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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
三章 忍びの村と動き出す者たち
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30話 スライム

「とりあえず、ここまで離れれば問題ないだろう。しかし、こいつよく寝るな。怪我もないみたいだし」


「……」


 俺は空から美少女が落ちて来るという衝撃な体験をした後、彼女を背負ってその場から離れることにした。さらに、魔物が近づいてきていることも感じたので、駆け足でその場を後にした。


「しかし、うまく撒けたとはいえこれからどうするか。服部のこともあるし……んっ?」


 暫く歩いていると、森の中に小屋を見つけた。俺はもう一度敵がいないことを確認すると、扉を開けて中に入る。中には人はおらず、部屋の隅々まで見ても最近まで人が住んでいた形跡はない。部屋の中はボロボロのベットとソファーがあり、それに何冊かの本が床に散乱していた。

 俺はその小屋に入ると、とりあえず背負っていた少女をベットにおろす。


「このくらい離れれば大丈夫だろう。それにしても思ったより魔物が多いな」


 村にいる魔物の気配を軽く感じ取っただけでも、三十はいた。さらにこれ以上いる可能性もある。そして敵の超能力者の戦闘力。これだけの魔物を操る者に、他にも二人。正直、直ぐにでも帰りたいところだがこの少女や、村にいるであろう服部のこともある。

 俺は頭を掻きながら呟く。


「しゃあないか。まぁ、こんくらいの無茶ならあっちでもやってたし、問題ないだろう」


 そうと決まればこれからの方針である。とりあえずはこの子が目覚めるまで待機。そしてこの子は恐らく……というか村の人かまたはその関係者なのは確定なので、何があったかや村の中の様子を聞くことにしよう。


「けど、あまり時間を掛けられないのも事実。後、三十分くらいしたら行くか」


 次に俺は通信機を使って本部に連絡をしようとする。しかし連絡は繋がらず、どうやらなにかしらの妨害を受けているようだ。


「なるほど、もう一人は結界系で確定かな」


 俺が知るうえで結界のようなものを出す魔物に心当たりはない。とすると、新種の魔物ということもあるかもしれないが、敵の能力と思っていいだろう。今のところこちらの世界で知らない魔物はいなかったし。

 しかし、外に連絡できないのは痛いな。やっぱり連絡はとても重要なもんだし。連絡の重要性は異世界で嫌になるほど学んだ。なにより、向こうでは通信機はあるにはあるが、魔道具なので、とても希少なため持っている人物は限られていた。そのためか、連絡手段は必然的に手紙などのになり、情報が伝わるのがとても遅い。この遅さは戦闘で致命的なものにもなるし、なにより携帯を知っている俺自身が慣れなかった。なのでこの世界に帰って来て初めて携帯を使った時、思わず涙を流したもんだ。確かに、俺も最後の魔王との決戦では持っていたがその戦いまでは手紙だったからな。それに魔道具もその魔道具を持っている相手にしか掛けられなかったし。

 他にも魔法で直接、相手の頭に言葉を送るなんてものもあったが、それこそ数少ない上位の魔法使いにしか使えない。ということで連絡というものはとても重要なのだ。

 そして俺は気になっていた床に散らばった資料を手に取る。もしかしたら、ここに住んでいた人も村の関係者かもしれない。


「なになに、動物の狩りの仕方初級編、猿でも分かるサバイバル術……って、ここに住んでいた人は一般人か」


 俺は一枚一枚手に取りつつ、資料を見ていく。そしてベットの下を覗くと……


「何でエロ本が出てくるんだよ……」


 俺は溜息をついたふりをして、ベットに寝ている少女を確認。彼女が寝ていることを確認すると俺はさりげなくページを開く。すると、どこからのページから、一枚の紙切れが落ちてきた。


 ……何だ?


「■■門■■祠■■■グ■……って、ところどころとぎれ過ぎていて分かんねぇ。なにかの呪文か何かか?」


 俺はそこに書いてあることが分からず、首を傾げながら考える。もしここに住んでいた人物がこちら側の人間ならこの文章はなにかは分からないが貴重な情報源だし、一応持っておこう。ただの他のエロ本の隠し場所じゃないといいが……。

 俺は懐に紙を入れると、もう一度ベットに眠っている少女を見る。


「起きないな……んっ?」


 三体くらいの魔物の気配、しかし超能力者の気配はない。俺はカシウスを出すと、そっとドアから小屋を静かに抜け出した。

 小屋の先には気配通り、三体の魔物。その魔物はスライム。青くて立方体の形をしている。RPGでは初期の初心者モンスターで有名だが、グランシウスではランクが初級だったがその耐久力と粘り強さで殺しにくくて有名だった。しかも亜種の個体では毒液を放つ紫色のやつもいる。しかし、今回は普通のスライムのようだ。


「ちっ、めんどくさいのが……」


 身体強化……『参』


 俺は舌打ちしつつも身体強化をして、冷静に対処していく。

 戦闘が始まると、スライムは縦の一列になって襲って来る。俺は最初の一体をカシウスではじき、残り二体を蹴り飛ばした。しかし、飛ばされた二体が直ぐに立ち上がり、お互いに場所を入れ替えながら接近して来たりして、不規則な動きを見せる。確かにスライムはにょろにょろとした動きが厄介だったが、ここまでの動きはしなかったはずだ。どこかで超能力者が操っているのは間違いない。

 スライムは俺に接近するとその形を拳に変えて、俺を攻撃してくる。俺は真上に跳躍して、それを避けた。


「そらよ」


 そしてスライムは重なって防御を高めようとしたんだろうが遅い。俺は素早くカシウスで重なった二体のスライムをまとめて両断した。スライム二体は黒い粒を出して消滅する。だがこれでは終わらない。最初の半分にしたスライムが元に戻って、ここから離れようとしているところを目撃する。恐らく、操っている超能力者の元に行くつもりなんだろう。そうはいかない!

 俺はさらに加速、一瞬でスライムの前に移動した。そしてスライムの真ん中に、思いっきりカシウスを突き刺す。スライムはもがくがやがて動かなくなり、黒い粒をだして二体のスライムのように消滅した。


「終わったが……アカンな」


 スライムを出してくるとは……敵のチョイスが意外といい選してる。これは村の中の魔物はさらに厄介な魔物たちがいると考えていいな。

 俺はこの先のことを考えて溜息を吐くと、なにやら小屋から女性の声が聞こえてくる。眠っていた少女が起きたようだ。俺はとりあえず彼女に事情を聴くため、小屋に入っていく。

 すると、そこには先ほどのエロ本を見て、赤面している美少女の姿があった。


 やば、エロ本を元の場所にしまうの忘れてた……。


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