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ABSOLUTE CONTROL ~リアルの呪文をあげる  作者: メイズ
よみがえる思い出の中で
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卒業式の後で〈ヤシロ〉

 でもね、救いはあったのよ。


 卒業式の前日に如月くんが久しぶりにメッセージをくれたの。



『最後だし明日の式の後、4人で写真撮ろうぜ!』



 あたし、とってもうれしかった。


 ミオンにも個チャで聞いたらすごく喜んでた。


 悪意の噂話によって途絶えていたあたしたちの友情。

 あのまんまフェイドアウトしまうのは悲し過ぎたもの。



 卒業式が終わって一旦各クラスごと、教室へ戻った。



 担任の先生からの(はなむけ)の言葉とお別れの言葉。


 そして、いざ、解散!



 あたしは写真撮ってから帰るからって、最後に配られた重たい防災セットとか、記念品とか、邪魔な荷物はお母さんに預けて先に帰ってもらうことにした。


 お母さんは、『はいはい、それにしても重たいわね? 防災セットってこの箱。何入ってこんなに重くなるわけ?』なんてぶつぶついいながらさっさと帰って行った。


 うん、腹へったとか言って、早速中開けて非常食食べてる子がいたけど、めっちゃ不味かったらしい。一緒に入ってたペットボトルの水で無理やり喉に流し込んだとか。


 でもまあ、こういうの使う機会もなく中学3年間済んでよかったよね。




 その後、クラスメイトたちとたくさん写真を撮った。


 担任の先生を囲んでみんなでイェーイ! カシャッ


 普段ほとんどお話しなかった子とも、誘われてピースサインでカシャッ!


 教室のあちこちをカシャッ!


 何気無い当たり前の風景もカシャッ!


 切り取っておかないと忘れてしまうかも知れないこの3年間見慣れた景色。



 とても切ないわ。今日が最後なんて。



 このクラスメンバー全員が集まるなんて、きっともう一生無いの。


 今まで当たり前のように毎日一緒にいたのに。


 みんな、それぞれの道へ。



 みんな重たいのにわざわざ今日持ってきた。

 それは事前に配られてた卒アル。


 裏表紙の内側に一言書き合う。



『これからも頑張ってね みさとより』


『おまかわ! 変わんなよ! 陸人』


『また、会おうね! 奏より』


『ずっ友だよ♥️ みんちゃんでしたー! きゃはっ』


『ウェーイ!! ばいばい! 俺を越えていけっ! マオ』


『俺、お前のこと忘れないからお前も忘れんな! リョウ』


 ・・・・・・・


 ・・・・・・・


 ・・・・・・・



 みんな、性格現れてて面白い。



 あっ、ケータイにメッセージ。


 ミオンと如月くんと礼千(らいち)くんとのグループLINE。



 『おっせーぞヤシロ! もう3人揃ってる』


 如月くんから。



 あれあれ、いっけない! お待たせしてるみたい。

 待ち合わせ場所に急がなきゃ!


 慌てて荷物を掴む。



 あたしは教室出口でくるりと振り向き一礼!



 まだ名残惜しくて教室に残ってる子たちに向かって大きい声でご挨拶。



「みんなー! ばいばい! また絶対会おうね!」



 手を振り合って笑顔で別れた。


 ちょっと涙がでそうだったけど、こらえてそのまま廊下を急ぐ。




 あたしたちの待ち合わせ場所はあそこ!


 この学校での4人の思い出の場所。


 あたしたち4人の出会った体育館脇の(そと)水道のとこ。



「お待たせー! ごめーん!」


 あたしは渡り通路から3人の姿を見つけて大きく手を振った。


「よお!おっせーぞっ! ヤシロ」


「ヤシロ! こっちこっち!」


「俺の元へカモーン! ヤシロ、待ってたぜ!!」


 如月くん、声がおっきくて恥ずかしいよ。



 あたしが3人に駆け寄ったとたん、


「よーし、じゃあ始めるか!」


 如月くんがミオンと礼千(らいち)くんとうなずき合った。


「始めるって何を?」


 あたしは3人を見回す。



「ヤシロ、今から再現ムービー撮るよ! あたしたち4人が出会った時の!」


 ミオンがイタズラっぽく笑った。


 いつの間にそんな企画が?


「よっしゃ行くぜ! ヤシロとミオンはそこから歩いてこい」


 礼千(らいち)くんがスマホをかざしながら指図した。


「キサラはここの水道で顔洗え」


「うへっ、マジで洗うのかよ?」


「監督命令絶対な!」


 礼千(らいち)くんは人差し指をちっちと振った。


「・・・ちっ、礼千(らいち)め!テイク2は無いからな!」


「OK!よっしゃ、スタート! カチン」



 あたしたちはあの時のこと、思い出しながら、ああだっけ、いやこうだった、ううん違うでしょ!とあーだこーだいいながら動画撮影。



 最後に如月くんと礼千(らいち)くんが肩を組んで去って行くシーンをミオンが撮った。



「よーし、俺らの去って行く後ろ姿をうっとりと見つめてる女子二人のアップ、追加カット撮るぞ!」


 礼千(らいち)監督からの指令


「何よそれ~、何か違うけど?」


 ミオンがジト目で礼千(らいち)くんを見る。


「ミオン、監督命令絶対!」


礼千(らいち)くんがミオンを指差す。


「・・・はぁぁ、はいはい、じゃ、うっとり行くよ、ヤシロ?」


「瞳にハート浮かべろよ、二人とも!」


 如月くんがスマホを構えながらニヤニヤ。


「うわん、無茶ぶりっ!」



 あたしとミオンは二人並んで胸の前で指を組み遠くを見つめる。



「よしゃー! カーット! クランクアッープ! みんなよくやったな!」



 礼千(らいち)くんの通る声が響いた。



 撮影所要時間25分。


 即席再現ムービー出来上がり。


 これはあたしたちの一番の思い出になるかもね。



 こうしてあたしたち、最後の最後だけは再びまた仲のいい4人組に戻れた。



「最後にみんなで写真撮ろうよ!」



 ミオンが言った。



 4人くっついて並んで自撮りした。



 カシャッ



 切り取られた4人の笑顔。




 ーーーあれからもう1年以上たったんだ。



 先月ゴールデンウィークに会ったとき、ミオンだってずいぶん大人っぽくさらに可愛くなっていた。


 チアリーディングの練習で出来てしまった体のアザや傷を一個一個指しながら、出来た由来のエピを披露してくれた。

 ぶーぶー文句を言ってる割にはとても楽しそうに。


 礼千(らいち)くんとは個人的には連絡は取っていない。



 如月くんとは、あの卒業式以来。


 昨日初めて個チャでメッセージを送った。



 如月くんも交遊関係もあの頃とはずいぶん変わってるでしょうね。


 

 でもまさか、あの宇良川うらがわルルスさんの名前が出てくるなんて思わなかったけれど。



 所で・・・宇良川うらがわさんはどこの高校に行ったのかしら?


 すごく頭が良さそうだったから金時(きんとき)高校とか、栗餡(くりあん)高校辺りかな?







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