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ABSOLUTE CONTROL ~リアルの呪文をあげる  作者: メイズ
鬼胡桃高校 1ーD
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努力と結実〈ルルス〉

 12月。期末考査終了。


1週間後、素点確認も終わり、テスト結果が全て出揃った。



 あれからというもの、全てが順調に動いてる。


 鬼高フィランソロピーの会の顧問は不知火先生に引き継いで貰った。


 新規立ち上げの面倒な手続きや活動場所の調整等の大変な所は、永井先生がきっちりやっておいてくれた。


 休職となって、いつ戻るのかも知れない顧問の永井先生。


 代理の責任者の顧問名はどうせ名前だけだから、不知火先生が二つ返事で引き受けてくれた。


 半分は使っていない机や椅子、よくわからない教材や備品が半分を占めてるこの4Fの空き教室半分を使って始まった "鬼高フィランソロピーの会"。


最初は私一人で始めたボランティアの会だけど、やがて榛原さんと根津さん、黒鳥さんが正式入会して4人になった。




 あの応接室での直訴の後、榛原(はいばら)さんと根津さんは教頭先生との約束通り、授業は真面目に受けるようになった。


 だって、首の皮一枚しかなかったんだもの。学校辞めたくないならがんばるしかなかった。


 切羽つまれば人間、出来ないと思ったことも出来ちゃうらしい。

 

 彼女たちの学力は少しずつ上がって来た。


 榛原さんは数Aと保健と自分の選択科目の音楽以外は50点を越えたし、根津さんなんて、生物基礎は85点でクラスでは2番目の高得点! 黒鳥さんもまずまずで、すべての教科で平均的を上回ったと喜んでる。


 3人とも、今までの事を思えば快挙よ。



 こうなって来るとね、彼女たちの顕現し始めた努力の結果に対し、先生方の態度も変わって来た。


 先生方から良い印象を持たれてひいきされ始めると、学校でも、ほら、ずいぶんと過ごしやすくなったでしょう?


 当たり前のことをみんなと同じように当たり前にしただけで自分だけ高評価されるのよ。


 今まで感じたことすらなかったはずよ? その優越感と周囲の羨望と嫉妬の視線の矢。どう? 快感でしょう?


 ほんのちょっとのセルフコントロールで、人生変わることを知ったこの3名。


 私のこと、崇め始めた。


 うふふ。いい感じね。


 私のボランティアはクラスメイトの役に立っているの。感謝されるのって嬉しい。ここに来た甲斐がやっと見えてきたの。




 でもね、私のボランティアの会は、評判を知った子たちがぽつぽつ見学に来るようになって・・・


 何故か学習塾のようになってしまった・・・

 私は校外での活動を主に計画していたのだけれど。


 いいのよ。今のままじゃダメだって、自分を変えたいって、やり直したいって思ってる子たちがいるってことだもの。


 手助けしてあげなきゃだもの。

 自らここを訪れる君ならば見込みありよ!


 これも立派なボランティアで、人の役に立っているの。


 榛原はいばらさんと根津さんと黒鳥さんも私の助手となり、にわか先生となって楽しげに働いてくれてる。



 クラスの方は、金谷くん勢力と 日より見勢と 私勢力に分裂。


 私のグループは人数的には少ないけれど、でもね、質が違う。

 先生方を背に出来てるのは私たち。


 クラスの成績トップ5までは全て宇良川グループが占めているんだもの。


 金谷くん? ただの仲間ごっこしてるだけでは成長は期待できません。配下教育しなくてはダメですよ。君に出来れば、の話ですけど・・・


 

 そして春休みに入る少し前に流れてきた噂。


 金谷くんがバスケの部活中、ちょっとした不注意でレギュラー選手に怪我をさせたらしい。


「ねえ、ルルスちゃん。あの金谷がさ、1年でレギュラーの津田沼って人に怪我させたんだってよ。その人重症らしくて完治まで半年はかかりそうなんだって」


榛原さんが教室の自分の机で暗い顔してる金谷くんの方をチラッと見ながら私にコソっと耳元で言った。



 津田沼くんが?


 私には関係無いのだけれど、やはり気になる。


「ふーん。金谷くん、最近沈んでるみたいだったもんね? で、その津田沼って人かわいそうだね」 


「その人はさ、金谷くんのせいじゃ無いって言ってるらしいよ。なんか、友情と青春って感じー? その人さ、1年だけどチームの主要メンバーだとかでさ、来期の大会は鬼高最強チームで挑めるって監督も期待してたらしくてさ」


根津さんが加わって来た。


「あっ、私、その人知ってるー。マジカッコいいんだよー。2、3年女子にまで人気らしいけど、告白した人全員玉砕だって噂だよ」


「金谷さ、2年のレギュラーの先輩から冷たい目で見られてんだって。バスケ部の広田が言ってた。だってさ、その人がいれば関東大会出場まで確実視されてたとかで」


「そうなの・・・」



 私の初恋の人。そしてファーストキスと失恋。


 思い出す。



 乗り越えたけれど、傷痕は残ってる。

 私が髪を伸ばすことなんて一生無いような気がしてるし。



 津田沼くんを校内で見かける事は稀にあるけれど、私は会わないように避けてる。

 この学校を卒業したらもう見かける事すら無くなると思う。


 彼と関わる事なんてもう二度と無いと思ってた。



 それなのに・・・・・



 



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