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真夜中にひとり〈ヤシロ〉

 バスルームには必要な物は全て用意されていて、あたしは何の不自由も無くシャワーを浴びることが出来た。


 白いふわふわタオルのバスローブをはおり、ドライヤーでブンブン髪を乾かしながら落ち込むあたし。


 鏡に映った自分にあっかんべー。


 はあぁー・・・・・


 あたしのせいで夜の女子会が中止になっちゃったんだよ?


 ふうらちゃんを引き留めたくせにあたし、悪いことしちゃったわ。


 のばら、怒ってないかな?



 きゅ~ん・・・


 いやんっ、いやはや・・・・こんなへこんでる時でも、お腹が鳴った。



 あたしは部屋に戻ると、あたしの為に用意されていたおむすびを暗い部屋でひとり、ありがたく頂いて、洗面所に用意されていた歯ブラシで歯を磨き、またベッドに戻った。


 ・・・・・眠れない。


 だってあたし、7時間くらい寝てたかも。



 寝落ちする前のこと、思い出そうと試みた。


 う~ん・・・あの時ふうらちゃんがあたしに何か話しかけていたの、何の話だっけ?



 微かに残った記憶の中には何か不穏なイメージの言葉を聞いたような気がするのだけど、もやがかかって思い出せない。


 ふうらちゃんに明日の朝、聞いてみようっと。



 あたしあの時、ソファーに座っていたらすっごく気持ちよくなっちゃって・・・


 あの、優しくあたしを受け止めてくれる 程よいふわふわと柔らかな肌触り。すべてを包み込んでくれるかのような安心感・・・


 あのソファーがいけないのよ! そうよ、あのソファーが気持ちよすぎたのっ! あれは危険だわ。いわゆる魔道具ってやつかもしれないね。


 うんうん、きっとそうよ。


 だってここはお金持ちのお屋敷だもん。そういう物があったっておかしくはないよ?




 えーっと・・・あたしのケータイは?


 ・・・バッグの中だ。



 あたしはムクッと起き上がり、あたしのワンピースの横に一緒に掛けられていたバッグの中からスマホを出した。


 大丈夫。充電器は持って来なかったけど、まだ47%残ってる。


 如月くんから夕方にメッセージ来てる。



『今日のこと、怒ってない? 本当にゴメン。でもな、忘れんな! 俺、ヤシロのこと大好きだから。ずーっとな』


『それと、彼氏さんと大丈夫か? 俺、心配で』



 如月くんたら、気にし過ぎよ。急用ですぐに帰ったからって。


 いいのよ。


 たぶん如月くんは忙しかったのにドタキャンしないで無理して来てくれたんでしょ? それだけでも感謝してるよ。


 それになぜかロードくんとあたしの心配までしてくれて。


 もしかして、ロードくんがあたしと如月くんのこと誤解しないか心配してるのかしら?


 そんなこと、もち、無いから大丈夫よ。如月くんにあげたあの御守りだって如月くんの怪我のことお話してロードくん経由で受け取ったのに。



『怒ってるわけないよ。誰にだって都合はあるものだもん。気にしないでね。あたしもずーっと如月くんのこと大好きだよ』


『それにロードくんのことも大丈夫だよ』


 こんな真夜中だけど、今日は土曜日だしいいかなって思って送信した。


 だって、如月くんが急に帰ったこと、ずっと気に病んでたらかわいそうだもん。



 そしたらすぐにスタンプが返って来たよ。


 『感激です』って泣いてるかわいい動物キャラのスタンプ。



 うふふ、如月くんたら大袈裟ね。


 永井っちのことは聞かれなくてよかったわ。どうせ聞かれても何も言えないし。

 それに、よく考えたら如月くんにはもう、それほど関係ないお話だよね。もう鬼胡桃高校には永井っちはいないんだもん。


 はいっ、如月くんへはこれで終了。



 それから・・・ロードくんとリアとイブキへのリプは昼間になってからでいいや。大した内容でもでもなかったし。


 それにしても、この急なお泊まりのこと、イブキは怒り過ぎじゃない? お母さんはいいよって言ってくれてるのに。


 あのアンティークの素敵なお部屋でふうらちゃんとのばらと3人で撮った写真をお母さんに送ったら、めっちゃめちゃうらやましがられたんだけど。


 しかもお母さん、牧野大鏡おじい様のこと知ってたし。


 そんなに有名人だったんだ? あたしは全然知らなかったけど。

 くれぐれも粗相のないようにって言われていたのにね。しゅーん。



 それにしても、あの永井っちが姉妹だったとはね・・・


 あたしはベッドに寝転がりながら、学校で永井っちが言ったこととかごちゃごちゃ思い出して考え事していたら、いつの間にか眠りについていて。


 ・・・ふと気がついたらまぶたに明るさを感じて目を覚ました。



 横になったまま窓の方を見ると、ふうらちゃんがもう身支度出来ていて、あの危険なソファーに座ってスマホを見ながらペットボトルのコーラを飲んでいた。



「ふうらちゃん、ダメよ! そのソファーは危険よっ」


 あたしはガバッと起きてすぐさま叫んでしまった。


「おはよう、ヤシロ。朝から元気だな」


「そのソファーは魔道具なのよっ! 人を眠りに誘い予定を破壊する、魅惑の皮を被った悪魔よっ!」


「・・・ヤシロ、落ち着け。ボクは今、十分睡眠をとり、起きた所だ。全く眠くはない」


「・・・・・ふうらちゃん、あたし・・・ごめんなさいっ!」


 とにもかくも、あたしは昨日の失敗を謝らなきゃいけないの。


「別にいいさ。たまにはこんなのも悪くはない」


 澄ました顔でそう言ってくれたふうらちゃんってなんて心が広いのかしら!


「それに・・・あたしのお気に入りのワンピ、脱がせて掛けといてくれたんでしょう? ごめんね、お世話かけて」


「ああ、でもあれはヤシロが自分で脱いだんだ。寝ぼけてて覚えてないかな?」



 そうだったのっ? ミジンコも記憶無し・・・・・

 ううっ・・・ふうらちゃんがあきれてるわ。


 きっと今のあたしのおでこには縦線が10本くらい降りてる。


「うん・・・・・無い」


「その方がいい・・・」



 え? どゆことっ?


 もう、怖くて聞けないよっ!






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