3話 超能力者との対話 前半
アクセス数1000突破、ありがとうございます。更新は遅いですが、これからもぜひ読んでくれると嬉しいです。今回の話は生徒会長と主人公の会話です。他にも人はいますが、話は二人が進めていきます。では、どうぞ!
俺が誰もいないはずのところに声を掛けると、生徒会長を筆頭に五人の人たちが姿を現した。
「……気配は消していたはずなんだけど」
「そうか?俺は普通に感じたが」
「えっ……会長。何がどうなってんの!?」
俺は突然姿を現した会長に軽い感じで言うが、加藤はさらに頭が混乱したようだ。
「あなたは一体何者?魔物との戦いを見る限り、奴らのことをよく知ってるようだけど」
「うーん、それが俺にも分からないことだらけでさ」
「それで、あなたのこと……教えてくれるのかしら」
「嫌だと言ったら」
俺が会長に対し少し挑発した瞬間、会長の右側にいたヤンキーっぽい奴の右手から、火が出現した。
……火の魔法か?
俺はカシウスを構え、いつでも戦える状態にする。そしてお互い動こうとした瞬間……。
「やめなさい!」
会長の一喝が入った。ヤンキーは渋々会長の言うことを聞き、火を収める。
「勘違いしないで、私たちはあなたと敵対するつもりはないわ」
「なるほど」
俺はとりあえず会長の言葉を信じて、カシウスを異空間の次元にしまう。
「武器をしまったということは、あなたも敵対の意思はないということかしら?」
「ああ。情報がほしいからな」
「分かったわ。お互い情報交換をしましょう」
「いいぜ」
俺はさっそく情報交換をしようとするが、腕に付けていた腕時計を確認すると、もう夜八時を過ぎていることに気づいた。家で心配しているだろう母さんを思い出し、少し焦る。
「やべ、もうこんな時間か」
「こんな遅い時間だし、情報交換は明日でどう?」
「それで構わない」
「じゃあ明日の放課後、校長室に加藤さんと二人で来てくれる?」
「はいよ」
会長たちは俺の返事を聞くと、姿を消した。こんなに瞬時に移動できるとは…恐らく何かしらの力を持っているのだろう。俺は彼女たちについて考えた後、帰るためにカシウスを出す。
「よし、それじゃあ俺らも帰るか」
「……」
俺は暫く忘れていた加藤に目を向けると、なんか真っ白になっていた。まぁ、だいぶ混乱してたからな。
俺は彼女を担ぎ、カシウスを出すと、次元を切り元の世界に帰っていった。
「昨日のは何だったの、遠藤?」
「さあな」
「はぁ、さあなって……」
「まあ、放課後に校長室に行けば分かるだろ」
俺は朝登校すると、さっそく加藤に絡まれた。
俺は昨日はあの後は頭がパンクしかかった加藤を揺らして意識を覚醒させ、公園のベンチに置いてきたのだ。家に帰ると、ギリ両親が帰って来てなくて、言い訳を言わずに済んだ。いやー、ラッキーだったぜ。
時間は過ぎて、放課後になり、俺は加藤の話しを無視しながら校長室に向かう。
「確かこの辺だったな、校長室」
「そうね……」
俺たちは今、校長室があるであろう校舎の棟の三回に来ていた。俺たちが通っている校舎は一棟、二棟、本棟の三つでできている。さらに一棟の近くにプレハブの廃棟と呼ばれるものもあるがあり、その棟は現在使われていない。そして俺たちのクラスの教室は一棟の一階、校長室は本棟の三階にある。
「……あったここだ」
「それじゃあ、入るわよ」
俺と加藤は教室から暫く歩いてると、目的地である校長室にたどり着いた。加藤を先頭に校長室に入っていく。
中に入ると、会長を筆頭に昨日見た五人の姿がある。校長室は奥に校長が座るであろう机と椅子があり、部屋の真ん中にでかいテーブルとその両脇に二つのソファーという配置だ。そして、会長が入ってきた俺たちに声を掛ける。
「よく来てくれたわね、二人とも。まぁ、ソファーに座って」
「そじゃあ、遠慮なく」
「はっ、はい……」
俺は気楽な態度で、隣に加藤が緊張しながらソファーに座る。
「加藤さん、そんなに緊張しなくても大丈夫よ」
「はい」
「ガチガチだな、お前」
あまりに緊張している加藤に、会長が声を掛けた。そして、会長の目線が俺へと向く。
「さて、遠藤くん。どちらから話しましょうか?」
「もちろん、会長からで」
「……はぁ、分かったわ。私たちのことを聞いたら、しっかりあなたのことも話すのよ」
「情報交換ですからね、しっかり教えますよ」
「ならいいわ。私たちわね……」
会長は一息つくと、軽く自分たちの正体を話した。
「超能力者なの」
「えっ……」
「わお、直球ですね」
加藤は驚きで固まっている。それはそうだろう、昨日は魔物に襲われて、しまいには自分たちは超能力者なんだと名乗り出す人たちまで出てきたんだから。ちなみに、俺は異世界や魔法とか経験してきたからな、これくらいで驚くわけがない。
「実は……」
会長の話を聞くに、この世界には昔から超能力者が存在していた。超能力者とは、人間の身でありながらある特殊な能力を使える人のことで、その能力は人それぞれ。そして、誰でもなれるわけじゃないらしい。
「人間が使えるようそれじゃあ、超能力っていうのはどういうになるんだ?」
「ごめんなさい。その法則はまだ掴めてないの」
「なるほど……」
さらに、人が超能力者に目覚める時と言うのは決まっていて、目覚めている超能力者との接触、あるいは自分の命に危険が及んだ時だそうだ。
「超能力って例えば何があるんだ?」
「そうね……例えば私の能力は『瞬間移動』よ」
「まるで、魔法だな」
「魔法?魔法は超能力とは別物で使える人はこの時代に七人だけよ」
「へぇー……って、魔法まであるのか!」
俺はこの世界にも魔法があることに驚いた。
「そうよ。昔は超能力者たちと七人の魔法使いで争ってのよ」
「今も争ってるのか?」
「いいえ、今は争ってないわ。まあ、停戦状態みたいなものかしら」
「魔法使いは強いのか?」
「強いわ……本当に」
会長の顔が曇る。会長の反応を見るに過去に魔法使いと何かあったんだろう。
さらに会長に魔法使いのことを詳しく聞くと、七人はそれぞれ違う属性の魔法を使うらしい。属性は火、水、土、風、闇、光、無があるそうだ。
……嘘だろ。
俺はこの説明を聞き、絶句した。なぜならこの属性は異世界であるグランシウスの魔法の属性と一致していたからだ。魔物や魔法の件といい、やはりこの世界とグランシウスには何か密接な関係があるのか。ちなみに俺の身体強化の魔法は無属性にあたる。
俺が思考に浸っていると、会長が声を掛けてきた。
「これで私たちのある程度のことは話したわ。次はあなたの番よ」
「ああ……」
彼女の説明が終わり、俺の番となる。やばい……魔物や魔法のこと考えていて、どう俺のことを話すか考えてなかった。さて、どこから切り出すか。仕方ない、会長みたいに直球でいくか。
「遠藤龍太……あなたは何者なの?」
「俺か?俺は……」
俺は皆の前で堂々と宣言する。
「俺は異世界帰りの元勇者だ、よろしく!」
俺が宣言した瞬間、皆は一斉に首を傾げた。
※10月8日 プロローグから3話まで文章を修正しました。