第7話
苦戦する班長
甥っ子の成長にほのぼのする暇はなく、勇司は順調に追い込まれていた。
意思を持つ革靴の動きは素早く雹の足にかかる負担まで軽減し、特殊警棒は事前動作無しに自在に鋭い攻撃を仕掛けてくる。
手に持つ煙草に火をつける暇すらなく経験と意地だけで攻撃を避け続けているが、雹はそんな勇司を見ながら笑顔で攻撃を繰り出していた。
(さすがだなー全く当たらないやっ。特技も使わないですっごく余裕しゃくしゃくって感じだよ!)
下から跳ね上がる特殊警棒は勇司の持っているライターを狙い打ってくるが、手を引き何とか難を逃れる。しかし特殊警棒はそこから角度を急激に変え、普通の人間では腕と手首が壊れてしまうような動きも警棒主導で動き、雹は軽く握っているだけでそこまでの負担は掛からない。
角度を変えながら何度も鋭く打ち込まれる警棒をそう避けれるものではなく、ライターは叩き落とされ更にはもう片方の手に持っていた煙草までも弾き飛ばされていた。
(こりゃあちとばかし強すぎるな。消耗してるのは俺だけで体力切れも狙えそうにないと、そりゃあ動いてるのは靴と警棒ですもの。そしてなぜ笑顔で攻撃してくる?不気味だぞ我が甥っ子。)
憧れの眼差しのまま攻撃を仕掛ける雹相手に勇司は反撃の糸口を探すが、ここまで続いていた猛攻は唐突に止み、雹は特殊警棒を優雅にも見える動作で床に置き特技を解除する。
「やっぱり勇・・・じゃなくて、班長すごいやっ!じゃあもっといきますっ。」
「言い直すぐらいだったらもうオジサンでいいぞー。・・・そして何か今のは小手調べ的な雰囲気を醸し出しているのが、オジサンちょいと不安だな。」
勇司の不安は他所に置かれ、嬉々とした様子でスーツの内側からナックルダスターを取り出し両手に装着した雹は、新たに特技を使っていた。
【付喪神・ナックルダスター】
「じゃあ勇司オジサン、いきますっ。」
軽く両手にはめたナックルダスターを叩き合わせ金属同士がぶつかる鈍い音を響かせると、革靴とナックルダスターは雹のためにと動き始めていた。
内心焦る気持ちを勇司は顔に出さないよう、落ち着き払って袖口に隠している銀色の煙草を咥え、親指と中指を
スナップして鳴らすと親指の先から火が出る。
火のついた銀色の煙草の煙を吸い込み、勇司は特技を使っていた。
【銀煙・ダーツ】
吐き出された銀色の煙は無数のダーツ状に形どられ、雹に向かって一斉に飛んでいく。しかし危険を察知したナックルダスターは迎撃に動き出し、飛んでくるダーツを連続で素早く突き出されるナックルダスターによって叩かれ、全てのダーツは煙に戻されていた。
連動する革靴とナックルダスターは迎撃を成功させると、一気に距離を詰めにくるが勇司はダーツが稼いだ時間で新たな煙草に火をつけ吸い込む。
【白煙】
吐き出される白い煙は特技によって操られ雹の視界を塞ぐように顔の回りを包むが、その動きに動揺や乱れはなく一直線に勇司へと向かってきていた。
(こいつは・・・、煙草の選択ミス?)
特技によって革靴、ナックルダスターは意思を持って自在に動き、雹の視界が塞がれていても意思を汲んでオートマティックに攻撃は続けられる。
凶器付きの拳は勇司に連続で迫り、なんとか自力で対応していく姿を見ながら、雹はまるで他人事のように感心していた。
(やっぱりすごいやっ。手のやつだけじゃ当たらないなら、足も使わなきゃだ。大事なのは脱力、脱力。)
休む間を与えずナックルダスターによる攻撃だけではなく、革靴が自在に動き蹴りを交えた攻撃を雹は始めていく。
模擬戦は勇司の押されっぱなしで終盤を迎えていくのであった。
少しバタバタしてて更新が遅れました。
やっぱり容疑者相手じゃないと、加減しての戦闘は書くのが面倒くさいです。




