離任式、そして新クラス〈ルルス〉
結局、永井先生は休職したまま学校には戻って来なかった。
春休み中、学校からお知らせメッセージが来て、永井先生は来年度は転任され、わりと上位高の中の中位である落花生高校へ転任になったのを知らされた。
最初からそっちの高校勤務だったらこんなことにはならなかったのに。運、悪かったね。永井先生?
3月も終わろうとしている春休みの体育館。
今日の離任式にも姿がない・・・
体育館の舞台に転任や退任される先生方が横一列に並んでいる。
そこにいるはずの永井先生はいない。
並んだ先生方の挨拶の最後に、永井先生からのありふれた挨拶文と私たち生徒へ向けられた餞の言葉が読み上げられただけだった。
私はちょっと気にかかってる。
ううん、永井先生が金谷くんなんかと付き合うからいけないのよ。
そうよ・・・・・
思い浮かぶ 私に向ける、あの笑顔を作ることを躊躇したような中途半端な笑み。
私をルルスちゃんなんて呼んだ事さえあった。
ふと、思った。
先生の中で、私はどんな存在だったの?
ーーーそんな風に体育館のステージ上を見ながらふと、慕情めいた想いがよぎったことさえ、忙しい日々の中で薄れて行った。
2学年に進級した私。
私と同じ理系を選択した榛原さんと根津さんと黒鳥さん。
この学校で理系を取る子は少数派。特に女子は。
今年、理系を取る女子は18名しかいなかったらしい。
理系は2クラスのみの、D組とE組。
私たち4人は揃ってD組となった。担任は同じく不知火先生。
これは偶然かしら?
ううん、きっと不知火先生の要望だわ。どうやら成績のいい生徒は他に回したくなかったようね。
金谷くんは文系を取ったのね。噂では、聞いてた。B組になってる。津田沼くんはA組。
良かった。同じクラスにならなくて。
私は2年D組ではリーダーシップを振るうことにした。
推薦によるクラス委員長を引き受けた。
生徒会役員に立候補の要請があったけれど、断った。
だってそんな誰にでも出来ることは他の人がやればいいの。私には私にしか出来ないことをするわ。私には鬼高フィランソロピーの会があるんだもの。これは最優先よ。
手助けが必要な人を直接助けることこそが私の生き甲斐。私の存在理由なのよ。
私の会は、今年度からは正式部活として認められることになった。
部員は既に2年生10名。新1年生の勧誘にもみんな動いくれてる。今年は外部地域にもボランティアに行けるといいのだけれど。
クラスも部活も順調に進んでた6月のある日。
・・・それって、予告も無く突然のことだった。
私、金谷くんとは いかばかりか縁があるようで。




