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ABSOLUTE CONTROL ~リアルの呪文をあげる  作者: メイズ
挿話 リアルの魔法のスペル~ サイコパス誕生
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私のハートの色〈ルルス〉

その返事は来なかったけど、きっと来てくれると信じてた。

 だって、如月くんはああは言っても優しい人だもん。私、ずっと見てたから知ってるの。



 ほら、言った通りでしょう?



 やけに赤く暮れなずむ向こうから来るあのシルエットは如月くんよ!


 私、お願い聞いてもらえてすごく嬉しい。


 たまにはわがまま言ってもいいよね?


 だって私は彼女だもん。


『久しぶりだね。2年になってからLINEでしか話してなかったから。もう、2ヶ月近く経ってるもん』


『・・・一体どういうつもりだよ?俺を脅しやがって!』


『だって・・・そう言わないと来てくれないでしょ?』



 ねえ、私を見て! 如月くん。


 実際に会うのは久しぶりだもん。驚いちゃったでしょう?



『見て! 私の髪。すごく伸びたよ! どうかな? こういうの好きなんでしょう?』


『・・・・・』


 赤い西日に照らされた如月くんの顔。その目がちょっと驚いた風に見開かれた。


 気に入ってくれたみたい。微妙な顔してるのは照れてるの?うふふ。



 さあ! 私はかなり恥ずかしいけれど、思いきって言うの。

 夕べ何回も何回もイメージトレーニングしたのよ。


 私が彼女だっていう、誰にも負けない確かな証が欲しいの。



『ご褒美をちょうだい。私、1年お手入れがんばったの』


『ご褒美?』


『うん、彼氏だもん。いいでしょ?』


『なに言ってんのかわかんねーんだけど?』


 辺りはもう薄暗くなってきていた。



 私は黙って如月くんの方を向いて目を瞑った。



 お願い。私は如月くんの特別な女の子だっていう証拠を下さい。


 私だってすっごく恥ずかしいのよ。


 心臓が爆発してしまいそうなくらいドキドキしているの。



 まだ? 如月くん。


 迷っているの?


 いいんだよ? 私は彼女だもん。


 如月くんが望むのならその先だって。



 私は耐えてそのまま待った。


 私のまぶたの裏側が、ふっ、と暗くなった。


 私のくちびるにかすかに一瞬ふれた。


 目を開けると如月くんが離れた刹那だった。


 如月くんは横向いて照れてる。



 私だって恥ずかしいのよ。


 でも、私のお願いが叶ったの。


 これで私と如月くんは本物の彼氏と彼女だね。


 誰にだってそう言えるよね?



『一緒に帰ろ』


 私は言ったのに、


『ごめん、無理。先帰ってくれる?』


 如月くんは照れてるのね? 行ってしまった。


 見かけと違ってすごく純情なんだ。かわいい・・・



 ・・・いいんだよ。


 今日は許してあげる。


 だって、いきなり過ぎたもんね?


 私たちは今日から本当に始まるの。



 その日の夜、私はメッセージを送信、



『明日も会いたいな』



 夜中に何回も起きてケータイを見たけれど、リプは来ない。


 ご確認したら既読にもなっていなかった。


 照れてるだけだよ。きっと。それかすっごく忙しいとか。ケータイの故障ってことだってありえるよ。




 次の日の金曜日、学校で一目会いたかったけど、無理だった。


 だから夜も同じように何回も送信。


 もっと気を引くようなこと思いきって送ってみよう。


 そうすればお返事くれるはずだよ?



『何でもしていいんだよ? 私彼女だもん』



 やっと既読になった。



 嬉しいな。早くリプ下さい。如月くん。


 一晩中うつらうつらして待っていたのに。


 ひどいよ。既読無視するなんて。


 私はまたメッセージを次々送ってみた。



 全く既読にならない。




 1日中1時間おきにメッセージを入れた。


 どうして見てくれないの?


 どうしちゃったの?


 私は彼女なんだよ?



 私はボランティア部の仲良しの友だちに、これは私の知り合いの話だと偽って、既読にならない訳を相談してみた。



『それって、その子ブロックされた可能性高いね。スタンププレゼントで確かめられるからその子に教えてあげなよ』


 私は教わった通りに試して見た。


 どのスタンプもプレゼント出来ないよ。


 如月くんこんなにスタンプ持ってるはずないもん。



 どうして?


 何で私をブロックするの?


 あのキスはなんだったの?


 この一年以上かけて伸ばした髪はなんだったの?


 私、この事実が受け止められないよ。


 こんなの何かの間違いじゃないかな?


 そうよ! 他の方法で連絡をすればいいじゃない。



 ・・・そういえば、如月くんのケータイの電話番号も知らないや、私。



「・・・・・・」



 涙が溢れてきた。


 私、今まで一人相撲だったんだ。



 魔法はとっくに切れていたんだ。


 私の未熟な魔法は1年間で期限切れ。


 エターナルな魔法は上級者しか使えない。




 ーーー如月くんは私のこと好きって訳じゃない




 知ってたけど、認めたくなかった事実。


 知ってたけど、知らんぷりしていた事実。



 今さら突きつけられたリアル。


 理想と現実。


 崩れた妄想の虚構。



 ドクドクドクドク・・・・・



 心から真っ赤な血液が流れ出した。



 ドクドクドクドク・・・・・



 私にも、お医者さんでも、神様だって止められない。



 ドクドクドクドク・・・・・



 私の心から大切なものが全部流れ出た。



 あんなに赤くみずみずしく染まっていた私のハート。



 今では青白く変わった私のハート。






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