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ホーリーノヴァ  作者: 虎キリン
11/24

初期ステータス

 カサッ

 おれとカークは、茂みから水飲み場を覗き込んだ。おれたちは、水場から相当離れている。サイカは、単独で、一角ウサギを仕留めるために、前方の茂みにいる。


 …水を飲みだしたぞ、やれ

 …カーク


 ふーーーんわっ

「…鎌イタチ」

 サイカは、オーバースローの鎌イタチが得意だ。威力飛距離もそれなりだが、まだ、何度も撃てない。一発勝負だ。


 丸い形をした風の塊が、手を離れると、鎌のようになって、一角ウサギに襲い掛かった。

 でも、ちょっと高い。


 ピッ!

 空気の流れが変わったのに、一角ウサギが反応して、警戒のポーズをとった。それは背を伸ばして遠くを見る仕草。


 きゅう


 パスっと首元に当たって、血が噴き出した。一角ウサギが、こっちを向いていたので、血しぶきがサイカに向かって吹きあがった。その血が、サイカにかかる訳じゃないけど、サイカが青ざめている。でも、水場を汚さなかったのはナイス。


 ザバッ

「やったな」

 カーク!

 おれたちは、サイカに近寄って労った。おれが両手を取って、カークが、サイカの顔に頭を摺り寄せた。


「う、うん。なんか凄いことになってない」

「こっちも生きるためだから仕方ないよ」

「チヌキヲ、イッショニ、シタト、オモオ」


 頭がプランプランしているのをカークとおれが、水場から離れたところで、枝に吊り下げた。本当は、本人にやらせたいけど、急ぐことでもない。


「これで、スライム十六匹。一角ウサギ一匹だろ。最高記録じゃないか」

「オビトは、スライム七匹でよかったの」

「いいって。それより、サキに、それ見せなよ。おれも、カイのあんちゃんに、紫スライムの話を聞く。たぶん、一角ウサギを三匹は捕まえて来いって言われると思うけど。でも、毒を持ったスライムの話は、絶対してくれると思う」

「ヤッタ!」

「やったね」


 おれたちは順調に、腕をあげている。


 おれは、前の世界に転生した時に、自分のもそうだが、他人のステータスを見る能力が備わっていた。それが、今世でも失われていなかった。だから、数値でも成長を実感している。


 前の世界は、ステータスが見れるのは当たり前だった。ところが、この世界で見れるのは自分だけ。前の世界から、こっちの世界に転移させられたので、そう言うの有りなんだろうと思う。

 おれを、この世界。ガイアに呼んだのは、プロトンドラゴンの側近中の側近。プロトンドラゴンが、じいと呼んでいた老エルフのグリーン。相当高齢だったように見受けたけど、エルフの寿命だとどうなのだろう。あれから三〇〇年。生きていたら会いたいものだ。


「実は、母さんが、昨日おれが獲って来たコッコのタマゴで、クッキーを焼いてくれたんだ。ちょっとしかないけど、一角ウサギを倒した祝杯をこれで上げないか」

「嬉しい」

「オレ、カラダオオキイ」

「じゃあ、1:1:3枚でどうだ。これで全部だぞ」

「ヤッタ!」

「現金な奴だ」


 二人にクッキーを食べさせて、ステータスを見た。


 ステータスオープンと、言って、右人差し指をトントン〈ダブルクリック〉すれば、大きな画面が出てくる。わざわざ声を出さなくていいがダブルクリックは、避けられない。


「カークは、すぐなくなっちゃうから、まず二枚な。そらからはい、サイカ」


 サイカというと、サイカのパラメーターが、表示される。自分以外のは、相手を見ながら、名前を言わないと出てこない。わざわざ声を出さないでもいいが、目が合う方がよりステータス情報が、詳しくなる。


サイカ 人族 召喚士


Lv:2

HP:12

MP:12

SP:12

攻撃:5

防御:2

魔力:3

速さ:8

属性:風


スキル

 風障壁


称号

 なし



 おっ、レベル2になってる。保存っと


「もう一枚食うだろ、カーク」


カーク 恐竜族 召喚獣


Lv:5

HP:152

MP:152

SP:152

攻撃:25

防御:32

魔力:16

速さ:42

属性:風


スキル

 風障壁 脱兎 


称号

 太古の記憶を受け継ぎし者


 これで0歳だもんな。恐竜族って言うのは、成長が早いな。これも保存っと


 おれは、二人のステータスを見て、こいつらは、おれのパートナーになれると確信した。サイカは、人族で、体力も魔力もない。だけど、すばしっこさの伸びがすごい。レベル1の時でさえ4あった。今は倍の8だ。カークは恐竜族だけあって、成長スピードが半端ない。その上ベースステータスも、元々異常に有った。

 サイカは、カークの頭脳だ。カークがサイカを守れるようになると、とても強力なコンビが出来上がる。サイカには、魔物攻略とステータス回復を中心に覚えさせる。カークが攻撃。


 おれのステータスは、変わっている。前のジョブが、ドラゴンスレーヤー。そして今のジョブが、その真反対の竜騎士。ステータス的には、ドラゴンスレーヤーの剣、技、体力スキルに、魔法が加わった構成で、竜騎士は、ドラゴンスレーヤーの上位職と言える。そして、おれは、ドラゴンスレーヤーのスキルを全部引き継いで竜騎士になっていた。

 だから、魔法使いだけをあげていれば、レベルは、うなぎ登り。おれが、魔法使い宣言した理由はここに有る。その上、恐竜族並みの成長速度。パートナーと一緒に成長したいという望みがあるから、全然急いでいないんだけど、現実はこれだ。



オビト 人族 竜騎士


Lv:8

HP:256

MP:256

SP:256

攻撃:63

防御:71

魔力:9974

速さ:77

属性:風


スキル

 風障壁 視覚強化 聴覚強化 嗅覚強化 鋭気功、硬気功 剛気功 鷹の目 ウサギの耳 犬の鼻 能力向上 筋力強靭 四肢硬化 加速 倍加速 超加速 毒耐性 マヒ耐性 痛み無効化 鑑定 賢者 六属性耐性 合成魔法・・・etc


称号

 時空を渡りし者 母姉の生命を受けし者 森羅万象を解く者 ドラゴンスレーヤー 天使の祝福を受けし者



 ドラゴンスレーヤーだった前の世界では、レベルは、99まで、ステータスも999でカンストだった。ところが、この恐竜世界では、レベルは、999まで、ステータスは、99999でカンスト。人族を超越した亜人間の寿命は1000歳。ドラゴン族に至っては、1万年歳。人の寿命では、到底到達できないステータスになる。更にドラゴンのレベルは、これの比ではない。

 だから、この世界は面白い。人族は、99歳と短命な分、成長速度が速い。これから面白くなるところだ。


 おれのステータスの中で、MPが異常に多いこと以外で、もう一つ気になることがある。

 属性、つまりエレメンタルの詳細情報を見ると


光:255

火:268

風:311

水:231

土:283

闇:307


 属性レベルが異常に高いことだ。風に次いで、闇の属性レベルが高い。更に闇魔法の詳細を見ると、しっかり消去魔法が載っている。ちなみにサイカたちは、風以外全部一桁。一番修業した風が代表で表示されている。いずれにしてもおれの属性レベルが高い。これも、天使の祝福の賜物か。一度ライナ姫に会わないといけないだろう。


 ライナ姫は天使族になったと言っても元々は竜族。長命なはずだ。会って、自分がどうなったのか聞きたい。


 おれたちパーティの良いところは、みんな攻防魔のバランスがいいことだ。これは、レベルが低いと雑魚キャラ確定だが、レベルが上がると、前衛とか後衛とか考えなくていいので、2トップで行ける強みになると思うんだ。おれのレベルが異常に早く上がるのは間違いなさそうなので、役割もそれなりになるだろう。楽しみだ。


「じゃあ今日は、ここまでかな」

「そうね、また明日」

「マタ、アシタナ」


 おれたちは、ブンブン手を振って別れた。

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