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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
三章 忍びの村と動き出す者たち
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38話 魔素

「この世界と向こうは密接な関係があるそうだよ」


「まぁ、魔物も出現してるくらいだしな」


 俺が異世界に行った日と帰ってっ来た日に突然すがたを現した魔物たち。そして謎の空間である反転世界。ここから俺がいた異世界であるグランシウスとなにかしら関係があるとは思っていたが明確な部分は見えないでいた。しかし向こうの組織はそれを知っているという。


「しかし、想像がつかないな。その関係性とはなんなんだ?」


「魔素らしいですよ」


「魔素だと……」


 グランシウスにおいて魔力についてはあちらの科学者で色々議論されていた。その一番の謎が魔素や魔力の発生源だったのだ。人間の中にある魔力は人間の体が作っているのではなく、周囲の魔素が体の中にたまって出来たもの。魔物は魔素が動物などが呑まれたもの。あるいは魔素が何らかの理由で変質したものだ。向こうの世界で分かっていることもこれくらいしかない。こちらの世界など全く分かっていない状況だ。


「あれは魔法使いたちが魔法を使うために必要な魔力のもと。これが驚き元を辿ればこちらの世界から流れて来ていたそうです」


「こちらの世界からだと……!」


 こちらの世界から来ている。目の前の奴のいうことが嘘の可能性もあるが、もしそうだとすればこちらの世界とグランシウスになにかしらの通り道がある可能性も……。


「ああ、魔素がこちらの世界から来たといっても、そんな私たちが通れるような大きな穴ではないよ。世界中に細かい穴があるみたいなんだ。本当に小さな穴がね」


「それはお前たちの目的と関係してたりするのか?」


「それはどうかな」


 ホント、こいつ重要なところは口が固いな。

 しかし、小さな穴ね……。ますます謎が深まっていくな。もしや、その穴や魔素が関係しているのだろうか。超能力者を見ても魔力は感じなかったが。


 ……っん、待て。


「この世界から魔素が来ているということはこの世界で魔素が発生している?」


「正確にはその元ですが」


 元ね……。つまり、魔素に成り代わるものがあるということか。


「人の負の感情ですよ。それらがグランシウスに渡った時に変化します」


「負の感情か」


 確かに魔素は色々な人物が見て好まれるものではないと分かっていたが負の感情ね。それは予想外であった。


「結局、人間が生み出していたのか。というか、何故それが魔素に変わる?」


「さぁね。それは私にはわかんないな」


「私には……か。あんたの上司は知ってるのかな?」


「まぁ、研究熱心な方ですから」


 研究をする奴。これはいい情報を聞いたぞ。グランシウスで研究者だなんて国のお抱えの奴等か。だがそんな異世界のことを解き明かすほどの奴なんていたっけ?

 俺は記憶を探るも研究者たちがそこに至っているかと言えば首を傾げる。

 グランシウスの研究者たちは自身の目的のために熱心に研究をするというよりも、誰よりも凄い結果を出すことに執着しているような奴等が多い。それ故に賞金がでる学会の発表に参加する優秀な研究者は多く、そこに参加する者でもここまでのことに関するものはなかった筈だ。それ以外となると……。

 ここで俺は魔王の幹部であったマッドサイエンティストを思い出す。だがあいつは魔王戦の前に死んだはずなのでありえないだろう。

 ここで、目の前の男である冬樹の表情が変わる。


「どうやら、空振りだったみたいだね」


「何の話だ?」


「こちらの話だよ。それより楽しいお話も終わりのようだ……」


「なに?」


「こちらの目的を終えたということですよ。そろそろおいとましますか」


「逃がすと思ってるのか?」


「ふふ、あまり無理はしない方がいいですよ。それより、あなたたちがお探しの方も来たようですし」


 俺が疑問の声を上げようとすると、近くの草むらから見知った少女が現れる。


「服部!?」


「彩ちゃん!!」


 と同時にブラットウルフで姿を変えていた木原が元の姿に戻り、服部に抱き着く。あかん、会話続きで彼女の存在を忘れてた。

 しかし、こうしてみると本当に二人は仲良しだと分かる。

 ……って、そうではなくて。


「そなたもおられたか……」


「珍しいね。君が仕留めそこなうなんて」


「さすがはこの忍びの村で育ったのだと関心したところだ」


「山本武蔵……」


 そして次に現れたのは村の入り口で死闘を行った剣士の姿。やはりあいつは服部を追っていたようだ。というか、服部はよく逃げられたな。


「君も分かっているようだけど、姉御が呼んでいる。直ぐに向かうよ」


「しょうち」


「待て!」


「拙者もまた貴公とは剣を交えたいところだが、姉御を怒らせるとまずいからな……御免!」


「では、そういうことで!」


 冬樹が懐から棒のようなものを出すと、周囲に光と魔力が立ち上る。


 くっ、あれは魔道具か。


 光が消えると二人の姿はなかった。同時にジャングルもなくなり、ここもただの部屋となる。


「普通に逃げられたか」


「はい、といってもこれは見逃してもらったという方が正しいような」


「そうとも言えるか」


 正直、あの剣士と魔物使いが同時に来ていたと思うとぞっとする。奥の手も連発しなくてはいけなくなるしな。まぁ、とりあえず……。


「そこ手を止めろ。服部から話が聞きたい」


「えー」


「ぐぬぬ、いいから離せ!」


「あっ……」


 木原が服部をいじっていたが俺が無理矢理やめさせる。しかし、服部はいじられキャラなのか……しっかりと覚えたぞ。


「とりあえず、怪我はないか。治療道具は会長から預かっているが」


「…大丈夫だ。ここまで極力に戦闘は避けてきたからな、怪我はない。というか、絵里も一緒だったのか」


「もう、心配したんだよ」


 幼馴染など持ったことはないが、こんな感じなんだろうか。俺は二人のやり取りを聞くも、服部にここまでの経緯を聞くことにした。


「とりあえず、捕らえられた者たちの元に向かう。私の話は向かう途中にしよう」


「捕虜の場所は知ってるのか?」


「ああ、案内する」


「行きましょう」


 こうして俺と木原は服部の背中を追い、捕まっている人たちの元に向かった。


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