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第13話

親子


二人が特局に入局してくる前からもちろん二人の特技を知っていた勇司は、その成長に驚いていた。

【付喪神】と【盤面の棋士】という二つの特技の事は知っているつもりでいたが、まず家で特技を見せる事などない。それは自身の持つ【喫煙】という特技が気に入っていないという事もあるし、家でまで特技を使いたくはなかった。


身体を動かしながら勇司は自らの心に問いかける。


(俺ってまぁまぁ弱くはないはずだよな?ここでも十本の指は言い過ぎか、十二いやっ、十七本の指には入るぐらいの実力はあるはずだよな。それなのになんだ、この苦戦のしようは?もしや老化か?)


長年特局に務めてきて早三十年弱、勇司は若干の老いを感じながら客観的に自らを見ても、そこまで肉体派という訳でもない戦闘法により衰えを感じる程ではない。


出入りの激しい陵司の攻撃にまともにはついていけず、咥えた煙草から吐き出す煙で視界を塞ぎ、攻撃に転じようとするがあっさりと主導権を奪い返される。


(これが新世代と旧世代の差ってやつか?歳なんてとりたくないもんだよ。)


煙の合間を縫って打ち込まれる拳をガードするが、腕に走る衝撃に顔を歪め、咥えていた煙草を落とす。


陵司は幼ささえ感じる童顔に野性的な笑みを浮かべ、拳に握り込んでいる駒を床に落としながら特技を使っていた。


【持駒・歩】


落とされた駒から小柄な陵司より二回り程小さな木人形が出現し、陵司を守るように前に立つ。ツルッとした表情のない木人形は木の腕を上げ構えるが、小さな木人形はお世辞にも強そうには見えない。


それでも兵である歩は勇敢にも前に出て勇司へと攻撃を仕掛けていくが、リーチも短く早くもない攻撃はあっさりと躱されてしまう。反撃に勇司の口から吐き出される銀色の煙から変化したダーツが歩の木製のボディに刺さり、敢え無く駒に戻るが陵司は気にする素振りも見せなかった。


(やっぱり歩だししょうがねえか。もう少し粘れたらどうにかなるんだけど、なかなかどうにもならねえもんだよ。まあ、まだ手はあるからいいか。)


陵司の手の中には新たな駒が二つ握られ、その出番を待っている。


しかし向かい合う二人の内ポケットから緊急要請を知らせる連絡音が同時に鳴り響き、二人は情報端末を取り出す。


「要請か、とりあえず模擬戦はここまでだな。陵司行くぞ。」


「了解っと、じゃあ行くか。」


「もう二人は駐車場に向かってるみたいだな。地下に急ぐぞ。」


二人の模擬戦は唐突に終わりを告げ、地下駐車場に向かっていく。四人揃った26班は黒いワンボックスに乗り込むと、すぐさま要請のあった現場へとワンボックスを走らせていくのであった。




だいぶ更新が遅れがちです。

なんとかスピードをあげたい。

とりあえずあまり模擬戦は盛り上がることなく、次の事件に入ります。

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