第32話
不穏な特技
土屋は三人が工場内に踏み込んできた時には一瞬驚きはしたものの、こうなる事が分かっていたかのように落ち着いていた。
初めて特技を使ってからまだ一ヶ月弱。生まれて初めて使った特技に興奮し、そしてまた使うごとに新たな失望を覚えていく。
自らが勤めていた葬儀場で偶然が重なり発動した特技、【フランケンシュタイン】は遺体三体を纏め人造人間の怪物を作り出す特技であった。
土屋が物心つく前からすぐ身近にあった特技というものではあるが、土屋のソレはいつまでたっても発動する事はなく歳を重ねる。
どうやっても使い方の分からない特技を抱えたまま学生生活を終え、何か特技のヒントがないかと冠婚葬祭業に就職し、ようやく特技が表面に出てきたのであった。
しかしようやく発動した特技も、何かの役に立つ特技ではない。
死体を三人纏めて怪物を作り出す特技などなんの役に立つ?
知能も高くない巨漢で腕力のみの怪物を。
そして実験の結果どんな年齢、性別の遺体を纏めても出来上がるのは同じような怪物であった。そして生きている人間ではもちろん特技が発動される事はなく、失敗に終わる。
だが土屋は工場に踏み込んできた三人を見て気付いていた。
この特技は怪物を暴れさせる為だけに存在してると。
後ろに待機させていた怪物に究めて簡単な命令を出す。
暴れろと。
とりあえず書こうかどうか迷った容疑者側のお話です。短いので、次話は明日あたりにでも投稿します。




