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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
一章 知らなかった世界の真実
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5話 超能力者の戦い

「さて、二人の加入が決まったことだし、桜川支部のメンバーを

紹介するわ」


 会長が俺たち二人に一言告げると、会長の後ろにいた四人が前に出る。

 俺は前に出た五人を観察する。二人が女性で、残りの二人も男性だ。会長が言うには、会長以外の全員が二年生だという。それと、敬語はいらなくて名字で呼んでくれていいということ。なんか違う気がするが、気にしないことにした。

 会長はその四人を紹介し始めた。


「彼女は霧島凛。能力は『記憶操作』」


「よっ、よろしく……」


 彼女は少し暗い感じで、前髪が片方の目にかかっている。しかし、記憶操作か…彼女は戦闘に参加しない感じか。


「彼女は記憶操作だけじゃなくて、狙撃も得意なの。メンバーの中の

唯一人の後衛よ」



 後衛が一人だけか……少ないな。てっきり、前に見たヤンキーっぽい奴も後衛だと思ったんだが。


「そして彼は佐藤蓮。能力は『発火能力』」


「ちっ……」


 会長が次に紹介したのは、昨日火を出していた茶髪のヤンキーだ。佐藤は俺に舌打ちすると、また会長の後ろに戻っていってしまった。

 

 なんか態度悪いなぁー。


「ごめんなさいね。彼はあんな感じだけど、根はいい性格なの。数少ない男子メンバーだし、仲良くしてくれると嬉しいわ」


「善処するよ」


 まぁ、時間はあるんだ。ゆっくり、馴染んでいくさ。


「さて、次は今村幸一。能力は『物質強化』」


「……よろしく」


「ああ、こちらこそ」


「どっ、どうも」


 今村は会長に言われ、前に出てくると俺と加藤にそれぞれ握手してくる。

 今村はとても大柄で、身長は百九十センチくらいある。だが、大柄の割に、怖さを感じない。どうやら、優しい性格のようだ。


「彼は壁役で盾を使って、敵の攻撃を受け止めるのが仕事よ」


「なるほど、その能力で盾を強化するってことか。なぁ、その能力で人を強化することは出来ないのか?」


「それが今のところは、強化することはできないわ」


「今のところね……」


「超能力は進化するから、その可能性も否定できないのよ」


 超能力は進化するのか。魔法に例えると、使っていて威力が上がるとか、規模が変わるみたいなものだろう。


「じゃあ、最後ね。彼女は服部彩。能力は『風力操作』」


「中学生?」


「高校二年生だ」


「マジか?」


 俺は服部は小柄で中学生に見える。前に今村を見た関係で、小さく見えるのかもしれないが。


「彼女は忍者の末裔で、諜報が得意よ」


「忍術は使えないのか?」


「「……」」


 俺が質問をすると、彼女たちは黙ってしまった。忍者なのに忍術使えないのは禁句だったのか、今度からは気をつけよう。さしずめ、風力操作が忍術みたいな扱いか。俺は一人納得した。


 これで、この桜川支部のメンバーの紹介が終わったわけだが、このチーム後衛が少ないが、バランスのいいチームだ。俺は前衛ポジションだが、加藤が後衛に入るのなら、これ以上にバランスが取れていいチームになるだろうな。そういえば、加藤の能力って何だろうか。俺はこの後にでも会長が話すだろうと思い、ここでは加藤の能力については触れなかった。


「さて、じゃあ次は……失礼」


 そして、会長がさらに話を進めようとしたところで、彼女の携帯が鳴る。


 本部からかな?


「本部から連絡よ。桜川市Aエリアの反転世界に魔物の出現を確認したそうよ」


 ビンゴのようだ。

 会長が言うには、桜川市は四つのエリアに分かれるらしい。Aエリアは駅の方面、Bエリアはここ学校付近、Cエリアは南の海の方面、Dエリアは北の山の方面がある。つまり、今回現れたのは前に俺が戦ったのと同じ駅のということだ。


 俺が早速実践かと意気込み、加藤はとても緊張してるようだ。というか加藤、お前は戦えないだろうが。

 そんな時、会長が俺たち二人に声を掛けた。


「今回二人には、私たちの戦いを見てもらいたいの」


「なるほど、お手並み拝見というところかな」


「前はあなたが戦うところを見せてもらったからね。今度は私たちの番よ」


 こうして、俺と加藤を含む、桜川支部のメンバーはAエリアへと向かった。







「ここね…」


「相変わらずな、雰囲気だなここは」


 目的地に着くと、俺は魔物の気配を察知する。一匹か……だがBクラス。


 そして隠れていたであろう、魔物が姿を現した。その魔物の姿は鬼のような姿をしており、色は緑。こいつはオーガ。攻撃力が高いとして、グランシウスでは有名な魔物だ。


 会長たちもそれぞれ戦闘態勢になる。会長は刀を、霧島は銃を、佐藤は火を、今村は盾を、服部は小太刀を何もない空間から取り出して構える。


 んっ?佐藤は能力で出したとして、ほかの皆はどうやって出したんだ。俺はメンバーの行動を見て、疑問を抱く。そこで俺は前に会長が言っていた、魔物を倒すための兵器の存在を思い出した。あれが例の兵器のようだ。ということは、何もない空間から出したのも、それが関係しているんだろう。

 俺が一人考えていると、会長たちより早くオーガが動き出した。


 オーガはこん棒を振りかぶり、会長へと向かっていく。しかし、その間に大きな盾を持った大男が入ってくる……今村だ。今村はその大きな盾をがっちり構えると、オーガの攻撃を受け止める。俺はオーガの攻撃を受け止めて、一歩も後ろに下がってない今村のパワーに驚いた。


 オーガは自分の攻撃が止められたからなのか、動揺し動きが止まる。もちろん、会長たちがこの隙を見逃すはずがない。今度は会長と服部の二人が同時に動いた。二人は左右別々の方向から、オーガに向かっていく。オーガもその二人の行動に気づき、止めようとするがそこに的確な射撃がオーガに命中した。メンバーの唯一の後衛の霧島の射撃だ。


 そして、怯んだオーガに会長と服部がそれぞれの斬撃を浴びせる。服部は能力を使い、斬撃に風を纏わせているようだ。だが、会長の攻撃はまだ終わらなかった。会長は瞬間移動ですぐさまオーガの背後を取り、もう一撃。オーガは醜い悲鳴を上げる。

 ここで、先ほどから発火させた火を大きくしていた、佐藤が動いた。佐藤はオーガにその特大の火に当たる距離まで移動し、そのオーガの腹にぶつける。

火をぶつけられたオーガは、形を残すことなく黒い粒子となり、この世界から消滅した。

 

オーガを消滅させた超能力の火は、前にグランシウスで見た火の魔法と比べてそこまで違うという訳ではなかった。しかし、コントロールの面や質は魔法の方が上かもしれない。


 こうして、俺が初めて見た超能力者の戦いが終わる。俺はこの戦いを見て、超能力者の強さを理解するのであった。


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