君だけのサードウェポン
色素の薄く、白い肌。破れた下衣から桃色に色付いた膝と血に濡れた脛が時々こちらをねめつける。
血管の浮いた顳顬、汗を流す細い頸筋。快晴の様に透き通った、けれども今にも泣き出す曇り空の様に翳みがかった髪を撫でる。
こんな時だと言うのに、君の躰に触れたいと、愛したいと思ってしまう。午前三時、普段顔色を変えない君が、珍しく疲れを顔に出し、見目形を乱して帰って来た。
その姿には心配と欲情を憶えた。
おかえり、と小さく言った。君は僕の肩に頭を乗せ、「只今、帰りました」と僕のよりも更に小さく言う。
鼻孔を血と魅惑の香りが擽る。焦れったい。君は疲れていると言うのに、押し倒したくてたまらない。後ろめたくなって君を見ると、血に塗れたからか、気分が昂り、息が荒くなっているのが分かった。顔は蒼く、苦しそうなのが見ていて辛い。
労って声をかける。なのに君はこんな時までも僕を気遣う。風呂に入る暇もなく僕の肩で眠りに落ちる。今まで張り巡らせていた神経が一気に緩んだのだろう。
朝には自身の躰の弱さを、昼には叱ってくれる優しさを。
__では夜は?
夜には僕を快楽へと誘うあざとさを、持ち併せているのだった。