたしからだって言わなくてもいいです。ダメだったらそう言って下さい。』


『ったく、なんで泣くんだよ? それ、受けとるから、キサラにも食わせるって約束する。だからもうメソメソすんな!』



 さすがライダくんはみんなのリーダーだね。ぶっきらぼうなとこがあるけど、本当に優しい いい人。そうよ、だって、津田沼くんのお友だちなんだもん。



 訂正! あたしの予感は当たりました。



 なんか元気出てきた! 勇気湧いてきたような感じする!



 明日の学校。ドキドキだわ。クラスの子、私を見て何て言うかな?



 がんばれ、自分! 行け行け、リン!


 うん、あたし大丈夫かも。









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