表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ABSOLUTE CONTROL ~リアルの呪文をあげる  作者: メイズ
鬼胡桃高校 1ーD
63/221

予期せぬ収穫〈ルルス〉

「おはようございます。失礼します!」


 私は職員室に入ると永井先生の机に向かった。



 あら、席を外しているわ。


 私が永井先生の机の前で用意した提出書類を手にどうしようか思案していたら、奥側二つ横の席で向かいの席の横溝(よこみぞ)先生と話していた不知火先生が会話を中断し、私に話しかけてきた。


「どうした? 宇良川さん」


「おはようございます。不知火(しらぬい)先生。私が立ち上げるボランティアの会立ち上げの申請書です。永井先生が、今日なら職員室にいるからいつでも持って来ていいとおっしゃってくださったので」


「そうか、さっきまでいたんだけどな・・・どこ行ったんだろ? じき戻ってくると思うから。じゃあ永井先生の机の上に置いとけ。戻ったら先生が言っておくから」


「ありがとうございます。では、メモを添えて置いておきますのでお願いします」


 私は礼儀正しく一礼した。



 不知火先生の机より、全然きれいにに整頓されている永井先生の机に視線を移す。


 一冊の古文解説の本が机のど真ん中に開いたまま伏せられて置かれていた。


 私は書類を置くスペースを作るため、本を隅避けようと、そのままの形で本を浮かせると下にはケータイが置きっぱなしになっていた。


 ほんのちょっと席を外してるって感じ。それとも急用かしら?


 お手洗いにでも行ってるのかもしれないね。


 私がケータイを横にずらすと、不意にロック画面が点灯した。


 そこに、ほんの6分前に届いてた短いメッセージ到着のお知らせが数秒現れて消えたの。



 ・・・・・うふふ



 私は永井先生の机の上の本を初めからなっていたように元通りの位置に戻した。



「不知火先生。私、記入がまだの書類を思い出しました。記入して、後でまた来ます」


「あ、そう? でさ、宇良川さんに良さそうな問題集が・・・」


 私は聞こえなかった振りをして不知火先生に一礼してきびすを返し、早足で職員室を出た。


 向かう先は男子更衣室。


 夏休みの今はきっと誰も使うことなんて無い。


 運動部は部室があるし、文化部には関係無い。


 普通教室の並ぶ第一校舎の2階の片隅にある更衣室は、出入口が廊下の通りすがりから見えにくいように廊下から数メール奥まった通路があって、そこから戸が横向きに設置されている。


 私は職員室と特別教室の集まる第二校舎から、第一校舎へと渡り廊下を走った。


 第一校舎側は人気(ひとけ)はほとんど無い。


 階段を降りて行く生徒を一人見かけただけ。



 私は足音を忍ばせ男子更衣室へ向かう。


 一体何がわかるのかしら? ドキドキする。



 ・・・・・私はついに証拠を掴もうとしてる。



 私は廊下から奥まった男子更衣室入口に面するスペースへそっと入り込んだ。


 夏休みだから蛍光灯はついていないし、ここにも更衣室にも窓は無いからここの一角だけ薄暗くて、校内のざわめきさえない今はちょっと不気味に感じる。



 永井先生のロック画面に浮き出たメッセージ到着のお知らせの一部分。私が見た時はほんの数分前のものだった。


『後1分で男子更衣室に着く・・・・・』



 永井先生は約束をしていて、あれが届く前に席を立っていたのね。


 さーて、永井先生はこんなとこで誰と待ち合わせ?


 耳を澄ませば中から男女のくぐもった声が聞こえる。きっと永井先生と・・・・・


 先生、泣いてる? 湿っぽい声。



 ここにいるのはわかったし、内容が聞こえもしないのにここにいても仕方ないね。


 私はそのスペースから廊下に出た。




 ここは、カギ閉まってる?


 そっと手をかけてみたら向かい側の予備室の戸は動いた。


 ここで男子更衣室からの人の出入りを見張ろう。


 私は笑みが止まらない。


 だってこれで私のミッションを邪魔する人はいなくなるんだもん。



 待つこと約10分とちょっと。


 カラカラカラ・・・


 そっと戸がスライドする音が聞こえた。



 私は廊下から目立たぬよう、予備室の戸についた はめ殺しの窓が斜になる位置から廊下を見た。


 永井先生1人が、早足で渡り廊下の方に行くのが見えた。


 先生が見えなくなると私は予備室から出て、足音を忍ばせて男子更衣室の扉の真ん前に立った。



 さーて、うふふ。誰が出て来るのかな?


 わかってるけど。



 私はくちびるに右手の人差し指を立てて更衣室のドアを見つめる。



 ガラッ・・・



 戸が開いた。



 見開いた君のその目。



 あっはっは!



 ねぇ、その顔面白過ぎるよ?



 金谷ライダくん。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ