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ホーリーノヴァ  作者: 虎キリン
19/24

ホーンラビット後編

 ボロボロになっているカイにサキが駆け寄った。ミの村の戦闘頭、サイガが、リーダーを代わる。サイガは、サイカの父ちゃんだ。


「お前らよくやった。野郎ども、一匹も逃がすんじゃねえぞ」


 数は、ホーンラビットの方が上だが、向こうには、武器も魔法もない。一層は、おれたちのテリトリーだ。人族が、支配者だと思い知らせてやる。


ピピピピ、ピピーーーン

「うおーーーーー」


 両者がぶつかる。おれとサイカは、サキを追ってカイに駆け寄った。


「バカやろう、お前らは、戦闘に参加するんだ」

「でも‥」

「あんたは黙ってな。二人ともいいから、お行き」

「サキ、済まねえ」

「ハー私たちは、まだ一層ね」


「サイカ、行くぞ。ラビットキングは、スキル持ちかもしれない。何があるかわからない。バリヤーが出来るのサイカだけだぞ」

「分かった」

 サイカは、おれの勘が当たるのを知っている。実際、ラビットキングのスキルを見ると、スキル欄に、斬波というスキルがある。あれはやばい。風障壁を通り抜けるかもしれない。下手をすると死人が出る。その上、普通のホーンラビットに、ラビットキックのスキル持ちがゴロゴロ。これは、生まれて初めての強敵集団との戦いだ。


「お父さん、どんな感じ」

「おう、サイカか。お前らは休んでいいんだぞ」

 サイガは、司令塔。腕組みして戦いを見ていた。

「オビトが、ラビットキングは、スキル持ちじゃないかって」

「多分な。あいつは、まだ動いていない。動いたら父さんが対処するさ」

「分かった、気をつけて」

「お前らは、端にいる腰が引けた奴を頼む。逃がすんじゃねえぞ」

「了解」×2

 カーク


 サイカの父ちゃんは、アーマーにショルダーバックル。腰には剣を下げているというフル装備。森の奥にいるジャイアントベアーと戦うような装備をしている。娘の節目だったからゲン担ぎをしたのだろう大正解だ。


 おれたちは、最初の5匹と変わらない普通のホーンラビットと戦うことになった。今度は、カークもおれも遠慮しない。ホーンラビット一匹に2人と1匹掛りで倒す。


「サイカ、カーク。おれが、あいつを群れから引き離す。待ち構えて二人で倒してくれ。向こうの応援が来たら、ディフェンスするから」

 カーク

「了解!」


 三人で連携できるんだったら、簡単には負けない。それに端っこというのは、結構良いポジションだ。相手を分断できる。


 おれは、短剣を抜いて、端っこにいる二匹の間に突進した。そして、一番端っこの奴の肩や腹を刺す。横にいるホーンラビットには目もくれないで、大声を出して威嚇する。実際は、おれを挟撃するチャンスなのだが、そこは獣。考えが足りない。おれの攻撃を嫌がって端っこから離れる。元々腰が引けていた奴だ。思った以上に逃げる。


「いったぞ」


「カーク、『砕牙』!」

 カクーーーン


 カークは、ホーンラビットの頭を掴んで、地面に叩きつけた。


「サイカ、ヤレ!」

「『鎌イタチ』!」


 サイカは、動けないホーンラビットの首めがけて鎌イタチを撃つ。とにかく向うの方が数が多いのだ。一番効率の良い戦いをする。カークは、返り血を浴びないように、ごろんとホーンラビットを反対側に向けた。


 サイカを乗せていると言っても、カークは軽いので、もがかれたら逃がしてしまう。二人のコンビネーションがいいからできる攻撃。 


「次だ、こいつは、蹴ってくるぞ」


「ラビットキックは、後ろ蹴りよ。前に回って」

 カーク

「ダメ、後ろを向いたわ。『回転蹴り』!」

 カギャーー


 カークは長い脚で後ろ回転蹴りをした。ホーンラビットと足の長さが違う。ドガンとホーンラビットの足を蹴って、すっころばした。


 オビトは、風障壁で防戦中ね。私たちでやるしかない。


 体制が悪くて鎌イタチを撃てない。サイカは、とっさに短剣を抜いて、ホーンラビットの足にそれを突き立てた。


ピピーーン


「ムチャ、スルナ」

 カークが、サイカの襟首を噛んで、自分の背中に戻す。

「でも、動きを止めたわ」


 短剣は、ホーンラビットの足に刺さったまま。敵は逃げようとしているが、動きが遅い。


「カーク、回転蹴りから『砕牙』よ」

 ガギャーーー、ガチン

「イマダ!」

「『鎌イタチ』!」


「モウ、ジュウブンダ。オヤジサンノ、トコロニ、ヒクゾ」

「ごめん、気をつける」


 その時、最前線の味方の悲鳴が聞こえた。


「ぎゃーーー!」


「ナンダ?」

「やばい。斬波ザンパだ。風障壁を通り抜けたぞ。カーク、あの、おっちゃんを助けてくれ」

 おれは、防戦しながら、倒れた大人を指さした。

「カーク、行って。私が、バリヤーで防御する」

 カーク!!


 斬波は、波状攻撃の様に鎌イタチを飛ばす魔獣スキル。おれたちが使うザンより強力。斬切りは、鎌イタチより強力なのだが、一発だけ。斬切りは、わざとあらくて強い風を起こして相手に、ぎじゃぎじゃの傷を負わす。その時、大きな音がするので、とどめ以外あまり使わない。斬波もぎじゃぎじゃの傷を負わす。斬波も傷の治りが遅い。


 風障壁は、同じ属性で同じ性質の攻撃は、素通りさせてしまう。不味いことになった。


 この時、端から、サイカ。そして奥から父親のサイガが飛び出した。しかし、端とはいえ前線にいたサイカの方が、先に到着。キングラビットの斬波を受けることになった。


「サイカ、避けろ」


 父は、子の心配をして、ケガ人が見えていない。


「『バリヤー』!」

 それは、青い風障壁と違って、黄色い光の盾。それも、カークを覆うほどの大きさ。斬波は、この強力な光の盾を破ることが出来ない。ボボボボボッと、バリヤーに音だけが響いた。

「モゴモゴ〈咥えた〉」

「行って」


「サイカ、よくやった。後衛で救護してやれ」

「お父さん、風障壁が効かない」

「大丈夫だ」


 サイカが、前線から下がるのと同時に、父親のサイガが、まだ残っているバリヤーの横をすり抜けて、キングラビットの前に出た。


「うおおおーーーーー」


 そこからのサイガの戦いは、鬼人じみていた。魔法を使わずキングラビットに突っ込んだ。サイガは、アナログな戦いを好む。剣士として戦いだした。逆にキングラビットは、魔法職として距離を取りたい。キングラビットが、後ろに飛ぶ。キングラビットは、逃げているわけではないのだが、味方のホーンラビットには、そう見えてしまう。人間の剣幕に押されてキングラビットを守るように退散した。


 サイカとカークは、サキとカイがいる所まで後退した。そこで、父親の剣幕に追い立てられるホーンラビットを見て安心した。今日の戦いは終わった。


「サイカのお父さん凄いわね」

「それより、おじさんの治療を手伝って」

「酷いわ、ギザギザの傷」


 戦いが終わり、治癒魔法が使える戦士が、もう2人加わって、ケガ人を治癒した。あまり血を流し過ぎると、体を活性化させる治癒魔法の効果が出ない。早い対処が必要だからだ。

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