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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
二章 呪われし妖刀と闇の魔法使い
32/54

異世界side2

(祝)ブックマーク150、pv70000突破、ジャンル別日刊ランキング入り。ありがとうございます!

投稿ペースは遅いですがぜひこれからも帰還勇者と超能力者をよろしくお願いします。

 ガルシア共和国の首都であるガルシア、その町はずれの静かな森。そこに猫耳を生やしている一人の少女が佇んでいた。彼女の目の前には誰かのお墓がある。そしてそのお墓にある花束の数からそのお墓の人物がどれだけ慕われていたかが分かる。そんなお墓を見ながら彼女は静かに呟いた。


「ご主人様から愛されたあなたが羨ましい。しかし、だからこそ許せない、ご主人様を悲しませたあなたが」


 ____剣聖。かつて、最強と言われた剣士であり、魔王を倒した勇者を育て上げた人物。そう、このお墓はかの剣士のものだ。

 多くの人は彼女に憧れを抱くであろうが、彼女はそう思ってはいなかったようだ。


「お主は会議に参加しなくてよいのか?」


「あなたは……」


 後ろから聞き覚えのある声を聴き、少女は振り返る。そこにいたのは褐色肌で耳がとがっているという特徴を持つ女性……ダークエルフだ。そして彼女は少女と共に魔王を倒すため一緒に戦った仲間でもある。


「お主は今や奴隷ではなく、王族であろう。会議にでなくてはまずいのではないのか?」


「問題ありません。姫……いえ、姉さまの許可は得ています。それに私がでては他の方が嫌な顔をするでしょう」


「分かっておらんなぁ。お主はリリスに続き、平民の希望の星なんじゃよ。そういった会議にでて積極的になるべきではないのか?」


「よく口が回りますね。あなたこそ会議にでなくていいんですか、時の魔女殿」


「ほっほっほ、わしはこれでも忙しい身でね、会議にでる暇もないんじゃ。それに会議にでるのなんて魔王討伐パーティの回復役兼姫様のリリスだけで十分じゃろう」


「姉さまに怒られますよ」


「違いない」


 時の魔女と言われたダークエルフ……アテナは笑う。そんな様子を見て、猫耳の少女であるメリーは溜息を吐いた。


「気楽なものですね、あなたは……」


「そんなことはないぞ。わしだって色々なことに悩まされておる」


 時の魔女と言われているアテナはその名前から色々な人に狙われることもある。目的はその魔女という称号、彼女が抱えている秘術、理由は様々だ。


 しかし……


「……」


「そんな目で見るな。本当のことじゃよ」


「はぁ、本当にあなたはどこか信用できないんですよね」


「失敬じゃの。共に戦った仲間だというのに」


 彼女は無属性の時の魔法を使って戦うが、それと同時に参謀の役割も担っていた。陰で物事を動かすこともお手のものだろう。


「それより、龍太と一緒に異世界に渡ろうとしたと聞いたぞ」


「見ごとに追い払われましたが……」


「それは残念だったの。まぁお主のことだから、ドジなところでもつかれたんじゃろう」


「……クッ」


「図星じゃな」


 アテナは悔しそうな顔をしているメリーを見ながら再び笑った。そんな中、メリーは確信したような目で彼女を見る。


「あなたの力があれば世界を渡れるのではないのですか?」


「わしの?」


 彼女は時の魔法を主に使うが、時の魔法は空間魔法と同じ属性である無属性である。現に彼女が空間魔法を使う姿もないわけではない。


「無理じゃよ。そんな世界を超えるなんていう上位魔法、使えるわけないじゃろ」


「本当ですか……」


「……本当じゃ」


「はぁ」


 メリーはあきらめるように溜息を吐くと、これ以上の追及をやめた。


「まったく、メリーは寂しがりやじゃのー」


「大きなお世話です。それに私はご主人様に誓った忠誠を最後まで突き通したかっただけです」


「本当にそれだけか?」


「もちろんです」


「そういうお主が嘘を言ってるではないか」


「……ですが」


「はい、この話はここまでじゃ」


 彼の話はアテナにより強引に辞めさせられる。もはや、魔王討伐で活躍した彼女のパーティ、その女性陣たちの彼に対する思いはあちらこちらの国民でも知る事実だ。


「あなたはこれからどうするんですか?」


「なに、適当に湧き出てくる魔物を倒しながら、好きなことをするだけじゃ」


「相変わらず、自由なお方ですね」


「そういうお主も頑張るじゃな。リリスをしっかりと支えてやるんじゃよ、ついでににザウルもな」


「もちろんです」


 私は胸を張って答える。魔王を倒した今、国どおしの争いが活発化することは目に見えている。そんな中、彼女たちにより力になってあげられるのは私だけだろう。


「なに、もし国が平和になり、龍太とも再会することが出来たら、サッカーでもやろうではないか」


「……あれはもうトラウマです」


「今度は平和にやろうぞ」


 サッカー。提案したご主人様曰く、安全に仲良く出来るスポーツというものだと言っていたがそれを行った結果、大変なことになりましたが……。


「最初に魔法を使い始めたのはあなたですよね……」


「そうだったか?覚えとらん」


 しらばっくれるか、この婆……。


 ダークエルフはエルフと同じく長命種であり、二百歳まで生きることが出来る。アテナも見た目は二十歳に見えるが本当は百歳を超えていた。


「あの時は一般人の避難が大変でしたよ」


「けが人はでなかったじゃろ。山は消し飛んだが」


「はぁ……」


 これで何回目の溜息だろうか。この人と一緒にいるとホントに疲れる。


「ほっほっほ、長話し過ぎたようだの」


「そうですね。私ももう行かなくては」


 メリーはこの場から立ち去ろうと離れようとするともう一度アテナの方を見る。彼女は強い意志を持ちながら言った。


「私は決してあきらめません」


「そうか、精々がんばるといい」


 メリーはアテナに一言告げると、彼女は町の方に去って行った。


「行ったか……。本当に感が鋭いのぅ」


 すると突然、アテナの懐からなにやら音が鳴りだす。彼女は懐からその音の音源を取り出した。

 それは魔道具。各遺跡から発見させる魔力を持つ道具のことだ。魔道具はそれは高価でとても希少価値が高い。この世界には冒険者という職業があり、彼らはお宝やこの魔道具を遺跡から探し求める。

 魔道具にも沢山の種類がある。アテナが取り出したものは携帯型の魔道具のようだ。


「連絡が来たか。さてさて、わしもそろそろ動くとするか」


 その魔道具の画面……そこには"メラン"という文字が記されていた。


次回は次の章のことを考えるためと作者の都合で、投稿は再来週にさせてもらいます。申し訳ない。

後、感想や評価募集中です。

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