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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
四章 能力者たちの祭典
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46話 夏

今回から新章開始です。少しこの章は長くなりそうです。

「やっぱ昼とは違って夜は涼しいな」


「本当に最近は熱くなってきたよね」


 あの忍びの村から数か月経って、もうすっかり季節は夏になっていた。そんな中、俺たちは暴走した能力者、魔物の討伐を行っている。今は加藤と魔物を倒した帰りで、夜の道を歩いていた。

 そんな時、俺たちはあの事件後に会長から告げられた夏休みの後半に行われるグランドフェスティバルの存在。さらにその前に行われる合宿の話を思い出す。


「合宿か。どこでなにやるんだろうな。そもそもグランドフェスティバルについても何も聞いてないし。まぁ、普通に模擬戦とか筋トレとかかな」


「実際、夏休みの初日からしか聞いてないですからね」


「もう来週から夏休みだし、そろそろ話してくれるだろ」


 しかし、加藤のこの反応……


「やっぱりこういう合宿ってわくわくしません?」


「俺はエアコンの効いた部屋でごろごろするのが一番だなー」


「ええー」


 グランシウスで暑さには戦い、私生活含め苦労した思い出しかないからな。

 マジ、エアコンは神。

 ここで俺の通信機に一通の連絡が入る。


「どうやら噂をすればということらしい」


「会長から?」


「ああ。グランドフェスティバル、合宿について話したいからいつもの部屋に集合だってよ」


「じゃあ、行きましょ」


「ああ」


 俺たちはこまま帰る予定だったが行く先を変更し、高校の校長室に向かった。







「二人ともお帰りなさい。皆はもう揃っているわよ」


 無事いつもの部屋に入り辺りを見回すと、皆はもう校長室に揃っていた。すると会長が俺たちに声を掛けて来る。


「おう。ついにグランドフェスティバルについて話してくれるんだな」


「ええ。本当はあの時すぐに話す予定だったんだけど、例の組織のこともあって色々あれから予定の変更があったの」


「魔神教団か……」


「襲撃は結局、あの忍びの村だけだったんですよね」


「ええ。それでも例のレッドドラゴンの件もあって各地の支部が混乱したの」


「グランドフェスティバルは出来そうなのか?」


「あれから魔神教団も動きはないし、上層部が問題ないと判断したわ」


「そうか……」


 今だ目的が見えない組織だが、分かっていることはすくなからずある。それはこちらの世界の七人の魔法使い、そして向こうの世界であるグランシウスが関わっているということだ。

 このことはこの支部の皆、そして本部長には伝えてある。さらに本部長にはあの忍びの村にあった祠のようなものがこの世界にあるかないか調査を依頼した。しかし範囲が範囲だということと、この混乱している状況、さらに昔のこととあり時間が掛かるそうだ。


「ごほん。じゃあまず、グランドフェスティバルについて説明するわね」


「ああ、頼む」


「ルールの変更は特になかったわ。場所もいつもの人口島よ」


「つまり、去年と同じということですか?」


「その通りよ、蓮」


「そうか、毎年やってるんだから前にも参加しているはずだよなぁ。佐藤も一応先輩だし」


「一応じゃなく、れっきとした先輩だ!」


「あー、そうだったすまんな」


「こいつ……」


 俺はあきれている佐藤から視線を会長に戻すと再び話を聞いていく。


「人口島ってどこにあるんですか?」


「伊豆から少し離れたところよ。魔物は出現するまではそこで音とかをごまかしながらやったりして派手にやってたんだけど、反転世界が出来てからはあの世界で試合を行っているわ」


 そういう意味ではホントあの空間は便利だよな。


 能力者たちは俺がこれまで見てきた中で、派手な能力が多かったように思える。そんな彼らが試合……というか戦いをする上で被害を出しても、現実世界に影響しない反転世界ほど魅力的なものはないだろう。


「試合ということは寸止めですか?」


「ええ。リングに特殊なエネルギーシールドを特別につけてそれを削り切ったら勝ちよ。過去の試合でも大けがをした人はいたけど死人は未だに出ていないわ」


「へぇ。でもそんなものがあるなら何で常備させてないんだ?」


「その機能を付けるとリングの出力が下がって本来のリングの力が半減されるの」


「魔物とかを倒すのにはそれでは火力が足りないと」


「ええ。今もその火力を下げないでどうにかできないか研究が進められているわ」


 魔物の攻撃の中には毒など致命傷を与える攻撃はいくつも存在している。その中でそのシールドがあれば攻撃系のリングや能力持ちにとって大きな力になるだろう。

 これからAランクの魔物も出て来るだろうし、速く完成すればいいが……。


「細かいルールについては合宿で説明するわ」


「ということは次に合宿ですね!」


「茜。その通りよ」


 加藤が会長の合宿という言葉に大きく反応する。それに対し先輩組はげったりとした顔をしていた。

 これはアニメとかでよく見るパターンか。


 俺はこれから先の合宿にものすごい嫌な予感を感じた。


「二泊三日で場所はグランドフェスティバルが行われる近くの伊豆で行うわ。初日はルールについてと戦術について、後は猛特訓よ」


「猛特訓ですか……」


「猛特訓よ」


「はい」


 会長は笑顔で答える。

 これはハードな合宿になりそうだ。


「もちろん、合宿が終わればグランドフェスティバルが始まるまでは休暇にするわ」


「飴と鞭を心得てらっしゃる」


「ふふふ。では来週の月曜の朝六時に校門前に集合」


『了解』


 こうして俺たち桜川支部の夏の合宿が決定された。

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