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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
四章 能力者たちの祭典
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49話 特訓開始

「足腰にくるなぁ。なっ、佐藤」


「余裕そうだな、お前は!」


「このくらい耐えられなくちゃ勇者は勤まらないぜ!」


 俺は笑いながら佐藤と共に山の中を駆抜ける。

 合宿の会長から言われた第一の特訓は山の一本道のダッシュでスタート地点からゴールまで往復だ。さすがにふもとからてっぺんまでとは言われないが、最低タイムが課せられていてビリだった者はさらに筋トレというペナルティーが課せられる。

 今のところ順位は俺の少し後ろには服部がいて、その次に会長と霧島、最後尾が今井という形になっている。お分かりになると思うが加藤はすでに脱落してふもとで休んでいる。まぁ、彼女はこの世界に関わるまでただの一般人で運動もしたこともなかったのだこのようなハードな特訓に耐えられるはずもなく。限界まで精一杯ねばっている様子だったが、さすがに会長が止めた。しかし筋トレは免除されないので後で自分のペースでそれはやるらしい。


「しかし、山道を走ることで柔軟に足腰を鍛えられるからなぁ。いいトレーニングだ」


「くそが」


「佐藤、無理してついてこなくてもいいぜ」


「うるせぇ」


 俺はふと佐藤の方を見て、次に視線を山の頂上に移す。自分の呼吸を整える。


 ……たく、衰えたもんだな。


 この世界に戻って来て能力が魔力から体力まで下がった俺だがここでも特に実感する。

 グランシウスでは師匠のディアナの特訓で山を走るのなんてザルだった。しかもただ走るのではなく、途中でディアナの妨害(攻撃)が入りそれを裁かなくてはならないという高難易度。それに加え魔物も襲ってきたりしたものだ。


 うん、地獄だったな。マジで。


 今でも鬼の形相で追いかけて来るディアナを想像できる。

 俺は冷や汗を吹きふと隣を見ると佐藤がいなくなっていた。どうやら、知らず知らずのうちにペースを上げていたらしい。とりあえず、この合宿中に今のペースの倍出すことが目標だな。この後、俺はペースを下げることなくこの特訓を終えた。







「さすがね、龍太」


「いやいや、やっぱり衰えているな」


「あのペースで……」


「くそが」


 佐藤は本当にギリギリでついて来ていたらしく、激しく息切れしている。


 ……大丈夫だろうか。



「少し、休憩したら次の特訓に移るわ。茜も大丈夫?」


「大丈夫です」


 加藤の方を見るとどうやら通常の状態に回復しているようだ。筋トレももう終えているらしい。

 俺は近くに置いてあった自分のペットボトルを拾い、口を付ける。中身は普通のスポーツドリンクだ。


「そういえば遠藤、異世界では回復薬とかなかったの?」


 そんな俺を見て加藤が俺に質問する。

 回復薬か確かに色々あったが……。


「あったぞ」


「ホントにRPGみたいだよねぇ。体力回復とか?」


「青、緑のものがあって青が魔力。緑が体力回復だったな。回復薬は確かに便利だが苦いし、なにより高価だったんだ」


「なんか普通に売られてそうなイメージだけど」


「作るのに手間と魔力、それに高度な技術が求められたからな。よく専門店ではなく露店とかで偽物が売られて騒ぎになったこともあったな」


「嘘!?」


 偽物の回復薬が出回る。それがいかに大きな問題か、おおよそ検討はつくだろう。回復薬は文字通り体力や怪我もなおすもので直接命に関わるものだ。いざ、死にそうなときに回復薬を使うが偽物だった。そして驚いている内に魔物やら盗賊に殺される。

 実際に知り合いいでこの死因でしんだ者を俺は知っている

 ということで一時期、そういったことが多発したことがあったが、国中が協力しあい取り締まったことでそれはだいぶ減らすことが出来た。俺も国の依頼でそういった偽の回復薬を作る組織を潰しにいったこともある。


「グランシウスはこっちほど治安も良くなかったし、そういうことがあって大変だったぜ」


「警察とかはいなかったの?」


「国の兵士や自警団はいたな」


 警察はなかったが、そういった組織は存在していた。そして国の大罪、まぁ殺人とかした場合は本国に送られるようなしくみになっている。法律関係は基本こちらと変わってはいなかったな。

 俺と加藤が暫く話していると、次の特訓の時間になる。


「いくか」


「そうだね」


 俺たちはみんなが集まっている方に走っていった。









「リングについて理解するねぇ」


 次の特訓は個人の能力、リングの使い方を見直し、強化するというものだった。具体的に言うと限界まで使おうということだ。もちろん、今回は反転世界で特訓を行っている。能力やリングはこの世界で研究、実例で使えば使うほど強くなっているらしい。

 グランシウスでの魔法について思い出すも確かに魔法もそんな感じに鍛えたものだ。まぁ、使えば使うほどって戦えば戦うほどとも取れるからなあっちではひたすら魔物を的にやるということが多かったけど。

 そんなこんなで俺は身体強化を限界まで使い、自身のリングであるソウルブレードをとんかくひたすら振っていた。


「心を切るねぇ」


 思えばこの剣の能力、精神に干渉できるということで非常に優れているのだが、それは魔法と比べてもすごいものである。魔法は七つの属性があるが精神に干渉できるのは光と闇ぐらいのものだ、それも上位の魔法。

 光は癒しを闇はその逆だ。闇に関しては意識を奪うこともできる。長時間はむりだが……あくまでも戦闘の意識をずらす程度の一瞬だ。このように精神の干渉は魔法でも難しく珍しい。


 しかし、本当に心を斬るだけなのだろうか。


 超能力をこの剣を使い、何度か無力化してきたがなにかがこの剣に溜まってきてるような気がしているような。そしてここからは俺の主観だが常時それは時間がたつと自然と魔力に変化し、俺の中に取り込まれていくように感じる。

 もしこれが本当ならそれを必要な時までため、その時に使えるようにすることは出来ないだろうか。


 ……よし。


 俺がリングについて目標を立てたと同時に遠くから煙が上がる。佐藤も色々思考錯誤しているようだ。佐藤だけではない。会長や霧島、服部に今井、加藤もそれぞれ強くなるために色々な可能性を模索している。加藤も先ほどの山ダッシュで絶望していたが、今では自分があまり役に立ててないと思っていたようで熱心にリングを使い続けている。そして彼女の予知能力のことだが、あの忍びの村以来発動していないらしい。あの予言も的中したので彼女の能力は予知でもう間違いないだろう。

 最初の予言の黒い巨人だがここのところ向こうとの関連性が見えて来て、それもグランシウスと関係があるかもしれない。こういうことなら向こうの資料とか魔道具とか持ってくれば良かったな。

 異世界の移動はどんなトラブルが起こるか分からないためそれらもこちらに持ってくることはなかったのだが、魔神教団やこちらの魔法使いも見る限り持ってきても良かったかもしれない。

 まぁ、ここで悔やんでも仕方ない。今は特訓だな。

 こうして日が暮れるまでこの特訓は続き、俺たちはホテルに戻って行った。

皆さん、少し早いですが良いお年を!

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