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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
三章 忍びの村と動き出す者たち
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45話 情報交換

 黒い魔物が倒されると俺たちは反転世界から元の世界に戻った。


「もう何もないですよね……」


「分からん。一応確認するから服部と木原は出口の確認を頼む。佐藤と霧島は後ろを頼む」


「了解」


「分かりました」


「おう」


「はい」


 俺は皆に指示にすると、再び祠の近くに移動し、それに手を触れた。


「……魔力が消えている」


 あの黒い鳥のような魔物が出現する前に感じ魔力は完全に消失していた。恐らく、あの魔力は魔物を出すためのもの、またはあの魔物自身か。

 魔法についてはそこまで詳しくないが、あの祠に纏っていた魔力、そして魔物の魔が一人でないものくらいは分かった。しかも高位のもの。そんなものを作れるのは魔法使いだけだろう。

 こちらの世界の魔法使いが仕掛けただろうか。しかし、あちらの世界とどこかに繋がる場所があるのだとすると向こうの魔法使いの可能性もある。

 俺はこの祠について一度考えるのをうやめると出口の方に向かった。







 地下から俺たちは地上に出るとこのことを直ぐに村長に報告する。

 周りを見ると捕まっていた人たちもそれぞれ目的のために動き出し、村の復興作業なのどをおこなっていた。他にも本部の方から何人か能力者が来ているのが見える。

 他の四人もそれぞれ別行動していた、


「そんなことが……」


「本当にあの祠についてはよく知らないのか?」


「はい、詳しくは。……そういえば」


「どうかしたか」


「はい、どこか古い文献に一度魔法使いが訪れたと記してあったような……」


「それは本当か」


 あの祠は魔法使いが立てたと予想していたが、やはりそうだったか。

 俺は村長に深く話を聞いていく。


「ですが、だいぶ昔の話ですので」


「当時の調査は……」


「もちろん、行ったようですが、全体に異常はなかったと記してあります」


「そうか……」


 まぁ、魔法的なものだし気づかなくて当然か。

 しかも、あの罠は俺が魔力を調べてそれに反応して発動した。つまり、魔法的干渉で反応するようになっていたのだろう。


 だが、なんのために……。


 一瞬、俺はありえるはずのない答えが自分の頭を過る。


 まさかな。


 俺はこの後に村のこれからの予定を聞き、その場から離れた。







「こんなところで何をしてるんだ?」


「遠藤か……」


 俺は皆を探しながら村の中をふらりと歩いていると、とある一軒家の前で服部が止まっていた。

 ここは彼女の家なのだろうか。


「ここはお前の家?」


「ああ。しかし、母上も父上もこの村から離れていることが多くてな。今は誰も住んでいない」


「そうか。でも被害がなくて良かったな」


 魔物の襲撃の影響で家がなくなっている家が多くある中、ここは特に目立った傷などはなかった。

 まぁ、見えないところでそういったものがあるかもしれないが。


「そうだな。だから、ここを村の誰かの仮住居にしてやろうと思っている」


「いいのか?」


「ああ。私も向こうに帰るしな。親も暫くここに帰ってこないだろうし……ね」


「……」


「なに、仮住居だしな。問題ないだろう」


「まぁ、本人がいいならいいけどさ」


「それで必要な荷物がないか確認を……んっ」


 彼女はふと自分の通信機を見る。どうやら連絡が来たようだ。


「佐藤からだ。イレギュラーもあってさらに復興も少し協力したいところだが、今日中に帰還するぞ」


「分かったよ」


 今日中か……。


 まぁ、元々そうする予定だったし当然か。


 俺はこのあと少し復興を手伝い、ついに村から離れる時間となる。

 目の前では服部と木原が抱き合っている。なんだこの百合光景は。しかし、笑顔でいる木原に比べ服部は苦しそうな顔をしている。

 すると次に木原は俺の方にやってくる。


「今回は本当に助かりました」


「いや、別に俺はなにもしてないだろ。むしろ、助けられたのは俺の方だ」


 あの石化させた黒い魔物はあの時の俺だけでは倒せなかった。奥の手を発動すれば条件を無視することが出来るがそうおうのリスクが付きまとう。まさに今回は石化する魔物に変身出来た彼女の存在が大きかっただろう。

 ちなみにキスについてはあえて触れないようにしていた。


「責任とってくれます?」


「えっ」


「冗談です」


 彼女の言葉に一瞬驚く。しかし、この子はこんなに積極的だっただろうか。

 というか後ろから睨んでくる服部が怖い。


「話は済んだか。山のふもとに迎えの車が来てるそうだ」


「んじゃ、行くか。さて、しばらくは木原とも会えないかな」


「ふふ、また直ぐに会えると思いますよ」


「……?」


「遠藤、いくぞ!」


 俺は木原の最後の言葉に首を傾げながらも、村から離れていく佐藤達の元へ駆け足で向かった。

 こうして忍びの村の事件は終わりを告げた。






 どうやら帰りの道はすいていたらしく、思ったよりも早く学校に到着する。

 そう数日離れていただけだが、なんだかとても懐かしく感じた。

 今日は学校の方が休日で休みなので学生の姿が少ない。



「会長たちはもう校長室に集まっている」


「こちらの状況はよく分かっていないからなそこら辺聞ければいいな」


 一応、佐藤たちから聞いたがやはり会長本人からも聞いておきたい。


「つきましたよ」


 そんなこんなしている内に校長室に着いたようだ。

 俺たちは中に入っていく。


「おかりなさい。皆」


「ただいま」


 その部屋にはいつもの顔ぶれがそろっていた。果たしていつの間にこのメンツをそう思うようになっていたのやら。


「さて、まずは報告ね」


「そうだな。じゃあ俺からか」


 俺と会長はお互いに情報交換をしていく。俺の情報はともかく、会長の情報はあらかた想像どうりだった。

 結局、やつらはあの村にしか襲撃はなかったらしい。本当はもっと早く増援を送りたかったが、本部での話し合いが終わらないと指示を出せなかったのが理由だそうだ。

 まぁ、あの魔物との戦いに間に合ってよかったというところか。


「とりあえず、これからの予定だけど明日は活動を休止するわ。各自、体を休めて。特に龍太」


「分かったよ」


「皆もしっかり休めるのよ」


『はい』


 皆は会長の声を聴き、揃えて返事をする。

 すると今度、会長はカレンダーを手に持ち、六月から八月に変えてこちらに向けた。


「ごほん。それと今年も夏に開かれるあの祭りに私たちの支部の参加が正式に決まったわ」


「会長、今年もですか」


「祭り?」


 そういえば、前にそんなことを言っていた気がする。


「グランドフェスティバル。年に一回ある優秀な能力者を決める大会よ。そして合宿もあるから皆も夏休みは予定を開けといて頂戴ね」


 会長は意味ありげな笑みで俺たちに告げた。


これで三章は終わりです。次回は異世界sideをお送りします。

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