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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
二章 呪われし妖刀と闇の魔法使い
23/54

20話 分断

投稿時間をミスってしまいました。申訳ありません。

「なんて数なの!?」


「加藤は後ろに下がってろ」


「……危ない」


 目の前から沢山の炎が私たちを襲う。しかし、今村先輩が私たちの前にで出て、盾を展開して敵の攻撃を防いだ。しかし、まだ相手との距離が遠いのか敵の姿は暗くて確認できない。


「ありがとうございます。今村先輩」


「大丈夫……?」


「ええ、おかげさまで」


「敵か」


 佐藤先輩が舌打ちをしながら、炎を出現させる。


「会長たちは無事でしょうか?」


「無事だろう。それより、敵さんのお出ましだぜ」


 目の前から沢山の足音が聞こえて来る。恐らく、今の私たちを襲った炎は奴らの仕業だろう。私は今村先輩の背中に隠れながら、リングをいつでも発動できるように準備をしておく。佐藤先輩は炎を構え、今村先輩は盾を再び構えた。

 そして、敵が姿を現す。その姿は黒い犬で魔物だろうか?

 だが、驚くべきところはその数。ざっと数えただけでも、三十はいるだろう。


「嘘……」


「ちっ、速く会長たちと合流しなくちゃならねぇっていうのに」


「守りは任せて……」


「攻撃できるのは俺だけか。少し不利か?」


「なんかごめん……」


「なんでてめぇが謝る。謝るんなら自分の仕事をきちんとしやがれ」


「うん」


 佐藤先輩は私に声を掛けると、両手に炎を出現させ、黒い犬たちに向き直った。


「今村、先行してくれ」


「……任せて」


 今村先輩が真っ先に黒い犬に向かって行く。佐藤先輩は今村先輩の後ろから、黒い犬に炎をぶつけていった。


「とっとと、倒すぞ!」


「はい」


「おう」


 佐藤先輩の掛け声に私と今村先輩は大きな声で答えた。







「何故、私は一人なんだ……」


 誰もいない真っ暗な空間に私の言葉が響いた。思えば最近、一人の任務も増えてきたような……。

 私は暗いことを考えつつも、ここにずっと止まってる訳にはいかないので暗い道を歩き出した。


「とりあえず、誰かと合流せねばな……。なんか嫌な予感するし」


 私のそんな一言がフラグとなったのか、突然後ろから重い物が降ってきたような音がこの場に響いた。

 私はおそるおそる後ろに振り返ろうとする。その時に錆びた鉄のような音がしたのは気のせいだと思いたい。

 後ろに振り向くと、大きな岩の塊がそこにあった。大きさは私の二回り……いや、下手したらそれより大きい。確かに私の身長は小さいが、この目の前のものをそこまで大きくないと言う者はいないだろう。

 やがて気づかなかったが大きな岩にある一つの目に赤い光が灯る。その後、岩の四か所から両手両足が現れた。

 そして私は目の前のものがどういった存在だかを思い出す。


「まさかと思ったが……そのまさかとはな。出来れば違ってほしかったが」


 それは校長室にある魔物の資料で見たことがあった。

 RPGではスライム、ドラゴンに続き有名なモンスター。そのパワーと頑丈さは厄介の一言に尽きる。


「思ったより大きいな。さて、どうするか……」


 私はこのでかぶつをどうやって倒すか、作戦を考える。

 Bランクの魔物、ゴーレム。服部は知るはずもないが、異世界グランシウスでもその魔物はあらゆる人々を傷付けた。この世界でも倒すのに超能力者約三人は必要だと言われている。しかし……。

 その大きな拳が服部に襲い掛かる。


「もう本当に最悪。まぁ、でも……」


 私の姿が瞬間移動の如く、ゴーレムの前から消えた。

 私は自身が持ちうる長所の一つ、スピードを持ってゴーレムの拳をかわす。見事にゴーレムの攻撃は空振りした。


「よっと……」


 私は避けた後、崩れた体勢を元に戻す。そんな中、ゴーレムは動きを停止すると突然何もない場所から十数個の小さな岩の塊を生み出した。


「なっ」


 そしてその塊を私に向かって射出させた。私はその塊を目で追いながら、自身の能力を再び発動する。私の周囲に風を強く出現させて、壁を作り防いだ。

 自分の攻撃を防がれたことに驚いたのか、ゴーレムの動きが一瞬鈍る。しかし、私はその一瞬を見逃さない。


「私にはこのスピードがある……のよ!」


 私はさらに加速した。会長の能力の瞬間移動ほどではないが、私は自分の能力の風を使うことでそれほどのスピードを出すことが出来る。もちろん、元々私が速いのもあるが。

 標的を見失ったゴーレムは私を見つけようとするがなかなか見つからない。すでに、私の姿はゴーレムの後ろにあった。


「もらった!」


 私はリングから出した小太刀を、またも能力の風でスピードを上げた斬撃でゴーレムを頭から下半身にかけて真っ二つに切り裂いた。

 本来、頑丈なゴーレムを切り裂くことなど不可能に近いが、これは風を操る能力と自身で極めた速さ、そしてこの小太刀の丈夫さがあってこそ可能なのだ。


「どうやら、倒せたみたいね。とりあえず、会長たちを探さな……」


 私が道を進もうと前を見ると、そこにはゴーレムの軍団がいた。


 ……んっ?


 私は思わず首を傾げる。そして目を擦り、再び同じ方向を向いてみても、やはり目に映ったものは変わらない。


「……」


 私はゆっくり逆方向に向き、逃げるように走り出した。


「何故だ……」


 私の呟きはゴーレムたちの足音の中に消えていった。


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