月曜日の親友ライダ〈如月〉
週が明けて月曜日。朝の教室。
俺は自分の机に半ケツ乗せてもたれながら、スマホ片手に思案中。
宇良川さんと、どんな風に接触すればいいのか迷っていた。
本当は俺だってアイツとは顔を会わせたくはない。
でも、愛するヤシロと約束したんだ。
あの俺たちの嘘で塗り固められた噂と宇良川さんは関係あったのかどうか確かめるって。
これがきっちり済んだら今週末に俺ははっきりと言葉にしてヤシロに俺の気持ちを伝えよう。
もう、実質俺とヤシロの心は結ばれているけど、曖昧なままでは良くないし。
今週土曜日も先週同様に鬼胡桃駅で会う約束をしている。
今度は二人きりで。
それまでに何とかしねーとな。
・・・・・ここは事情を一部だけ話してライダに頼むか。
ライダに仲介してもらおう。
あいつだったら去年宇良川さんと同じD組だったから連絡取れるだろ。
いきなり直で宇良川さんに会いに2ーDまで訪ねて行くなんてめっちゃ嫌だし。
ライダ、もう学校来てっかな?
俺は早速隣のB組を覗きに行った。
いたっ!
席に座ってケータイ見て何やらにやけてる。何見てんだ? 左隣の席の女子がライダを見て微妙な顔してるぜ。
「おーい、ライダ!わりぃ、ちょい来て」
俺はB組の前扉から呼んだ。
ライダは教室から出て来て爽やかな笑顔を俺に向けた。
まるで、幼児番組の体操のおにーさんの如く。
「おっふ、なんだよキサラ。朝っぱらから。あは、ちょうど俺、お前のこと考えてたんだぜ」
マジ? 俺?
何で俺のこと考えてにやけてた?
俺、何もおかしいことしてねーよな?
この顔・・・いつもの爽やかライダだ。
・・・まさかな。
俺、意識過剰だろ? アホくさ。
俺は昼休みにライダに直接相談したい事があるから時間取って貰えないか聞いたらオッケーだって言ってくれた。
よっしゃ。
俺は自分の教室に戻ると、今日提出の英単語プリントの空白を急いで埋めにかかった。
昼休み。
俺とライダは進路資料室に入り込んだ。
ここなら今の時期、人は滅多に来ない。
この特別教室は、出入口戸の上部に付いている四角い窓から覗いても、いくつか並べられたキャビネットがついたてになって死角になるスペースも多く、人目を忍ぶにはちょうどいい。
俺は宇良川さんと付き合っていたことは伏せ、実は俺は彼女と同じ中学出身だったということと、中3の時、俺とヤシロ、礼千とミオン4人が標的にされたフェイクの噂で、ひどい目に遭わされたことを語った。
そんで、もしかして、あれは宇良川ルルスの仕業だった可能性を疑っていることを話した。
「・・・ライダ、どう思う?」
「キサラ、お前ら4人の誰がメインターゲットだったと思ってる?」
「すべての噂に関わってんのはヤシロとミオンだな。そのうちミオンがターゲットっぽかったけど」
「ふうん。そのかわいこちゃん二人の女子がターゲットか・・・だったら、犯人は同じ女子だろ。たぶんな」
「・・・そういうもん?」
「そういうもんじゃん? その女子二人が宇良川ルルスに恨まれる心当たりあんの? まあ、宇良川のことだから、こっちから見たら下らないことで勝手に恨んでるって可能性も大いにあるけどな。C組の蒼井みたいにさ、ただぶつかっただけとか」
「・・・・・それな」
「とにかく、宇良川ルルスに連絡入れんのはいいけどさ、マジいいの? そんな昔のこと蒸し返して。きっと祟られっぞ?」
「仕方ないんだ。ヤシロの心の平穏の為だ。見てくれよ、超可愛いだろ? 俺の本気の彼女」
俺は再会して記念にとったツーショットをライダに自慢気に見せた。
「何だよ? ライダ、マジの彼女いたのかよっ!」
「まあね。つい2日前からだけどな、ふふっ」
「・・・・・ったくよぉ。そりゃこの写真の子めっちゃかわいいけどさ・・・・・こっちだって・・・」
拗ねた口振りのライダ。
え?
何でライダがそんなに困った顔すんだよ?
お前・・・まさか・・・・・?
俺のこと?
「・・・ライダ?」
俺は一歩ライダから身を引く。
だってここは二人きりだし。
「・・・何でもねーよ! じゃ、俺、宇良川さんの都合聞いとくから。マジいいんだな? それで」
「頼む」
「じゃ、後でキサラに結果送るから」
「あざー。恩にきるぜ! ライダ」
「そんでさ、今週の金曜日キサラ誕生日だろ? お祝い昼飯用意すっからさ、一緒に食おうぜ。」
ライダがまたまた俺に爽やかスマイル向けて親指を立てた。
・・・何だか今日はおかしくないか? ライダ。
う?
・・・俺、ライダに愛されてんの?
俺はライダの事は好きだけど、そーゆーのとは違うんだけど。
「お、おう・・・サンキュー。でもさ、一体どういう風の吹き回しだよ? 急にさ」
「えっ、え~と・・・なんていうか、俺、キサラに本命彼女がいるなんて今知ったとこじゃん? 俺だって今、戸惑ってんだ。でも、これはもう引き返せない。お前にその気が無くたって気にすんな。これはこっちが勝手にしてるだけだから。ってことで、金曜日、楽しみにしてろよ!」
・・・やっぱりそうだったのか。今まで全く気がつかなかった・・・ライダの気持ち。
ごめん。
ライダ・・・悪いけど、俺はノーマルなんだ。
でも、とりあえず金曜日までは言わずにいよう。
ライダのせっかくの俺の誕生日を祝ってくれようっていう好意を拒否するなんて俺には出来ねぇ。
「分かった。金曜日な」
俺もぎこちなくなってしまったが、笑って返した。
「俺のB組の教室に来てくれ。絶対だぜ?」
ライダが念押しした。




