金曜日に決定!〈如月〉
俺は放課後、ヤシロにメッセージを送った。
ニセ永井先生だと気づいちまったヤシロが心配で。
ヤシロはこんなこと知らないでいた方が平穏でいられたのに。
『ニセ永井先生の様子はどうだよ? 俺たちが見破ったこと、気づかれてはいないと思うけど。ヤシロ、奴の前でキョドらなかっただろうな? マジ気を付けろよ!』
ヤシロからはすぐにリプが来た。
『今日は教室全体がなんとなくそらぞらしく感じて気持ちが落ち着かなかったわ。でも、ふうらちゃんがいるから大丈夫よ。ありがとうね、如月くん』
早く約束の土曜日来ねーかな。ヤシロに会いたい。
はぁぁ・・・その為には宇良川ルルスという苦難を乗り越えなければならない。
ヤシロとの約束を果たさねーと。
夜、俺が風呂から上がるとライダからメッセージが届いてた。
『金曜日の放課後、あの資料室でってことでどう?』
頼んでおいた宇良川ルルスとの仲介の件だ。
俺はそれで全然オッケーだ。
それなら次の日ヤシロに結果報告出来るからそれでいい。
俺はすぐにリプした。
『あざー、ライダ。世話かけて悪かったな』
『そんなことはどうでもいいけどさ、宇良川ルルスとあそこに二人きりってやばいだろ? 』
『それな。でも俺、誰かを巻き込んで迷惑かける訳にはいかないだろ? だから一人で行く』
『・・・俺は仲介者だからそうはいかない。あいつのことだ。後から何言い出すかわかったもんじゃない』
『ライダまで祟られたらどうすんだよ? お前はこれ以上関わんなくていいんだ』
『俺がお前一人で行かせるわけねーじゃん。最初からそのつもりだったさ』
俺は感謝感激感慨無量。ライダに感謝状贈っていい?
俺は宇良川ルルスといきなり二人きりで会うなんて、どんな顔してればいいのかもわからない。
あっちだって俺のこと恨んでるだろうし、サイコパスだってんなら何か仕掛けてくるかも知れない。
ライダがいれば心強い。
ライダは俺のことこんなに想っててくれてる。けど、俺はそれに応えることは出来ない。
ごめんな、ライダ。
友だちとしてならマジ愛してるぜ。ライダとはこのままでいさせてくれよ。
それにしてもライダのやつ、いつからBLに転向したんだよ?
1年の頃、彼女いたよな? 確か・・・
さてと、金曜日か・・・って、俺のハッピーバースデーじゃん!
とんだ落ち着かないバースデーだな。
昼にはライダとランチ、放課後は宇良川さんと3年ぶりのご対面か・・・
ーーー入学式、各クラスの担任がクラスの生徒の名前を一人ずつ読み上げた。
D組で宇良川ルルスの名前が呼びあげられ、『はい』とあいつの声が聞こえた時はマジビビった。
まさか、あいつが鬼胡桃に来るなんてありえなかったから。
そして、新入生代表として壇上に上がり挨拶までした。
最初の頃は、俺を追いかけてここに来たのかと俺は警戒してたけど、何の接触もしてこないし、身近で見かけることも無かったし、次第に気にすることも無くなっていた。
ここにいることさえ最近じゃ意識していなかったくらいだった。
それなのにまさか俺の方から接触するはめになるとは。
・・・校内で宇良川さんを見かけたことといえば? ああ、全校集会ん時、度々表彰されて前に出てたな。成績優秀者で表彰とか、何かの出品で入賞とかで。
そういや、英語のスピーチコンテストの学校代表で、デモでスピーチしてた事もあったかも。
アイツと最後に直接話したのは・・・あの校庭の隅の薄暗い用具倉庫の裏側で・・・・・二つ結びの髪を俺に見せてきたあの日・・・・・
ベッドに横たわりながら、俺は忘れてしまいたい事をまたもや思い出しちまって、眠れなくなってしまった。
スマホを見るともう、夜中の1時過ぎてる。
早く寝ないと。
まだ1週間始まったばかりだ。
動かすといまだに痛みが走る右膝を撫でながら、今夜は嫌な夢を見ないように、深く眠れるよう願いながら目を閉じた。




