第5話
26班
ソファーに座りながら眠っていた陵司はゆっくり目を開くと、頭を軽く振り意識を覚醒させる。鼻の奥に残る刺激臭、少し焼けた喉、そして開いた目に映るまだ目を覚ましていない隣で眠る雹に手を伸ばす。
「雹起きろっ、息は・・・、してるな。」
揺り起こされた雹は一度目を覚まそうとするが、再び眠りにつこうとするところを更に強く揺さぶられる。
「・・・んん、んーっ。陵君?がま口財布はお揃いでもいいと思うんだけど、陵君はどう思う?」
「がま口財布はポケットの中だと邪魔だからいらねえよ。寝ぼけてないでシャキッと起きなっ。」
二人が目を覚まし周囲を見回していると近くにある扉が開き、これといった特徴のない中年男と長い黒髪を腰のあたりまで垂らした女性が入ってきていた。
「おっ、目を覚ましたか。あの煙ってそんなに危険なやつだったの明香ちゃん?」
「危険に決まってますよ班長、魔女の秘薬ですからね。効果としてはまだ確認してませんが。」
「それを我が息子に?まあ、二人共頑丈だから大丈夫だろ。」
入ってきたのは特局26班の班長であり陵司の父親である橋中 勇司と、今日まで26班の唯一の班員であり、家が橋中家のご近所さんで二人が小さな頃から面識のある矢島 明香であった。
「親父と明香姉かよっ。いったい何が起こったっつうんだ?」
「おはよーございます、勇司オジサンに明香さん。」
陵司からの質問に勇司は何事もなかったかのようにあっさりと答える。
「それか。ただの毒薬作りの真っ最中だっただけだ。ここじゃ日常の風景だから慣れろ、ちなみにガスマスクはそのロッカーの下の段だからな。」
「毒とは失礼ですね、毒になりそうな物は八割強ぐらいしか入れていませんよ。」
確かにこれが普段の光景なのであろう二人の会話を聞き陵司と雹は少し困惑していると、促されロッカーに荷物を入れ部屋から出ると今まで寝ていた部屋は仮眠室だと分かる。
そして皆を見渡しながら、班長である勇司は次の指示を出す。
「26班はこれからこの四人だからわざわざ自己紹介の必要はないな。だがお互い特技の紹介は必要だろ?こんな書類じゃ何も分からないしな。」
新しく入局してくる人員のプロフィールが書かれている書類を勇司はデスクに入れると、四人は慌ただしく26室から出ると地下に作られた訓練室に向かう事となる。
そこでは陵司と雹を初めての模擬戦が待ち構えているのであった。
とりあえずこの四人が話しの基軸です。なんというか内輪なお話し。そのうち増員の予定ですが、全く新しい登場人物のアイデアは浮かんでいません。




