仮定法
もしも僕が鳥だったなら、貴方の所へ飛んで行くのにな。
もし貴方が僕を止めていたら、あの時何かが変わってたかな。
もしも貴方と見た春の桜が恒久的なものだったら、宝物だったのかなあ。
もしも貴方と食べたあの夏のアイスが溶けなかったら、僕らの関係はどうなっていたのかな。
もしも貴方と食べた秋のご飯が冷めていたら、僕らも同じ様に冷めていたのかも。
もしも貴方とあの乾燥した冬の空気の中で手を繋がなかったら、僕は貴方を諦めていたのかな。
貴方と過ごした春。
貴方と過ごした夏。
貴方と過ごした秋。
貴方と過ごした冬。
総てが記憶であり、知識であり、人生そのものだったんだ。
もし僕があの時、胸に穴を開けてでも貴方を止めなかったら、貴方は道を踏み外したままだったのかな。
それはどうしても嫌だったんだ。
貴方には笑っていて欲しいからさ。
もしも僕と貴方が出逢わなかったら、僕も貴方も、こんなに辛く、苦しく、哀しくなる事は無かっただろうに。
もしも僕と貴方が出逢わなかったら、僕も貴方も、こんなに嬉しく、優しく、幸せになる事は無かっただろうに。
もしも僕が貴方にとってたった一人の恋人だったら__
愛に溺れてただろうになあ。