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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
一章 知らなかった世界の真実
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1話 平和な日常

「あー、眠いな……」

「まったくお前はそればっかりだな。夜にゲームでもしてたか?」

「ぼちぼち」


 俺はいつも通り高校に行くために、通学路を親友とともに歩いている。親友の名前は『松田翔太』、俺のたった一人の友達でいつも一緒に登校している。短髪でリーダーシップがあり色々な人から人気がある翔太。さらに彼はバスケ部でもある。この学校のバスケ部は強豪という訳でもなく朝練もないため一緒に登校することができていた。

 異世界に行く前は翔太だけではなく沢山の友達がいたのだが帰ってきた後は異世界に行く前の俺との変化が大きかったことから、付き合い悪いと皆が言いだし俺の元から離れていった。しかしその中で翔太だけが唯一俺と変わらずに接してくれている。


「しかし、お前本当に変わったな。中二の頃はあんなにまじめだったのに」

「色々あるんだよ。色々……」


 ほんと毎日、命かけていれは嫌でも変わるわな。

 ふと脳裏に命がけな日々が過ぎりつぶやいた。


「ふーん」



 二年。俺が中二の頃に異世界に無理やり召喚され元の世界に帰ってきた時間だ。そう向こうでは三年も過ごしたというのにこちらでは一秒も時間が過ぎることはなかった。

おかげで行方不明にならず騒ぎにならなったが逆に個人的に困ったこともあった。それは肉体が世界のころの鍛えられた肉体ではなく、元の中学生の時の肉体に戻っていたことだ。加えて自分の体の変化に対する違和感や異世界の癖が抜けなかった事もあり、俺は異世界で身につけた特別な鍛錬をやり続ける。その結果、再び異世界の頃の俺に近い肉体を手に入れた。このトレーニングを続けていたことも友人達との時間を作るのが難しくなり翔太以外友人がいなくなったことにも繋がる。

 さらにこっちの世界でも聖剣や身体強化の魔法は使える…まぁ使う機会なんてないだろうけど。実際にこの二年間でこの力を使ったことは一度もない。俺の望んでいた平和な日常だ。

 俺がそんな事を思いながら登校していると、もう高校に着いてしまった。俺たちが通っている高校は住んでいる街『桜川市』の中心に位置する『桜川高校』。この高校は歴史が深く、偏差値は平均的な公立高校だ。そして俺たちはその高校の一年生である。

 門の中に入ると一人の女子が俺らに声を掛けてきた。


「君たち、時間ギリギリよ」

「すいません」

「……悪かったな」


 俺たちに声を掛けてきたのはこの高校の生徒会長である『金城由香』。才色兼備、成績優秀、スポーツ万能で恐らくこの高校で知らない生徒はいないだろう。綺麗な黒髪で大和撫子のような感じだ。俺と翔太はすまなそうに会長に挨拶する。


「それと遠藤くん、君は今月中に五回も遅刻しているわね。後一回遅刻すれば、職員室の雑用よ」

「へいへい。分かってますよ」

「すいません会長。ほら行くぞ龍太」

「分かった、分かったよ。だから引っ張るなって」


 俺は翔太に引っ張られて校舎の中に入っていく。しかし、俺は会長とすれ違う時、あの世界の魔力とは違うなにか奇妙な感覚を感じ取る。


……またか。


 会長とは今回以外でも何度も同じ感覚を会う度に感じていた。

 異世界ではこのような感覚は感じなかったし、もう面倒事は御免だったのでいつもスルーしていたのたが……。しかもこの感覚は彼女の他にも何人か感じる。もちろん今回も特に考える様なこともせず、校舎の中に入っていった。




 校舎の入り口から少し歩くと一年の教室が並ぶ廊下に辿り着く。翔太とは別のクラスだったので別れると俺は自分のクラスである一組に入って行った。教室に入るともう殆どの生徒は朝のホームルームの時間が近いこともあり、教室にいる生徒の目が全員俺に向く。恐らく先生が来たのだと思ったのだろう。俺はその視線に気にすることもなく、自分の席に座った。席に座ると、隣の女子が話し掛けてくる。


「また遅刻?」

「ちげーよ。それとそのたくさん遅刻しているみたいな言い方はやめてくれないか?」

「してるじゃない」

「今月はまだ五回しかしてねぇよ」


 俺に話し掛けてきたのは『加藤茜』。こいつとは特に仲が良いわけではなく、隣の席なので必要な時しか話さないような仲だ。しかし何故か俺が授業中などに居眠りしていると起こして来たりする。恐らくとんだ世話焼きか、または俺が怒られる時近くにいる自分も注目されるのが嫌なのだろう。

 さらにまた時間が経つと、担任の先生がやって来て朝のホームルームが始まった。


 ああ本当に……いつもの日常だな。


俺は先生の話しを聞きながら心の中でつぶやいた。




 今日の一通りの授業が終わる。俺は午後の授業でギブアップして最後の授業と帰りのホームルームは見事に眠ってしまった。

 帰りのホームルームが終わると、皆が一斉に話し出すのでうるさくなり俺は一度起きる。しかし今日は翔太が部活で遅くなるし、他に用事もあるわけではないのでもう一眠りすることにした。

 俺が机に伏して眠っていると、隣から誰か揺すって声を掛けてくる。


「もう帰りのホームルーム終わってるよ」

「……すまん、悪いがもう少し寝かせてくれ」

「そっ、なら鍵よろしく」


 声的に隣の席の加藤だろう。


 ……本当にお節介だな。


 彼女は鍵を俺の席に置いていくと、直ぐに教室から出て行く。俺は二度寝したせいなのか、もう眠れる気がしないため俺もゆっくり立ち上がると鍵を持って教室から出た。急いでいたのか加藤の姿はもうない。教室を出て進むと担任の先生と鉢合わせる。


「おっ、遠藤じゃないか。まさかこんな時間まで眠ってたのか?」

「その通りですよ、先生」


 担任の呆れた質問に、俺はドヤ顔で答える。


「はぁ……全く、しっかり睡眠は取ってるのか?」

「……取ってますよ」

「なんだ今の間は。居眠りはほどほどにしろよ」

「善処します」


 ちなみに俺はたまに居眠りしているがテストの成績などについては問題がある訳ではない。学力の方も異世界のブランクもあるのにも関わず、中学の時の猛勉強のおかげで無事この公立校に入学することができた。さらに家で勉強も継続して行っているため成績も普通をキープしている。


「ああ、そうだ。鍵は俺が預かっておこう」

「ありがとうございます」


 俺は担任に会ったついでに鍵を託すと、校舎を出るために校門へと向かった。




 学校から離れるとまだ家に帰るには早い時間だったので、時間潰しに駅前へ向かうことにした。この時間の駅周辺は帰宅する学生や夕飯のおかずを求める主婦が多いので人が多い。

 駅前に着くと、俺は時間つぶしといえばゲーム的な感覚でゲームセンターに入って行く。


「それじゃあ、クレーンゲームでもやるか」


 俺は気合を入れてクレーンゲームをやった結果、見事に時間と金だけを無駄に使うこととなった。


「ああ、くそ。あと少しだったのに……んっ?」


 俺がゲーセンを出て悔しがっていると、道路を挟んだ向こう側に見覚えのある女子生徒を見つける。


 あれは…加藤か?


 この時ふと俺は日ごろから彼女に気持ちよく眠っているところを起こされていることを思い出す。さらに寝起きの俺の顔はひどい顔していたと彼女が笑っていたことも思い出した。


 あの時に俺の事をすごく笑ってたからな、今度は俺があいつの驚いた顔でも見て笑ってやるか。


 俺はそんなくだらない事を考えながら、加藤のいる向こう側の歩道に渡った。


「よしよし。この道は暫く真っ直ぐだからな……尾行しやすい」


 俺はどこぞの警官のように、電柱に隠れながら加藤に近づいていく。もう傍から見たらストーカーや不審者である。


「おっ、信号か。それじゃあ止まっている間に驚かすとしますか……えっ?」


 俺が驚かそうと思い近づいた瞬間、その場に元からいなかったかのように加藤の姿が消えた……。

※2024/11/13

改稿しました。

才色兼備、成績優秀、スポーツ万能

の黒髪大和撫子先輩ヒロインは王道だね

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