不器用は不器用で救え①
教室に戻ると、美沙ちゃんはいつも通り
笑顔を振りまいていた。
本当に、弱いところ人に見せないんだな。
待っててね。
俺が君を守る!?
「武田アアアア!」
「はい?!」
振り返ると、竹田先生
「テメエ留年だろうが!!」ー
ー「はアアアアアアアア?」
こうして廊下へ追い出された俺。
「テメエ、0点なんか取ってよく教室居られんなあ?」
「いや、勉強時間60時間ですよ? 対策してあれなんですよ!」
「いや、してねえって。してたら、もっといい点取るって」
「じゃあ調べたらどうです?」
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インタビュー形式
こうして、竹田は武田のことについて、
塾講師、家庭教師に実際インタビューを
行った。
ー初めまして、丸岡中学校で武田君の担任をしてます、竹田と申しますー
山本「河合塾で武田君のクラスの講師をしている、山本です」
富永「武田君の家庭教師をしてます。富永です」
ーこの度はわざわざお越し頂きありがとうございますー
2人「いえいえ」
ー早速ですが、今回の期末テストに向けての
武田君の勉強姿勢について聞かせて頂いてもよろしいでしょうかー
山本「そうですね。塾には週2で来ていました。
課題も放置することなく、なんなら塾が終わった後も私に質問して、よく頷いてからましたし。
土日は午前自習に来て居ました。本当に努力家です」
ーそ、そうなんですね。富永先生はどうでしたかー
富永「ええ。週3回、3時間共にテスト対策しましたが、分からないところは聞いてくれて、、、ノートも復習も宿題も全てきちんとこなして、、、
よく頷いてくれました」
ーよく頷いてた、、、んですねー
2人「はい、よく頷いてました」
爽やかな笑顔をする2人
ー本日は、あ、ありがとうございました!ー
2人「ありがとうございました」
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「武田アアアアアアアア!」
「はアアアアい」
「てめえ、、、本当に勉強してんじゃねえよ!いっそのこと努力しないバカであってくれよ!うぅぅ、もう何にも言えねえよ、、、!てか、勉強に対する投資額ならクラス1位だよ!」
「はい、俺努力しか出来ないんで」
「それ、不器用で努力して、成功した奴の言うことだよ!お前、う、うぅ!不器用で努力して、、、失敗してんだよ!」
「お、俺だって、俺だって!成功したいんすよ!
エジソンになりたいんですよ!イチローになりたいんですよ!1パーの才能しかなくても、99パーの努力でのし上がりたいんですよ!」
「バカ! お前その2人は1パーの才能がめちゃめちゃすごいし、めちゃめちゃ濃いんだよ!
お前に1パーの才能まだ見つかってねえよ、そもそも勉強ではねえよ」
「う、う、、、カニ」
「どうしたいきなり」
「いえ、何でもないです」ー
ー「そういうとこだよおおおお」
うおおおおおおおん!
こうして、武田と竹田は泣きながら、お互いを
抱きしめ、、、悲しみを分かち合ったのだった。
あれから、3日。
なんとか、クラスに戻れた。
よかったあ。
頑張っていれば必ず、良いことある。
俺は家である作業をしていた。
美沙ちゃんを救うために。
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「美沙〜〜〜、ご飯よ」
ー行きたくない
「学校遅刻しちゃうよ」
休みたい。
でも、今日休んでも
明日もっと学校が怖くなる。
今日は、、、
美術で描いた自画像が、
廊下に張り出される日。
「行って来ます」
今まで、多少の不器用はごまかせた。
このルックスでー
運動だって女の子だから、可愛く「難しい〜」
ってやっておけば、「お嬢様だからね〜」って
言ってもらえたし。
勉強は、小さい頃からみんなの6倍やって、
みんなの2倍出来るようにした。
友達作りも、この華やかさで苦労せず。
完璧なキャラ設定ー
ーただ、絵はどうしても
「無理なのおおおおお!」
私が美しい分、絵が下手だとなおさら目立つし。
初めて美人な自分を恨んだ。
どうしよう、、、
どうすれば。
「美沙〜おはよう」
「あ、、、おはよう」
「ねえ、美術の絵見に行かない」
「いや、、、」
「行こうよー!美沙絵うまそう、すごいみたい」
「私、絵下手で」
「えええ、尚更見たい」
ー下手っていうか。
ムンクの叫びみたいになってしまうほど、
下手すぎて、、、怖いよ。
なんて言えず、、、
廊下に向かった。
すると、ある一枚の絵に人だからが!
「なにあれ!」
も、もしかしてあれ、、、まさか?!
私の絵だったりして。
「きゃああああ!!」
思わず、悲鳴をあげる。