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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
三章 忍びの村と動き出す者たち
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42話 確認

「なるほど。そんなことが」


「故に私は姉上を追っているのだ」


 俺は服部から彼女の姉の話を聞きながら、先に進む。裏切りの忍びか。

 しかし、ことの顛末を聞くにいくつか気になることがある。


「この村の奴等がこのことを話さなかったのは……」


「身内の恥というやつみたいなものだ。それにこの先の祠とは関係ないのも事実だし」


「すいません。お話出きず」


 木原が俺に謝ってくる。


「なるほどな。後はお前の姉が木原を見逃した理由か」


「それは……分からない。しかし、私は何者かに無理やり指示されてやらされたのだと信じている」


「ほんとにそう思うか?」


「……」


 俺が真剣に服部に言うと、彼女は黙ってしまう。

 まぁ、その気持ちも分からなくもないが……。しかし、最悪の可能性というものは常に考えなくてはならない。

 後は俺や木原が一瞬滞在したあの小屋のおっさんも少し俺的に気になる。


「そういえば、あの小屋のおっさんはそれから戻ってきてないのか?」


「んっ、まぁな」


 俺は懐にしまった紙に視線を落とす。

 なんか気になる。というか、引っかかるな。しかし、分からないものは仕方ない。

 俺はモヤモヤしたこの感じをしまい込むと、とにかく目の前のことに集中する。


 ともかく……。


「服部の姉がどういう意図で裏切ったかはさておき、とりあえず今回の事件との関係性を考えるか。彼女のこともなにか分かるかもしれないしな」


 俺は服部の姉と魔神教団について考える。まず、俺は今回の敵の侵入経路について聞いてみた。


「まず、敵は村にどこから現れたんだ?」


「はい、敵は最初に結界を村の周囲にはり、入り口から魔物が制圧。そこで彼らは姿を現しました」


「彼ら……ということは敵の三人か」


「はい」


 俺は木原の話を聞き、もう一度敵について考える。

 魔神教団……異世界であるグランシウスに繋がっており、今だに目的がつかめない組織。今回俺が交戦した山本も凄腕の剣士だったし、あの魔物使いである冬樹もAランクの魔物を使役していたし。

 そうだ……。


「俺は三人目の結界使いには会わなかったんだが、どんな奴だった」


「えっと、女性でしたね。唯、しゃべったところは見てなかったので性格までは……」


「そうか」


 そういえばあいつらも姉御と言っていたのを思い出す。下からのものいいだったのでやはり上司だったのだろうか。

 そして次は……。


「襲撃されたときは忍びたちで反撃しきれなかったのか」


「魔物の数が多くて……。しかも、その時、村の上位の忍びは村を離れていたので」


「なに?」


 俺は木原の言葉に驚きの声を上げる。


「その情報はASOや本部は知っていることか?」


「はい、本部からの命令だったので。他の支部はともかく、本部は承知のことですね」


「つまり……」


「考えている通りかと」


 本部には魔神教団のスパイがいる可能性あるということ。さらにはそのスパイが上層部にいて命令した可能性まであるということだ。

 俺は最悪の可能性を聞いて顔が青くなる。これで目的が分からないのはマジでやばい気がする。

 こえは本部長には通信で伝えられないな。いや、最悪の可能性を考えてここで止めておくか。


「もちろん、このことは本部には報告してないよな」


「はい、もちろんです」


「遠藤、このことは」


「分かってるよ」


 二人もこのことはここで一度止めておくようだ。

 それにしてもどんどん嫌な情報が出てくるな。


「俺はてっきり服部の姉がこの村の裏口とか教えて魔物とかで襲撃させたかなって睨んでいたが」


「姉上はそういったものに詳しくはなかったと思うが」


「今回の襲撃には関与してなさそうだな」


「……そのようだ」


 しかし、この村についてよく知っている服部の姉を連れてくれば向こうも目的を果たしやすいと思うんだが……。

 もしかして、連れていくことが出来ない理由が……。

 俺の頭の中で色々なことが過る。ここで俺は服部の姉について肝心な名前を聞いていないことに気づく。


「そういえば、そのお前の姉の名前って……」


「今更聞くのか」


「わるいわるい」


 資料で見たことはあったが、名前はその部分が汚れていて見えなかったからな。

 そして服部は静かに告げる。


「服部零。それが姉上の名前だ」


 服部からその名前が出て来ると同時に俺たちは目的地である祠にたどり着いた。







「ここが祠か。確かに絶妙な角度で月の光が入ってて綺麗だな。子供たちも集まるだろうな」


「ここに教団の連中が向かったのは確かだ。念入りに調べよう。私は入り口周辺を調べてみる」


「では、私は祠から離れたところを調べますね」


「頼む」


 この空間は俺が思っていたより大きく、上には亀裂が入っており月の光が差している。そしてその真下にはぽつんと一つの祠が立っていた。地面には沢山の草が生え茂っている。こういうところには他にもなにやら像とかがあったりしそうだが、ここには祠以外なにもなかった。

 そして二人はそれぞれの場所へ調べに向かう。

 俺は周りも確認しながら、祠に近づいていった。すると……


 魔力を感じる。発信源はこの祠か。


 魔力を感じるということはここには異世界であるグランシウスに繋がる穴があるのだろうか。しかし、奴等がここに訪れたのは今回が初めて。奴等が常用しているものではないだろうが。

 俺は祠に手を当てて、魔力を調べながら祠自体を観察する。

 祠は一般的なお墓と同じくらいの大きさで、何故だかかなり泥が固まっていて正面が汚れていた。周りに泥なんてないのでこれはおかしい。

 俺は手でそれを取り除いていく。すると見覚えのある文字が見えてきた。


 ……これは!


 それはグランシウスの古代文字であった。ビンゴである。


「やはり、向こうに繋がるなにかが……なっ!」


 俺が調べていた祠の魔力の流れが急変する。

 俺はこの感じには覚えがある。確かグランシウスの遺跡で……。そう、あれは魔法のトラップ。んっ、トラップ?。


 トラップだと!!


 俺は身体強化を掛けて全力で後ろに跳ぶ。

 すると、地面が揺れ始めた。離れていた二人もこちらにやってくる。


「遠藤、これは!?」


「大丈夫ですか?」


「ああ。だが、どこのだれか知らないが面倒な魔法をかけてたみたいだ」


 あれは一定時間魔力を調べると発動する仕掛けになっていた。そしてこれは魔法によるものなので魔神教団によるものである可能性は低い。

 ともかく……。


「来るぞ!」


 俺たち三人の前に黒い風が地面から舞い上がった。

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