表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ABSOLUTE CONTROL ~リアルの呪文をあげる  作者: メイズ
鬼胡桃高校 1ーD
67/221

反撃の一手〈ルルス〉

 ミキちゃんに確かめた所、私が金谷くんのことを聞いた事は命かけて誰にも言ってはいないと言った。


『だって、あれは秘密だって言われてたし、あれってもう、すっごい昔のことじゃん? 私だってもう忘れてたよ。絶対に私言ってないから!』



 そうよね・・・


 今頃なんておかしいと思ってた。


 ならこの私を貶めたのはやはりぜーんぶ君の仕業なんだ?



 善は急げ!っていうよね。



 来週になれば土日を挟み私の噂も多少静まるはず。


 さすれば9月第2週の月曜日。


 お昼休みに屋上に続く階段の一番奥に来るよう、私は金谷くんをコチャで呼び出した。


 屋上はカギがかかっていてどうせ行けないし、廊下から階段に入る手前でロープで立ち入り禁止となっているここには人は来ない。



「なんだよ? こんなところに呼び出して。俺にコクる気?」


 いきなりすごくつまらない冗談を言いながら金谷くんが現れた。


 階段手前のロープを越え、踊り場で曲がって上まで階段を登って来ればもう下の廊下からここは見えない。


 教室では見せない君の裏の顔。


 ゲスがにじんだ笑み。



 ねぇ、私、今、一気に氷点に達したわ。



「私の邪魔はしないように忠告したはずだけど? 何かな? 私がいつ金谷くんを好きになったのかしら?」


「俺? 俺は特にそれほど間違った事は言ってはいないはずだけど? だって、宇良川さん、俺に興味津々なんだろ?」



 私に片手壁ドンで顔を近づけて来た。


 私は横からすり抜け背後に回る。


「ふうん・・・その態度、改める気はないんだ? 後悔しないといいね」


 指で作ったピストルを背中に突き付け、金谷くんをそのままの姿勢で壁に押し付けておく。



「俺は宇良川さんになんの弱みも無いぜ? 勘違いすんなよ?」


 首を回して横目で私を見ながら金谷くんは言った。



「・・・最終確認 終了。じゃあね」



 私はたぶん強がってそんなこと言っているのであろう金谷くんに向けて無表情で告げた。


 階段を降りてロープを跨ぎ廊下に出る。



 わかったよ。確かに受けとりました。

 金谷ライダくん。


 君のその愚かな考えを。


 今日から君はただの傍観者にしてあげる。

 君のせいで起こるこれからの事をただただ見ていてね。


 私も、どう転ぶかわからないけれど、やるしかない。



 私の心の中で氷塊が砕け散った。


 その欠片は危険よ。ひどく冷たく鋭いの



 私は早速行動に移す。



 職員室に寄ったら運良く永井先生を捕まえられた。


「相談事があるので時間を頂けないでしょうか?」



 私の急な申し出を先生は快諾してくれた。


 いつもと全く変わらない微笑みと態度。


 先生のこの様子では金谷くん 私にバレてること、先生には言っていない。



 ってことはまだ続いてる?



 多分永井先生はきっと私の立ち上げたボランティアの会のことで相談されると思ってるのね。もち、それは違います。


 ごめんなさい、先生。


 先生は私個人的には、とても役に立ってくれました。とても感謝します。


 しかしながら先生は教師失格です。


 あんなゲス男子と個人的に繋がっているなんて。


 せめては先生が、知り得た生徒たちの個人情報を金谷くんには漏らしていないことを信じていいですか?



 私はやらなきゃいけないの。


 先生? 私、最初は真面目で一生懸命な先生のこと応援してました。それなのにこんなことになるなんてね。


 そして私は先生にこんなことを言わきゃいけないなんてとても忍びないわ。


 でもね、いけない事をしてる先生と金谷くんが一番悪いの。

 罰を受けるのは当然です。


 でもね、これの結末は先生次第じゃないかな? 先生がどう出るかで大分変わってくるね。


 永井先生が先生としての挙措進退(きょそしんたい)ができるのか、それともただの女性になってしまうのか。



 それは私にも推量出来ないわ。




 ーーーそして私は実行する。私のオリジナルスペルを使って。



「永井先生。私、秘密で相談したいことがあって。私、先生だけが頼りなんです。こういうことって微妙だから誰にも言わないでください」


 カーテンを閉めた1Fの予備室で、永井先生と私は机を二つ向かい合わせにくっつけて話し始めた。


 私の曇らせた顔を見て、永井先生も顔を曇らせた。



「どうしたの? 何か悩みがあるのね」


「はい、実は私、クラスでいじめられてるみたいなんです」


()()()って?」


「誰かが私の悪口を流しているらしいんです」


 私はぎゅっと手を握りしめてうつむいた。


「どんな内容か、お話出来る? 無理にじゃ無くていいのよ? 言える範囲で」


 私を気遣ってくれるやさしい先生。


「えっと・・・例えば、容姿をバカにするような。宇良川ルルスは頭だけはいいけど、・・・・・・だとか、他には宇良川ルルスは何とか臭いだとかっていう罵りの言葉、それと・・・金谷くんのストーカーだとか」


「えっ? 金谷くんのストーカー・・・・・」



 うふふ、餌に食いついた。



「はい、そんなのでたらめです。私、別に金谷くんとは何の関係もないしクラスが同じってこと以外接点すらないのに、そんなデマが流れてるです。私、恥ずかしくて死んじゃいそうです」


「・・・誰がそんなデマを言ってるか心辺りはあるの?」


「いいえ、全く無いです。金谷くんには黒鳥さんっていう素敵な彼女がいてラブラブなんです。なんで・・・なんで私がワケわかんない噂をされるのか意味不です。私、黒鳥さんに恨まれてるかも知れません」


「えっ・・・・・? 黒鳥さん・・・? ルルスちゃんは黒鳥さんに逆恨みされてるかもなの? 金谷くんが黒鳥さんと・・・本当なの?」


 また ルルスちゃん、なんて呼ばれた。


「えっと、そうですよ。クラスのみんな知ってます。だってすごく仲いいし・・・・どうかされましたか?」


「う、ううん、続けて。宇良川さん」



 先生、金谷くんと黒鳥さんのこと寝耳に水だったようね。


 顔色悪いよ、先生。


 年下彼氏の二股発覚!


 永井先生は気分がすぐに顔に出てしまう。修行がたりないね。



「それで私、その噂のせいかわかりませんが、クラスになかなかお友だちが出来なくて悩んでいます・・・」


「・・・そうなの」


「はい、金谷くんはクラスのリーダー的な存在だし、黒鳥さんはクラスの人気者だし、お友だちもたくさんいて味方も多いんです」


「そう、・・・黒鳥さん・・・・・・・ルルスちゃんを・・・」



 私を通り越し遠くを見るようなその目で何を思っているの? 永井先生。



 さあ、どう出ますか? 








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ