第24話
役割分担
トンネルを抜けたワンボックスは雹の操る特技によってトラックを追跡し、自動販売機を大量に積んだ後ろ姿を見つけると陵司は赤色灯のスイッチを入れていた。
「やっぱりこれ鳴らさないと雰囲気出ねえよなっ!」
「そうだねー、追いかけてるのバレちゃうけど。」
「んっ?それもそうか。だけど鳴らさなきゃ他の車に迷惑になるだろ?」
「たしかにそうかもー。じゃあ車さんよろしくねっ。」
雹の意思を組むワンボックスは一定の距離を開けたまま派手にサイレンを鳴らし、周囲に注意喚起をするとトラックも追っ手に気付きスピードを上げる。
一応ハンドルに手を置き運転している感を出している雹は、勝手に動くハンドルを緩く握り、意思だけを伝えていた。
(お願い、一緒にトラック止めるよっ。)
赤信号の交差点へスピードを落とさず突っ込むトラックと車4台分程間隔を開け、ワンボックスも交差点に侵入していく。
急ブレーキを掛けて止まる青信号の車に雹は頭を下げながら、更に追跡を続けると前方には住宅地が見えてきていた。
「あの穴の仕組みがどうなってるのか分かんねえけど、あっちはダメだっ!」
「うん、陵君分かったっ!」
真っ直ぐ住宅地へ向かうトラックへワンボックスは一気に距離を詰めようとするが、荷台では細身の男が動きを見せる。
両手で軽々と二台重ねた自動販売機を持ち上げ、ワンボックスに狙いを定めていた。
「行くよっ、車さんっ!と陵クンっ!」
「・・・んっ?」
雹の掛け声に陵司はよく分からないといった声を上げるが、ワンボックスは一度ブレーキでスピードを落としそこから猛烈な勢いで走り出していた。
飛んでくる自動販売機を一台避け、地面を転がってくるもう一台を微妙なハンドル捌きで調整すると正面付近で衝突し、ワンボックスはつんのめるように中を舞う。
「おいおいおいおいっ!」
空中に浮き、そして飛んだワンボックスの中で陵司はシートベルトを握ろうとするが、しっかり締めていたはずのシートベルトが肩口にない。
(なっ?いつの間に?空中で回ってるんだぞこっちは。・・・つうかこの勢いだとトラックの前に着地?)
縦回転する車内で陵司は浮遊感を得ながら時間をゆっくり感じていると、脱出用に作られた助手席の天井がこれもまたいつの間にか開いていた。
「あっ・・・。」
空中で逆さになったワンボックスから陵司は自由落下していく。
空で伸ばす手はワンボックスには届かず、トラックの荷台にあえなく落ちた陵司の目の前で、自動販売機を持ち上げながらワンボックスの軌道を視線で追いかける男とバッチリ目が合うのであった。
何か書いていたら中途半端にここまでとなりました。
話が全然進まない事に悩みながら次話を書いていきます。




