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ABSOLUTE CONTROL ~リアルの呪文をあげる  作者: メイズ
よみがえる思い出の中で
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コードN.I. 調査終了〈ふうら〉

「そんでな、今ではそのクロイさん、グレイさん、ネズさんはシロイさん取り巻きの幹部らしい。俺はそんなこと知らなかったけど。次第にメイクもやめて、髪もナチュラルに戻して、シロイさんに鍛えられて、偏差値も50まで上がって、今では鬼高の優等生の仲間入りしてんだってさ」


「ええっ!どういうことなの? 如月くん」


 ヤシロが可愛らしくちびちび飲んでいたアイスミルクティのストローを口から離した。


「今ではシロイさんは2年D組のカーストトップにいるんだって。2年進級時も4人は同じクラスになったとか。シロイさん下手な先生より指導力があるってエラい先生方からはますます高評価得てるってライダが言ってた」


「・・・4人同じクラスってそれって、普通あり得ないよね? やっぱり・・・?」


 ヤシロが伺うようにボクの目を見てきた。


「だろうな。シロイさんには特別な配慮があったに違いないね」


 ボクは当然であろうことを口にした。


「すごいスペシャルトリートだね。ねえ、ふうらちゃんも鬼胡桃高校に行けばよかったね。そうしたら女王様間違ないもん。何でも思い通りだよ。あっ!ダメダメよ!そうしたらあたし、ふうらちゃんと会えなかったもん」


 ヤシロはかわいいこと言うな。


 でも、仮にボクが鬼高にいたとしてもそうはならない。

 シロイさんが権力を集めていったのは学力だけの問題ではないから。



 校則や決まり事をきっちり守り上層部の信頼を勝ち得てゆくシロイさん。


 ここはボクとは決定的に違う所。


 ボクは既存の押し付けられたルールに疑問を持ち異議を唱えた。


 上層部に刃向かうボクは睨まれシロイさんにはなれない。




 手近な生徒を疑心暗鬼に陥れ、不安を煽り、支配していくシロイさん。


 シロイさんによる意図的な噂話で、いとも容易く踊らされるなんも考えてない生徒たち。


 シロイさんの嘘がこうして露見してるのも彼女の計算の内かも。



 一体彼女の最終目的は何なんだ?


 ま、ボクには関わりのないことだからどうでもいいけど。



「何だよ?ヤシロが鬼高に来ればよかったじゃん。そうしたら今頃俺は女王様にかしずいていたぜ?」


 如月くんが頬杖をつきながらヤシロの顔を見てる。


 この男子。この醸し出してる空気。


 マジだ・・・



「やあね、もう! あたしなんて。あたしそんなに勉強は得意じゃないのよ。実はね・・・落花生(おかき)高校受験はあたしにとって結構賭けに近かったんだよね。1ランク下げようか迷っていたんだけどね、アミダくじ作ってみても、コイントスしてみても、付梨神社のおみくじ引いてもさ、全部落花生高校を指していたから何とかなるよねって思って受験したの」


「ちっ、落ちればよかったのにな?」


 如月くんが冗談めかして言った。


 けど、こいつ本気でそう思ってる。

 ボクの目はごまかせない。ついでに耳も。


 彼のかすかな舌打ちが聞こえた。



 さて、と。


 ちょっとした恋愛問題も発生させてしまったけど、お陰でボクの永井っちの調査はほぼ済んだ。


 又聞きとはいえ直接聞けたから良かったな。


 後はこの事まとめて大鏡(だいきょう)じいちゃんに報告すればいいだけ。


 対処はじいちゃんが下す。


「で、その永井先生は授業を降ろされた後はどうなった?」


 ボクは帰り準備で、テーブルの上のごみを一つにまとめながら聞いた。


「永井先生は11月ごろからは体調不良で休職してたな。それ以来見たこと無いぜ」


「そうか・・・わかった。今日はどうもありがとう。ヤシロもね」



 ボクはここで閉めた。



「でもさ、あたしたちの担任の永井先生って誰なのよ? 偽物なんだよ? あたし怖いよ、ふうらちゃん・・・」


 ヤシロは本当に不気味に思っているみたいだな。


 それはそうかもな。


 もし、担任教師が実は "密かに成り代わった正体不明の人物" だと自分だけが気づいてる・・・なーんてシチュエーションに陥ったのなら。



「気をつけろよ、ヤシロ。俺はこの事誰にも言わねーから。泉さんもヤシロを頼むぜ。そっちの永井先生は秘密がばれたのを知ったら何してくるかわかんねーぞ? 心配だな、俺・・・」



 この二人はまだ分かってないのか。


 永井っちはシロイさんの呪いにかかったってことに。

 だからあんな風に変わってしまったに違いない。


 童顔を隠すために厚化粧をして、男子生徒に受けない悪趣味な洋服を選んで。


 きっと現在、酷い目に遭わされたシロイさんや、グレイさんたちへの恨みをボクたちに転嫁させているんだ。


 だから落花生高校2ー2は今こんな状態に!



 まあ、エビエンスが整うまではボクの口からは言うまい。




「ああ、ヤシロのことはボクに任せてくれ」



 ボクは早急にこのことの報告レポートを作成して大鏡じいちゃんに送信しなきゃ。


「では、ボクはこれで失礼」


「俺はヤシロに久々に会ったから話があるから。泉さん、お疲れ。じゃあな。何か分かったら俺にも教えろよ」


「わかった。ヤシロ、このこと賽ノ宮(さいのみや)くんとリアにも内緒だからな。」


「うん、わかったよ、ふうらちゃん!」



 ボクは如月くんに賽ノ宮(さいのみや)くんの存在をさりげなく伝えるために付け加えて言った。


 これくらいはしておかないと賽ノ宮(さいのみや)くんに申し訳なかったから。


 賽ノ宮(さいのみや)くんと両想いになって1か月余りしか経っていないヤシロが心変わりするなんて思わないけれど、一応。


「もちのろんだよ。ふうらちゃんの身の危険だってかかっているんだもん! 絶対誰にも言わないよ!」



 ヤシロは真剣な顔で頷いた。



 ちらりと如月くんの顔を見たら・・・微妙な顔だ。


 ボクの一言、効いてるかもね?


 ボクはイヤホンをケースから取り出し左右の耳に着けた。


 ボクの耳には駅前は騒音が痛い。



「じゃ、月曜日」



 ボクはテーブルを後にした。



「ヤシロ、賽ノ宮(さいのみや)とリアってヤシロの友だち?」


 ボクのイヤホンの耳にも如月くんがヤシロに問う声は聞こえて来た。


 後はヤシロ次第だな。




 賽ノ宮(さいのみや)くん。


 I wish you good luck!





 その深夜、ボクの報告書を読んだ大鏡じいちゃんからボクのパソコンにメールが来ていた。



 

 ーーーーーーーーー


 To コードネーム ストーミー

 From コードネーム M.D.


 本日の業務 お疲れ様です。


 顔認証セキュリティシステムで調べた結果、本日入手した写真は落花生高校の古典教師永井イネリとは95%の確率で一致しないことを報告書する。


 なお、この件はこちらで引き取る。


 本日の情報のリークは許されない。

 永井イネリにも悟られぬよう用心せよ。


 普段通りに振る舞う次第で。


 コードN.I.については次の指示まで待機を命じる。


 その他の業務は引き続き続行せよ。      


 ーーーーーーーーー



 そんなばかな! 何かの間違いじゃないのかっ? 


 ボクたちの担任は、あの永井イネリは一体誰なんだ!







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