第23話
盤面
【盤面】
特技を使った途端、目を瞑っている陵司の頭の中に今現在いる地点から俯瞰の絵で将棋の盤面のように広がり、陵司が意識した人物だけが光点で浮かぶ。
(横にいるのは雹で後ろが明香姉と。つう事はこの移動中がさっきトラックの奴だな。)
すると陵司は目を開き、情報端末に目を通して周辺の地図を確認すると雹に指示を出す。
「バックだバック。下がって道一本右だ。急げ雹、見失っちまうぞっ!」
「うんっ、急ぐっ!」
タイヤを軋ませながら急発進でバックするワンボックスは最初の交差点まで走り抜けると、急ブレーキから前進して勢い良く左折していく。
更に目を閉じ陵司はトラックの場所を確かめ、情報端末に映し出される地図を見ながら何かがおかしい事に気付く。
「んっ?今このすぐ右にいるはずなんだけどな・・・。建物しかねえぞ。」
「どーゆう事陵君?」
「普通に考えたら横の建物の中走ってる・・・?ねえか。」
「ないよないよー。ただのビルだしねー。」
それでも気になる地点までワンボックスを走らせていくと、前方のビルの壁に不自然な空洞が空き、そこからトラックが走り出てきていた。
「・・・中から来たな。」
「来るもんなんだねー。」
「アンタ達、ぼやっとしてないで早く追いなさい。相手は少し嫌な特技持ちみたいだよ。」
慌ててワンボックスの向きを変え改めて追跡を始めると、トラックはトンネルへと入っていく。
赤色灯を消したワンボックスは少し距離を開けてついていくと、トラックはトンネルの中で急にハンドルを切る。
そのまま壁に突っ込むと思われたがトンネルの側面に不自然な穴が空き、その穴はトラックが侵入するとすぐに塞がっていた。
「ああやってたってわけか。妙ちくりんな特技使いやがって。」
「そうだねー、だけど早く追いかけなくちゃだよっ。」
「分かってるよっ!トンネルをこのまま出てとりあえず左だ左っ。」
追うものを一時見失ったワンボックスはトンネルを進んでいくが、後部座席から冷静な声が飛んでくる。
「二人共、よく容疑者を見つけたしそれにいい運転ね。だけど問題はどうやって止める?」
明香からの質問に目を瞑ったまま特技を使っている陵司が口を開く。
「雹は運転、俺はトラック探しだろ。それは明香姉でもいいんじゃねえか?」
「・・・それもそうね。いいでしょう、トラックの後ろか横につけて。」
明香の返事に陵司は目を閉じたままニヤッと笑い、雹に声を掛けていた。
「了解っと、行くぞ雹。」
「うんっ。それにしてもその特技ってこの前勇司オジサンを見つけたのと同じ特技なの?」
「んっ?そうだぞ。普通棋士が味方と敵の駒見失うはずないだろっ。」
「んーと・・・、そうだよねー。」
二人は呑気な会話をしながらも猛スピードでワンボックスを進め、三度トラックに向かっていく。
後部座席では自らの仕事をするべく、明香はローブの内側から小型の試験管を取り出し魔女の微笑みを浮かべるのであった。
この話でこの事件を終わらせようと思っていたのですが、次話まで持ち越しです。
書いてはいませんが、書き次第投稿いたします。




