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もち、ずっ友だよ〈ヤシロ〉

前回の話をヤシロ視点で。

 今日は空も何とかもっている。


 よかったわ。降らなくて。


 せっかくの買ったばかりのお気に入りのワンピが汚れたらショックだもん。



 如月くんとの待ち合わせ。



 私、宇良川(うらがわ)さんのこと如月くんにお願いしたことすごく後悔している。


 だって、如月くんのあの様子では宇良川(うらがわ)さんとはお互い良くは思っていないように感じたし、きっと如月くんも私が感情的に言い出したから仕方なく聞いてくれることにしたんだと思うの。

 今日会ったら如月くんにお詫びもしなきゃいけないわ。



 改札の内側から向こうを見ると如月くんが立っているのが見えた。あの髪の色ですぐわかる。



「如月くん!おまたせ」



 改札を出てすぐに駆け寄った。


 いつから待っていてくれたのかな?あたしも早めに来たんだけど。


「よお!ヤシロ」


 如月くんがあたしに手を上げて笑顔を向けた。


「待った?」


「ううん、別に・・・」



 あたし、まず如月くんに謝らなきゃ!



「あの・・・ごめんね、如月くん。嫌な事頼んでしまったこと、あたしすごく後悔していたの。」


「・・・別に。ヤシロ、俺、そのこと、落ち着いたとこで話たいんだけど近くに緑地公園があるんだ。どう?」


 何か今日の如月くんには陰があるみたい・・・


 やっぱり、すごく迷惑だったんだわ。



「うん、行こ」


 あたしのほんの思いつきの為に・・・ごめんね。


 こんな約束を守ってくれたなんて、如月くんて本当にいい人だわ。ありがとう。


 あたしは微笑みを向けた。



「こっちだ、ヤシロ」


 如月くんはさっさとあたしの前を歩き出した。



 ・・・やっぱり、迷惑だったのね。ちょっと機嫌悪いかも。

 本当は怒ってる?




 あたしたちは、広い公園の草原エリアの隅にあるベンチに並んで座った。



 いつになく真面目な顔の如月くん。


 宇良川(うらがわ)さんは何て言ったの?


 ・・・緊張するわ。



「早速だけど、宇良川(うらがわ)ルルスに、あの事聞いた」



 一瞬目が合ったけど、すぐそらされた。


 やっぱり、おこ。



「ごめんなさい。あたし、あの時感情的になって、過ぎ去ったことをいつまでも言ってしまったの。ミオンだってもう気にして無いって言ってたわ」



 とにかく謝るしかないよ!



「・・・そうか。なら良かった。俺、ヤシロもミオンにもそう言って貰えてホッとしたよ」



 許してくれたみたい・・・?



「やあね、如月くんが何か悪いわけでもないのに」



 あたしはかなりほっとして如月くんの顔を見た。


 間を置いてから、思い出すように如月くんは続けた。



宇良川(うらがわ)さんは俺たちの悪口は言ってはいなかった。俺たちの噂話をしたことはあるそうだけど、言ったのは特に問題ある事でもなかった。よく考えてみれば風紀委員長が風紀を乱すこと言うわけないしな。」


「・・・そうね、そうよね。あたしも落ち着いて考えたらそう思う。ありがとう・・・宇良川(うらがわ)さんに聞いてくれたこと」


「なあ? あれ、もう、忘れてくれるか?」


「うん、忘れた!」



 本当はもうどうでもよかったの。


 あの時は久しぶりに如月くんに会って、宇良川(うらがわ)さんの事も聞いて、あの時のこと色々思い出して、あの時の辛い感情が不意に甦って来ちゃったの。


 そうだ! あれ、渡さなくっちゃ!


 あたし、如月くんの為にロードくんにお願いして用意して貰ったの。



「あのね、如月くん、今月が確かお誕生日だったよね? これ受け取ってくれる?」


「なんだろ?」


「これはね、如月くんのために付梨神社で特別にご祈祷してもらった御守りなの。これで、膝が良くなる訳ではないけれど、如月くんの痛みを分かち合えたらって・・・・・そう思ったの」



 ロードくんが教えてくれたのよ。


 黒鮒様は人の苦しみを分かって下さるって。


 ご祈祷はロードくんのお父さんがサービスでしてくれたの。


 もちろん御守りを授かった初穂料はちゃんとお小遣いで納めたよ。


 これで黒鮒効果は天下無双よ!


 どうか如月くんの気持ちが癒されますように・・・



「ありがとう、ヤシロ。俺の為に・・・」


「ううん、如月くんにまた会えたのは嬉しかったし」



 喜んでくれたみたい。よかったー!

 ロードくん! 協力感謝!



 如月くん? 目が・・・潤んでる? まさかね・・・


 どうしたのかな? 如月くん、やっぱり、今日は変よ?

 もしかして、宇良川(うらがわ)さんと何かあったのかな?


 そうだったらあたしのせいだよ?


 あたしが頼んだから・・・・・



「あー、っと。ヤシロ? 聞いて」



 如月くん、深刻な顔・・・・・



「なあに?」


「俺、これからは直接ヤシロのこと護ってあげられない」


「・・・・・え?」


 よく、わかんないわ。どういうこと?

 あたしを直接守れないって? 



「でもさ、俺たちは心では、心の奥ではずっと繋がっているんだ。わかるだろ?」


「うん、そうね。あたしたちは中学の時からだもん。特別よ」



 中学時代、あたしたち、楽しかったよね。もちろんあの思い出が心の奥から消える事なんてないよ。


 そういう思い出を共有した昔からのお友だちは連絡が途絶えて減ることはあっても増えることはなかなか無いもん。あたしたち、とても特別で貴重だよね。



「だよな。俺たちは特別だ! スペシャルだ!」


「・・・どうしたの?」


 どうしてこんな話をし出したのかな?


 やっぱり、宇良川(うらがわ)さんとお話したことが原因なの?



「だけど頼む・・・ずっと友だちのままでいてくれ! これからはヤシロと一緒に行けないんだ。ゴメンな・・・ヤシロ。俺がこんな男で」


 あれ? このあとふうらちゃんと合流すること、まだあたし話してないのに。


 一緒に行けないって・・・?


 ああ、そうか! ふうらちゃんが如月くんに連絡しておいてくれたのかな。


 ふうらちゃんと如月くんは先週永井っちの写真受けとる時に繋がったもんね。


 さっすがふうらちゃん。


 あたし、これから如月くんに聞こうと思っていたのよ。


 如月くん、あたしと一緒に行けないんだね。これは急に決まった事だから仕方ないよ。


 それに、これからふうらちゃんの所に一緒に行けないからって友だちやめるなんて言うわけないじゃない。もち、ずっ友だよ。


 だからそんなに気を使ってあたしに悪そうな顔しなくていいのよ。



「・・・どうしたの? 謝らないで。」


「詳しいことは・・・・・聞かないでくれ。ヤシロには言えない」


 もちろん、あたしは如月くんのプライベートに踏み込む事はしないよ。大丈夫よ。



「・・・そうなの? 何かあるのね? わかったよ・・・いいのよ、気にしないで・・・如月くん。どうしてもってこと・・・あるよね」


「優しいんだな。ヤシロ」



 急に昨日の夜決まったんだもん。

 行けなくたって仕方ないよ?


 そうだ!


 あたし、如月くんへのお詫び、まだだった。


 こんなあたしでも何かお役に立てればいいんだけど。



「・・・・・普通だよ? そうだ! あのね、最後にあたしにお願い事とかない? 何かあるかな? あたしに出来ることなら何でもいいのよ」



 あたしの為に宇良川(うらがわ)さんに嫌々聞いてくれたんでしょう?


 あたしも如月くんの為に何か出来ることがあったら教えて欲しいわ。



 何やらそわそわし出した如月くん。


 悩ましげな顔してるわ。


 もしかして、急いでいるの? この後何かあるんだよね?



「ゴメンっ! ヤシロ」



 如月くんはあたしに急にハグしたと思ったら駆け出して行ってしまった・・・・・


 この後よっぽど切羽詰まった問題を抱えているのね。


 何だかよくわかんないけど、頑張って! 如月くん。




 ・・・あんなに走って膝大丈夫なのかしら?


 よっぽど急いでいたのね・・・


 今日は無理に来てくれたみたい。


 悪いことしちゃったな、あたし・・・





 

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