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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
一章 知らなかった世界の真実
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2話 魔物

「……えっ?」


 突然、俺が驚かそうとしていた加藤が消えた。自分でも何を言っているか分からないが、とにかく加藤が消えたのだ。


「何が起こった?いや、そもそも何故周りの連中はリアクションがないんだ」


 加藤は信号の前で突然消えた。もちろん彼女の近くに人がいたにも関わらず、その誰一人が彼女が突然消えたことに対して、反応すらしなかった。


 一体どうして……。


「まさか、魔法か?」


 異世界から帰って来た俺は第一に魔法の可能性を考えた。異世界の魔法には空間魔法があり、瞬間移動など行うことが出来るからだ。しかし、魔法を使うには魔力が必要である。魔力とは人間に必ず宿ってるもので、異世界で扱い方を教えてもらわない限り、気づくことはできないはずだ。それに、俺は魔力の気配など感じなかった。


 俺がそんなことを考えていると、異空間にしまってある聖剣が輝きだし、突然俺の前に現れた。


「カシウス……。まさか、また次元を切れっていうのか」


 この感覚は俺が元の世界に帰るために、次元を切った感じに似ている。いや、あの時も弱い感じか。周りを見てみるが、どうやら今のところ人はいないようだ。なので、俺はカシウスで次元を切り裂く。すると、前に見たことのある穴が現れる。


「さてさて、またグランシウスか。それとも違う異世界か」


 間違いなく面倒ごとの匂いがする。しかし、隣の席の加藤が危険かもしれないのだ。初めての異世界に危険はつきもの、俺も最初に異世界に行った時、死にかけた。


「それじゃあ、行くか」


 俺は意を決して、穴の中に入っていった。






「おいおい、さっきいた場所と変わってないじゃないか。どうなってんだ?」


 次元の穴の中に入っていくと、そこは何故かさっきいた場所と同じだった。だが少し違和感を感じる。


「文字が逆になっている、それに人の気配が何一つ感じない。まるで鏡の中に入っているみたいだな」


 さっきいた場所とは違いここは人の気配が感じない。しかし、俺はここでこの世界にいる筈のない奴らの気配を感じた。


「この気配は……」


そして奴ら……魔物が黒い煙とともに現れる。俺はカシウスを持ち、いつでも戦えるように構えた。


「グリーンキャタピラーが三体か……」


 現れたのは俺と同じくらいの大きさの緑色の芋虫。

 グランシウスの魔物はその強さで三つの階級に分けられる。初級、中級、上級の三つだ。そしてこのグリーンキャタピラーは初級に位置する魔物で、国の兵士一人で倒せるレベルだ。ちなみに中級は国の兵士が十人集まって倒せるレベルで、上級は五十人である。


「ふぅー……」


 俺はカシウスを構え、深呼吸をする。二年ぶりの戦闘…俺は少しずつ勇者の時の感覚に戻していく。すると、グリーンキャタピラーが三体同時に動き出し、俺にタックルしてきた。


「身体強化……『壱』」


 俺は唯一自分に使える魔法である身体強化を使う。本来この魔法は八段階まで強化できるのだが、今の俺では三段階までしか使えない。

 俺は自分に向かってくるグリーンキャタピラーたちにカシウスを向けて、足を一歩踏み出す。その瞬間俺の姿は一瞬消え、そこには三体の半分にされた奴らの体だけが残された。すると、その体は黒い小さな粒となって消えていく。


「うーん……やばいな」


 俺は自分の力が勇者の時に比べ、半分に落ちていることに気づき危機感を抱く。今回は初級の魔物だったから良かったが、これが中級はともかく、上級になっていくとやばいかもしれない。とにかく加藤も魔物に襲われている可能性が出てきたので、俺はすぐに加藤の気配を探り、ダッシュでその場所に向かっていった。






 暫く走っていると、見慣れた制服を着ている女子を発見する……加藤だ。しかし、ぞの近くには牛のような魔物であるミノタウロスがいる。階級は中級である。


 ……まずい。


俺はこのスピードでは間に合わないと感じ、身体強化を今できる最大の段階まで上げた。


「身体強化…『参』」


 この魔法を使った瞬間、俺のスピードがさらに上がる。俺はミノタウロスの目の前まで着くと、カシウスで奴の体を勢い良く切り裂く。ミノタウロスも反応しようとするが、加藤に夢中だったのと、俺の速さについてこれず反応できない。


「おらぁーーーー!」


 ゴォォー


 ミノタウロスは悲鳴を上げて抵抗できず、体を半分にされる。その後は先ほどのグリーンキャタピラーと同じように黒い粒となり、消えていった。


 こっちに集中してたら、もっと苦戦するはめになっただろうな。


 俺はミノタウロスについて考えるのをやめると、恐らく今絶賛混乱中であろう女子……加藤に手を伸ばす。


「大丈夫か?」


「うん……」


 彼女は俺の手を掴むと、ゆっくりと立ち上がった。






「一体どうなってるの!?」


「まぁ、落ち着け」


「遠藤、あなた何か知ってるの?……ていうか何よその剣?」


「何だろうな」


 彼女は頭を手で押さえながら、俺に状況の説明を求めてきた。俺は適当にはぐらかす。しかし俺がわかるのは魔物ぐらいで、この空間の事など分からない事の方が多い。


「それじゃあ、分かる人に聞いてみようぜ」


「分かる人?」


 加藤は突然の俺の発言に首を傾げる。俺はそんな加藤を無視して、俺がこの世界に入った時から感じていた見知った気配の奴らに声を掛けた。


「いるんだろ……会長」


 俺が声を掛けた瞬間、誰もいるはずのない場所から生徒会長を筆頭に五人の人影が現れた。


これでプロローグのところまで行けました。次回はついに超能力者をとの対面です。

まだこのペースで投稿していきます。ストックがたまれば、毎日投稿挑戦するつもりです。

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