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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
二章 呪われし妖刀と闇の魔法使い
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18話 転移

「今日は全員集合なんだよね?」


「ああ、そうみたいだな」


 いつも通り朝一人で登校し教室に入ると、真っ先に加藤が声を掛けてきた。どうやら彼女も会長から今日の話を聞いているようだ。どこまで聞いているかは分からないが……。

 俺はとりあえず彼女の声を聞きながら自分の席に座った。


「そういえば、ついに会長のリングが届くんだってよ」


「そうなの!?それは私も知らなかったなぁー」


 加藤は俺の話を聞いて驚きながらも、俺は話を続けた。


「そっか、昨日遠藤は会長と任務だったんだよね。それは知っているはずだよ」


「まぁな。……ていうかお前は何で朝からこんな元気なんだ」


「それはね、昨日の任務で服部さんとだったんだけど、実は彼女も猫好きだったの」


「ほう。その反応から察するにお前も……」


「うん、私も猫好きなんだ。それで……」


 俺は加藤の話を適当に聞き流している内に思い出す。たまに彼女が隣の席で猫の写真をじっと見つめていたことに。

 さらに服部が猫を好きなのにも驚いた。普段はキリットしているが、猫を前にするとよくありがちなにやけ顔になってしまうのか。俺はそんな事を考えているといつの間にか加藤は自分の席に戻っていて、朝のホームルームが始まっていた。






 昼飯を食べる時間になり、俺は母から託された弁当を鞄から取り出した。すると……


「ああー、遠藤は家から弁当持ってくる派の人なんだ。ちなみに私は購買で買う派だよ」


 購買はこの教室……いや、この一年生の棟から離れたところにあるため、一年生のほとんどは家から弁当を持ってくる。何より、お金を掛けないしな。俺も同じ理由で家から弁当を持って来ている。


 ていうか……。


 俺はふと普段はこの時間に聞こえないはず声が聞こえて来る隣の席に視線を移す。


「なんで、俺のところに来る?」


「えっ、いいじゃん仲間だし。後、今日友人が休みなのよ」


 俺はその加藤の友達の席を見てみると、空席だった。だから今日あいつは席から全然離れていなかったのか……。

 俺はめんどくさいと溜息をつく。


「それより、今日のことよ」


「何だ、気になってるのか?」


「もちろん。ねぇ、龍太なら妖刀について何か知ってるんじゃない?」


 加藤は期待を込めた眼差しで俺を見つめて来る。まぁ、全く心当たりがない訳ではないが……。


「……会長たちにも話すから後でな」


「ええー、けち」


「うるせぇ。まぁ、一つ言うとしたら……」


「言うとしたら……」


 俺は自分の過去を思い出し、加藤に一言告げた。


 一波乱あるかもな……と。






 学校の授業が終わり部活動が活発になる時間、校長室では見慣れた面子が揃っていた。見慣れたといっても各個人の話で、全員集合して見るのはこの組織に入って以来のことだ。

 俺たちはそこで会長が口を開くのを待っていた。そして会長がどこからか箱を取り出す。


「皆、今日はもう聞き及んでいると思うけど、ついに私のリングが届いたわ。唯ね……」


「妖刀……なんですよね」


 会長の思わせぶりのセリフに佐藤が反応した。妖刀なんてものだ、何かあると思ったんだろう。もしその妖刀が俺の知るものに近いものだとしたら、彼女たちの予感は間違いではないかもしれない。


「そこで龍太。妖刀について何か知っていることはないかしら?」


 会長の視線が俺へと移った。だがその前に、一応確認しておきたい。


「すまん。とりあえず、妖刀を出してくれないか」


「ええ、分かったわ」


 会長は俺の言葉に頷くと、妖刀のリングを発動させた。校長室全体が黒い光で包み込まれる。すると、いつの間にか会長の手には黒い一本の刀が握られていた。その刀はその道に詳しくない人物でも、素晴らしい刀だと理解出来る。しかしその反面、この場にいる人たちに嫌なオーラを感じさせた。

 だが俺にはある確信を抱かせた。


「やっぱり……」


「何か分かったのね」


「ああ。とりあえず……」


 俺は皆が注目する中、まず異世界に存在した日本の魔剣と聖剣について語り始めた。


「まず、俺が知っている時間の異世界……グランシウスには名刀はあれど俺が持っている聖剣であるカシウス、魔剣であるデスノーツの二本しか存在しない」


「他にはねぇのか。そういう剣っていっぱいあるイメージがあるけどな」


 確かにこの世界では神話などから、色々な聖剣や魔剣があるけどな。しかし、グランシウスにはある理由から二つのみしかない。


「昔は沢山あったみたいなんだが。そして二本しかない理由はたった一つ、どちらも剣自身がそこに至らしめた訳ではなく、別の者の手によって至らされたからだ」


「別の……者?」


「そう、この二本の剣に至っては魔剣は魔神、聖剣は女神が至らせた物だと言われている。だから剣には強力な加護が付き、後世にまで無傷で残っていたとされているんだ」


 そして、俺の言葉に会長が反応する。


「でも、昔には他にもあったんでしょ?」


「ああ、それがこの妖刀に繋がるんだ」


 皆は揃って首を傾げる。加藤に至っては頭から、煙が出ているように見えた。


「実は昔はその二本を再現しようと、魔法使いたちが切磋琢磨していたことがあったのさ。それで一応完成して、この二本の他にも存在していたと言われている。唯、それは昔の戦いなどで全部なくなってしまっから昔に一応存在していたということだ。それに所謂、模作のような物だしな」


「なるほど。ということはこの妖刀は……」


「ああ。俺から見てなにかしら魔法で手を加えられた形跡がある、正に俺が言ったそれだろう。まさか実物を見ることがあるとはな。それにこの魔法の種類は……」


 俺がもう少し近くで見ようと体を妖刀に近づけた瞬間、妖刀から突然最初のリングから出た黒い光よりも、ドス黒い光が校長室を包み込んだ。


「皆……!!」


 会長は全員に支持を出そうとするが間に合わず。光が収まるとそこには誰もおらず静寂だけが残った。






「ほう、どうやら客のようだな……」


 そこは真っ暗な空間。物は部屋の真ん中にLサイズのソファーが置いてあるだけで、他には何も置いていない。ソファーには一人の男が座っていた。

 男は小さく何か呟くと、彼の前に大きなモニターが出現した。彼はそのモニターを見ると、少し驚き突然小さく笑い始める。


「はっはっは、なるほど。大きくなったなぁ、彼の妹か。どれ、どのくらい成長しているか、試してみるか……」


 男はソファーから立つと、部屋の出口へ向かい歩き始める。男の姿は闇の中に消えて行った。


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