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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
三章 忍びの村と動き出す者たち
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31話 変身

「とっ、とりあず、話をしようか」


「……はい」


 俺がしまい忘れたエロ本のせいでこの空間に変な空気が充満する。しかし、俺はそんな空気には屈せず、目の前の少女に声を掛けた。


「とりあえず、自己紹介からだな。俺は遠藤龍太。君は?」


「私は木原絵里といいます。……っそうだ、私は」


「その様子、村の人間で間違いないみたいだな」


「あなたは一体……」


「俺はASO、桜川支部のメンバー。任務でこの村の調査にきたんだ」


「桜川支部……彩と同じ」


「服部を知っているのか」


「はい、彼女とは幼馴染で」


 なるほど。幼馴染ということは同じ年だろうか。記憶にある服部に対し、目の前の少女は背も高い、やはりこの村でも服部は小さい方なのか。


「私を含めて何人かが、本部にこの村の現状を伝えようとしていたのですが」


「まぁ、外には結界も張ってあるし、魔物の数も多いから厳しいだろうな」


「ということは、本部には……」


「ああ、襲撃があった、あとは敵の人数くらいしか把握してない」


「そう……。私はここ八ヶ岳支部のメンバー。それで」


「ちょっと、待て。聞きたいことがあるんだが」


「何でしょうか?」


「服部を見てないか?」


 俺はここまでの会話で疑問を抱き、聞いてみた。だが、目の前の彼女がそこまで焦りを見せてないということは……。


「見てませんが……」


「実は今日からあいつの姿を見てなくて、ここにいるはずなんだ」


「そんな……。もしかしたら、すでに敵の拠点まで行ったのかもしれません。私は一目散に出口に向かって走って行ったので」


「すれ違いか。しかし、やばいかもな」


 予想以上に状況は切迫していた。このままここで情報を聞きたいところだが、今すぐに向かうべきだな。

 俺は直ぐにここから離れる準備を行う。すると、木原が話しかけてきた。


「私も行きます」


「……本気か?」


「はい。まだ戦う力も残っていますし、もしなにかあれば私を見捨ててくれても構いません」


「……」


 俺は彼女の瞳をじっと見つめる。彼女からとても強い意志を感じた。これは何をしても付いてくるだろう。異世界でもこんな目をしていた奴は沢山いた。なにより、自分自身が……な。

 俺は溜息を吐くと、観念したかのように声を出した。


「分かったよ。正し無理はするな、ダメだと思ったら一人でも撤退しろ。見捨てるのは気分が悪いからな」


「ふふ、優しいんですね」


「うるさい。それよりも早く出るぞ」


 こうして俺と木原は二人で敵がいる村へと走り出した。







「それで村の人は?」


「はい。殆どの人が村の奥の民間会館に捕らえられています。ごめんなさい、そこの状況は分からなくて」


「いや、いい。どこに捕らえられているか分かっただけでも大きな収穫だ。それより正面の入り口以外にも村に入れるところはないのか?」


「そうですね、ちょうど民間会館に近い隠し通路があります。そこへ行きましょう」


「おう、案内を頼む」


 俺たちは木原を先頭に先を進んでいく。進んでいる途中、無言なのも変な空気なるので彼女に話し掛けた。


「木原も超能力者なんだよな?」


「はい」


「どんな能力?」


「えっと……。私の能力は変身です」


「変身か、変化の術みたいだな」


 変身か。戦闘能力までコピーできるか分からないが、有用性が高い能力だな。こういう組織では役立ちそうだ。


「どんな物にも変身できるのか?」


「動物限定なら。記憶に変身する対象があるのが条件です」


「戦闘能力とかは?」


「はい、そのことなんですが。私の能力は変身する対象の情報が記憶上に多いほどその対象に近づきます。力や体重も同じくです」


「なるほど」


 人間には変身できないようだ。それでも便利な能力だな。特に移動手段とかに。


「そういうあなたは?」


「んっ、ああ。俺は超能力者じゃないんだ」


「ということは最近噂の元勇者様ですか」


 噂……ね。さっすがにそろそろ広まってる時期か。


「ああ、その元勇者」


「なら、聖剣とか持ってたりするんですか?」


「ああ。持ってるぞ」


「へー」


 なんか木原の目がキラキラしてる。こういう勇者とか好きなのだろうか。


「ぜひ見たいです!」


「魔物との戦いになってからな」


「はい!」


 木原は元気よく俺の言葉に反応する。最初は敵かと心の奥で敵かと思ったが、これはないな。俺は思わず苦笑いを浮かべてしまう。


「ぜひ、向こうでの話も聞きたいです」


「そこまで……。別のときに話してやるよ」


「絶対ですよ」


 こんな感じに木原と話していると、目的地である入り口に着く。周囲に敵の気配はない。


「ここです。ここからなら、民間会館に近いはずです」


「よし、敵はいない……ッ」


 俺たちが村に入った瞬間、反射的に木原を抱えて左に跳ぶ。そして突然見えないなにかが俺の右手を掠めた。そこから血が出てくる。


「この感じ……ちっ、ステルスモンキーか。大丈夫か、木原?」


「平気、でも」


「直ぐに戦闘態勢に」


 姿が見えないステルスモンキーはBランクの魔物だ。戦闘方法は拳で殴る、さらに木の枝を投げたりして攻撃してくる。なにより、気配を限りなくまで消しているのと、姿が見えないので音で判断しなくてはならない。俺も音で判断できるが生憎ここは地面が土であるだけで、音を出しそうな草などがないので音を拾いにくい。


「木原、蝙蝠に変身できるか?」


「えっと出来ますよ。直ぐに」


 木原は俺の言葉に頷くと、その姿を蝙蝠に変える。見事にその姿は本物と瓜二つ。次に俺は彼女にあることを頼む。


「木原、敵の位置の位置を音で探ってくれ」


「……前方に二体。遠藤から少し右に離れたところに一体」


「OK」


 俺は木原の言った場所を見ながら、加速する。右手にはカシウスを展開し、さらに感覚を鋭くする。これで少しでもステルスモンキーの動きを把握するためだ。


「そこか!」

 俺はカシウスを前方にいるステルスモンキーたちに向けて振るう。ステルスモンキーたちは俺の攻撃を受けると、なんの抵抗もなく黒い霧となり消えた。


「後ろです!」


「おう」


 最後の一体であるステルスモンキーの拳が後ろから迫る。俺は体を急速に反転して、その拳に合わせてカシウスのカウンターをお見舞いした。最後のステルスモンキーも前の奴と同じく、黒い霧となり消滅する。だが……


「はは、なるほど。敵側からしたら今のは余興みたいなものだったと」


「遠藤?」


「どうやら、簡単には先に行かしてくれないらしい」


 ゆっくりと近づいてくる足音。俺は思わず震えた体を手で抑える。まさか、このレベルがこの世界に存在していたとは。これはまさに師匠であるディアナ、そしてザウルレベル。

 そして俺たちの目の前で足音が止まり、姿を見せた。

 現れたのは男で黒髪の腰まで伸びている長髪で時代錯誤な着物を着て、腰には刀がある。第一印象は静か、しかし奴が身に纏う闘気は鋭く研ぎ澄まされていた。


「ここから先は……進ません」


「はっ、なら押し通るまでだ!!」


 この時、俺は強く言ってみたものの、心の中では分かっていた。こいつはやばいと。俺のこころの中の警報が鳴り響いていた。

8月18日 一部修正

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