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第17話

転職


ある朝、陵司と雹の二人が余裕を待って早めに出社し26室の扉を開くと、そこにはせっせと荷造りをする勇司の姿があった。

部屋へ入ってくる二人を見つけた勇司は一瞬手を止め、明るく声を掛ける。


「おーっ、来たか来たか。今日で特局辞める事になったからよろしくな。後のことは明香に任せてあるから、ちゃんと従えよー。」


突然の報告に驚く二人ではあるが、陵司は険しい表情を浮かべ、雹は今にも泣きそうな表情で勇司を見つめる。


「・・・クビか?何をやっちまったんだよ親父?」


「嫌だけど・・・僕、父さんに頼むから。勇司おじさん何したの?」


勇司は二人の言葉を目をパチクリさせながら聞くと、おもむろに近付き二人の頭を軽く小突いていた。


「二人揃いも揃って俺への評価が低すぎだろっ。ただの転職だよ、ただのな。」


二人は小突かれた頭をよく似た仕草で擦りながら、急な勇司の発言に驚く。


「四十過ぎての転職はキツいらしいじゃねえかよ。大丈夫か?」


「そうだよ勇司おじさん、やっと僕達も特局に入れたのに・・・。」


すると勇司は自分より低い位置にある陵司の頭と、かなり高い位置にある雹の頭に手を乗せて優しい声を出す。


「・・・明日から消防士になるんだ、火事場が俺を呼んでるからな。まあ、お前達なら十分にやっていけるはずだ。ってな訳で頑張れよー。」


軽くポンポンッと二人の頭を叩くと、何事もなかったかのように勇司は再び荷造りに戻っていく。


呆気にとられながらも勇司の話しを聞いていたが、二人は簡単に理解を示していた。


「なんつうか、決めたもんは仕方ねえか。親父の部屋、消防から貰った表彰でビッシリだし、何で特局にいるのかが不思議なぐらいだったしな。」


「そうだよねー。子供の頃遊んでもらってた時、火事を見つけたら勇司オジサン飛び込んで行ってたもん。かっこよかったなーあれっ。」


二人が話している間にもさっさと勇司は荷造りを済ませ、特局を立ち去る準備を終えていた。


「さて、ここはこれで問題無しと、じゃあ陵司と雹訓練室に入りな。最後に明日から消防署員の実力を見せてやるよ。まあ、特局を辞める時のお決まりってやつだな、班員全員との模擬戦は。」


その言葉に陵司は童顔に似合わない野性的な笑みを浮かべ、雹は形の良い眉を曲げ困ったような表情を浮かべる。


「ほぉーっ、なかなかに面白そうな儀式じゃねえかよ。」


「うーん・・・。あんまりボクはそうゆうのは苦手だけど、陵君がやるならボクもやるよ。」


三人は最後の模擬戦の為に訓練室に向かっていく。

三人の消えた26室ではまとめられた勇司の荷物を見て、怒りに震えるもう一人の26班員の姿があるのであった。



なんとなく更新です。

前作主人公の最後の見せ場の予定です。

少しばかり戦闘させて行きます。

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