第15話
飛び出す二人
容疑者と思われる二人を見つけると、勇司はIDカードを提示し声を掛ける。
「特局です。こんな場所で何をしているのかうかがっても?」
冷静に声を掛ける勇司とIDカードを見て顔色を変えた中年の夫婦はあっさりと捕まる気はサラサラないらしく、持参の袋にショーケースから盗み出した貴金属を放り込むと袋の口を縛り、中年の夫婦は現れた四人を見つめていた。
「特局か・・・、最初に駆けつけるのは消防じゃなかったか。」
「あんた、もうここに用はないから早く逃げるよっ!」
早速逃げ支度を始めようとする二人に対して、すでに陵司は飛び出し、遅れまいと雹もついていく。
走り出した二人を勇司が止めようと手を伸ばすが、その手は空振りに終わり空を切る。
「おいおいっ、何勝手に飛び出して・・・」
勇司の声は二人には届かず、ロングコートの中から特殊警棒を抜いた陵司は警棒を一気に伸ばし、雹は目的の物を探しに容疑者とは違う方向へと走っていく。
一人特殊警棒片手に飛び込んだ陵司を見た中年の夫婦は迎撃しようと、旦那がその場でしゃがみ床に触れながら軽く擦り特技を使う。
【火おこし】
全く火の気のないデパートの床から一気に火柱が上がり通路を炎で塞ぐが、陵司はスピードを落とすどころか更に足を前へ前へと出しロングコートを頭からすっぽり被ると炎へと飛び込む。
煙を上げ、少し焦げたロングコートから顔を出す陵司を見た旦那は慌てて金串を取り出し、手首の力だけで投げつけていく。
【串打ち】
鋭い反射神経で飛んでくる金串を特殊警棒で受け止めるが、特殊警棒の頑強な金属を突き破り金串は特殊警棒を串刺しにする。貫かれた特殊警棒を見て陵司は相手の特技に見当がついていた。
(ほうほう。これは十中八九アウトドア系、それもバーベキュー成分強めの特技ってとこか。となるともう一人の奥様っぽい方は?)
少し焦げた前髪も気にせず陵司は二人を視界に収めると、一見上品にも見えるご婦人がすでに次の特技を仕掛けてきていた。
【二枚おろし】
ハンドバックから取り出した特技をのせたサバイバルナイフを特殊警棒で受け止めるが、刃が特殊警棒にあっさり入り込み、真っ二つに切断される。半分になった特殊警棒を投げ捨て、陵司は余裕を持って笑顔を見せると交互に中年夫婦を眺め口を開いていた。
「反撃なんてせずにさっさと逃げていれば、もしかしたら逃げ切れたかもしれないな。」
言葉の真意を夫婦が掴みかねていると、陵司のすぐ後ろに用を済ませた雹が立っている。
「準備できたよー。」
「早かったな、じゃあ雹任せた。」
「うんっ、任せといてー。」
自信満々に応える雹は陵司の前に出ると、二人の火事場泥棒相手に特技を発動していくのであった。
かなり更新が滞ってしまいました。
次は多少早めに。
そして容疑者の旦那の特技はもっとしっかり書いてもよかったなー。




