表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
三章 忍びの村と動き出す者たち
37/54

33話 突入

「がっ……」


「ほう、急所を外したか」


「それがてめぇの能力か」


「然り」


 俺は舌打ちをすると敵を見据える。見えない斬撃……いや、直後に感じたのは確か……。


「……音か」


「ふん、気づいたところで対処は不可能」


「ちっ」


 山本は刀を構え、前に踏み込む。俺は能力を警戒しながら対処しようとする。正直、この刀の腕にあの能力。間違いなく敵の組織でもトップクラスに違いない。


「ぬるい。貴殿の実力はその程度ではなかろう」


「糞、やはりこれじゃあダメか」


 この状態では実力も俺より上、さらに場の流れまで向こうによってるときた。これはもう次の段階の強化を使うしかないか。出来れば温存しておきたかったが。

 俺は意を決して次の身体強化をしようとする。しかし、その瞬間に奴の動きが止まった。


「……ふむ。一度、幕切れのようだ」


「何のつもりだ」


「なに、呼び出しが掛ったのでな。ここを離れなくてはいけなくなった」


「俺を放置していいのか?」


「ふん、所詮この結界内からは抜け出せまい。あとで仕留めればいいからな」


 どうやら、今は見逃してくれるようだ。これは喜んでいいものか。


「お前らの目的は何だ?」


「おいそれ話す訳ないだろうに」


「だよな」


 まぁ、普通は話さないわな。アニメなどのお決まりのセリフを言ってくれるほど現実はあまくないようだ。


「しかし、時が経てばいずれ分かるだろう。ふっ、では貴殿との再戦を楽しみにしている」


 山本は最後にこの一言を告げると、突然と姿を消した。相変わらず奴らの目的は知ることが出来なかったが、戦力の把握は出来た。魔物の複数と魔物使い、凄腕の剣士、さらには結界使い。以上が今回の敵の勢力だ。

 あかんな。せめて他の能力者が戦闘系ではないことを祈ろう。


「ともかく、先に進むか。服部や木原も気になるし」


 俺はこれから先に待つ強敵たちを想像すると、溜息を吐き村の中に入っていった。







「これはひどいな」


 村の中に入ると、予想はしていたがひどい惨状だった。住居は火で焼けた跡があり、畑や田も同様に。さらには魔物が走り回った影響か地面も抉れていた。しかし、魔物は民間会館に集まっているのか、思ったより周囲から気配を感じない。


「とりあえず、例の民間会館を目指すか……んっ」


 歩いていると、なにやら魔物の気配を感じてカシウスを構える。そして草むらの茂みから魔物が現れた。俺は同時にカシウスを振るおうとする。


 すると……


「まま、待ってください。私です、木原です」


「なに?」


 なんと魔物はその姿を木原へと変える。さらにその気配も木原と同じものに変わっていた。俺もこれはさすがにびっくり。


「えっ、お前の変身は魔物にまで姿を変えられるのか?」


「はい。何故かは分からないんですけど動物の範囲に魔物も含まれてるらしくて」


「マジか」


 確か記憶にあればその対象に変身出来るんだよな。ということは、俺の知識があればほとんどの魔物に変身できるということ。そういえば記憶を他者に伝える魔法が……。

 俺はその方法を思い出し、一度頭を抑えたくなる衝動に駆られる。あれはまずい。あの方法は男にはもちろん、会ったばかりの女性になんてとても出来るもんじゃない。あの魔法を使うには相手の許可も必要だろう。

 俺は直ぐに頭を切り替えて話を続けた。


「木原はずっとここにいたのか?」


「えっとリスになった後、周辺を確認してきたんですが、大体魔物たちの位置は把握しました。でも、民間会館には目の前まで行くのが限界で」


「そうか、なら魔物のいないルートを案内してくれ」


「分かりました」


 俺は木原に続いて、道を進む。


「そういえば、魔物には戦闘以外に変身しないのか?」


「はい。魔物に変身して分かったんですけど、どうやら魔物はさらに魔物を呼ぶ習性があるみたいなんです。大きな理由はそこですね。後は、私の知っている魔物が少ないというところです」


 魔物は魔物を呼ぶ。そう、これは異世界でもこちらでも当てはまった。そのため魔物は群れや複数で出現することが多い。それは魔物が放つ魔素が関係してるんだが、この世界の人はどう解釈しているのだろうか。今度、本部長に聞こう。

 だが確かにそのことを考えると、魔物に変身するのは大変だよな。


「この道を真っ直ぐ進めば民間会館です」


「狭いな」


「でも、もう少しですよ」


 俺たちは狭い道を抜けていく。途中に狭いので木原のおっぱいが協調されるなんてこともあったりした……えろい。俺が知っていグランシウスの女性たちを含めていい勝負かもしれない。

 そんなこんなで進んでいくと他の住居とは明らかに違う大きな建物が見えてくる。


「あれが民間会館。そして案の場に魔物がうろついているな」


「どうします?」


「四方八方にいそうだし、正面突破するしかないみたいだな」


 身体強化……『肆』


 俺は再び身体強化を行い、戦闘態勢に移行する。


「木原は魔物になってあの魔物たちを一か所に誘導してくれ。俺がそこをいっぺんに叩く」


「了解です」


 すると木原が姿を魔物に変える。その姿はオオカミのような姿をしているが、オオカミよりも力が強く、さらに速い魔物であるブラットウルフ。Bランクの魔物だ。

 対して敵の魔物はストーン。ゴーレム類の下級の魔物でCランクだ。奴等は鈍足なのでブラットウルフなら余裕で誘導できるであろう。


「行くぞ!」


 俺の掛け声と共にストーンたちに向かって俺たちは走り出す。作戦通りに木原はストーンたちの外堀から埋めていきうまく一か所に誘導していく。見事にストーンはブラットウルフに変身している木原のスピードに付いてこれていない。そして一か所に奴らが集まった瞬間、俺は加速してカシウスを振るう。

 ストーンたちは俺の一撃を受けて、真っ二つになる。


 ……よし!


「他の魔物が来る前にさっさと入るぞ」


「はい!」


 そして俺たちはなんとか民間会館の中に侵入することに成功した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ