第2話
二人
童顔には少し似合わないロングコートを身に纏い、平均を少し下回る低い身長ながらも背筋を真っ直ぐに伸ばし、これもまた童顔には似つかわしくない鋭い目つきで前の壇上を橋中 陵司は見つめる。
その横ではどのような服であろうとも似合ってしまいそうな高い身長に整った顔立ち、一見すると冷たそうな印象さえ与える高山 雹が真新しいスーツをさっぱりと着こなしている。しかしその表情は少しだけ気恥ずかしそうに俯きがちに壇上を見つめていた。
二人の視線の先では年齢はかなり上であるものの雹によく似た雰囲気を持つ眼鏡を掛けた男が壇上に立ち、落ち着いた声を出す。
「局長の高山です。入局を祝いたい所ではありますが、そのような暇はないと思って欲しい。私達の相手は特技によって犯罪を行う連中、訓練に訓練を重ねすぐに現場に出られるよう頑張って欲しい。ここからの事はすでに通達してある各班の班長に従って動くように、以上だ。諸君の健闘を祈る。」
一礼をして壇上から下りていくのは特技犯罪捜査局の局長である高山 久信であり、未だ少し気恥ずかしそうに下を向く雹の父親でもあった。
特局の入局式はあっさりと終わり、人数的にはそう多くない入局してきた新人達は指示に従って各々動いていく。
そんな中雹は思い切り背中を叩かれ前につんのめると、少し涙目になりながら後ろを振り返っていた。
「ヒドイよー、陵君。何か久しぶりに父さんの顔見たから少し調子でないんだからね。」
「そう言ってやるなよっ。うちのオヤジと違ってあんなに仕事出来る感が溢れかえってるんだから仕方ないだろ。」
ニヤリと笑いながら雹を見上げる陵司は、更にもう一発と雹の腹にじゃれるように拳を打ち込みスッと笑みを消す。
「とりあえず早く行くぞ。雹も26班なんだろ?」
「もう痛いからやめてよー。たしか26班って紙に書いてあったの貰ったはずだよっ、少し待ってね。」
バタバタとカバンを漁りながら書類を探す雹の襟首を掴み、陵司は引きずりながら迷いのない足取りで建物内を進んでいく。
「あっ、あったよー。やっぱり26班だったみたい。」
「それはよかった、もう到着したからな。」
二人の前には分かりやすく26と数字の書かれた扉があり、中からは分かりやすく怪しい雰囲気が漂ってきていた。
「ねえねえ、陵君。扉の下からなんか煙出てるし中から変な声聞こえてるよー。」
「出てるし、聞こえてるよな。でもなんか聞き覚えのある声のような・・・。」
陵司は意を決して扉に手を掛け、雹は高い身長を折り曲げてその後ろに隠れる。扉を開け排出される土留色の煙の向こうに見える景色を見ようとするが、惜しくもそれは叶わず吸い込んだ煙によって二人は意識を奪われるのであった。
とりあえずようやくスタート的な感じです。しばらくはキャラ紹介的なお話しの予定です。




