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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
二章 呪われし妖刀と闇の魔法使い
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17話 会長の実力

「これで五体目っと!」


「今の魔物で全部ね。お疲れ様」


「そこまで大変じゃなかったけどな」


「Cランクが五体だものね」


「ああ」


 今日は会長と魔物退治に来ているんだが、相手がCランクの魔物五体だったのであっという間に終わった。時間もいつもなら夕方くらいにはなっているのに今はまだ四時くらいだ。

 後、会長の新しいリングはまだ届いていないのか、また新しい刀を使っている。彼女曰く、このレベルの刀なら、ストックで家に沢山あるらしい……なんとも恐ろしい家だ。

 俺が一人会長の家を想像していると、彼女が俺に声を掛けてきた。


「そうだ、龍太。頼みがあるの」


「頼み?」


 俺は振り返り、会長を見る。すると突然、さっきと会長から、戦闘の時の空気が伝わって来た。俺は思わず、身構えてしまう。


「私と決闘をしてほしいの」


「決闘?またどうして」


「あのレットドラゴンを倒した剣の腕を見たら、私も一剣士としては黙ってられないのよ」


「なるほど」


 剣士のプライドか……。


 俺は生きるために剣を振るっていたので、そういう風な意識は薄い。俺は自身の身を守ることを前提として、強くなってきたからな。異世界でも心から楽しんで戦闘したことは全然なかった。

 しかし、会長の頼みだ、簡単に断ることも出来ないし……。


「OK。でも、カシウスじゃなくて、ソウルブレードでやらせて貰う」


「構わないわ」


 会長の返事を聞くと、俺はリングを発動させ、ソウルブレードを出現させた。会長も刀を抜く。


「では、このコインが合図で」


「ええ」


 俺は佐藤の時のように、コインを開始の合図に使う。しかし、会長と佐藤を比べるとやはり会長の方が実力は上だろう。こないだのレットドラゴン戦を思い出すも、彼女の放つ斬撃には驚いた。

 レットドラゴンの表面はとても固く、そこらの剣士では致命傷はもちろん、傷さえつけるのも困難。逆にいえば、それが強さの境目でもあるんだが……。

 俺は思考を止めて、ソウルブレードを何回か振るうと即座に構える。

 俺と会長はコインが地面に着いた瞬間、お互いに向かって加速した。






 誰もいる筈のない空間に大きい空気を切り裂くような音が聞こえる。会長の斬撃の音だ。俺はしっかり斬撃を自分の目で見極めて回避していた。


「さすがね」


「それ当たったら痛そうなんで、避けさせてもらう」


「なら……」


 会長は斬撃が通用しないとわかると、俺に加速して近づき、接近戦を仕掛けて生きた。彼女が刀を振るう。俺は一歩も引かず、彼女の刀をソウルブレードで迎え撃った。


「そら」


「あまい!」


 俺のソウルブレードと会長の刀がぶつかり合う。俺のソウルブレードはビーム状のようなものになっているが、刀を溶かすことは出来ないので、そこは普通の剣と同じである。しかしこの剣には能力があり、相手の生物の心を肉体を傷つけずに切ることが出来る。


「下ががら空きよ!」


「よっと」


 俺は迫りくる会長の剣劇を避けながら彼女の隙、もしくはくせなどを探し、当たりそうな攻撃は丁寧に捌く。しかし、なかなか見つからない。俺は心の中で舌打ちをする。すると、ついに彼女の剣が当たり、俺の頬に傷を付けた。

 俺は直ぐにバックステップで下がり、距離を取る。


「やりますね」


「私の剣はこんなもんじゃないわよ」


 会長は離れている俺からさらに一歩下がると、抜いていた刀を再び鞘に戻す。俺は一瞬彼女の突然の行動に首を傾げそうになるも、俺は嫌な予感を感じ、右に勢いよく体を動かす。彼女は刀を再び抜いた。するとさっきよりも大きな斬撃が地面のアスファルトを削りながら俺に向かってくる。


「金城流剣術……四の太刀『抜刀』」


「殺す気か!?」


「あなたならこのくらい大丈夫でしょう?」


 彼女は問題ないとばかりに攻め続けて来る。今ようやく気づいたが、彼女は戦闘を心から楽しむ戦闘狂のようだ。


「そら」


「なっ」


 会長は俺が大きな斬撃を避けて怯んでる隙に俺に再び接近してきた。俺はなるべく彼女に技を出させないように、鋭い剣劇で彼女を迎え撃つ。しかし、会長はさらに速度を上げる。


「遅い」


「ちっ、速くなったのか」


「私が学んでいる金城流は足運びにこそ重要とされている。瞬間移動だけと思ったら痛い目見るわよ。それにまだまだスピードは上がるしね」


「恐ろしい」


 しかも、会長はまだここまで自身の能力である瞬間移動を使っていない。だが、それはこちらも同じ。


 身体強化……弐


 俺は身体強化の魔法を使い、会長のスピードの上をいった。


「やるわね……でも」


 すると、会長の姿が突然、俺の視界から姿を消す。瞬間移動だ。俺は視線で彼女を探そうにも、追いつけない。


「こっちよ」


 会長の声が聞こえてくる。彼女は瞬間移動で俺の真横……ちょうど死角に移動したようだ。すでに目の前に現れた時にはもう技の準備は終えていた。


「金城流剣術……二の太刀『逆流』」


 会長の下から突き上がってくるような一撃が俺を襲う。だが……


 身体強化……参


 俺はもう一段階ギアを上げた。俺は会長の一撃を回避して、左に避ける。しかし、またしても会長は俺の死角に移動した。


「……」


 見えない……なら


 俺はソウルブレードを持ちながら、体の力を抜き自然体になる。だが、会長の攻撃は止まることはない。しかし、俺は見える筈のない死角からの一撃にカウンターを重ねた。


「嘘!」


 会長も思わず驚きの声を漏らす。そしてソウルブレードは吸い込まれるかのように、会長の体にヒットし彼女はそのまま意識を失った。






「うっ、ここは?」


「おっ、目を覚ましたか」


 俺は会長が目お覚ますと、異常はないか声を掛けた。会長は辺りを見回すと、手で頭を抑えながら大丈夫だと答える。


 ……良かった。


 一応肉体的にはダメージはないはずだが、もしものことがあるからな。

 俺は次に今の状況を説明した。


「とりあえず会長が目を覚ますまで反転世界を出て、近くの公園で待機してたよ」


「そう、ごめんなさい。もう大丈夫よ」


「なら、良かった」


 俺は安心した声を出すも、話を続ける。


「私、負けちゃったのね」


「ええ。でも会長、グランシウスでも上位の強さですよ。俺と違って才能あるし」


「そんな龍太くんこそ、才能あるんじゃないの?」


「いやいや、師匠に真っ先に言われましたよ。俺の強さはあくまでも経験から来てますから」


「さすが、魔王を倒した勇者様ね。それにあなたの師匠にも興味あるわ」


 会長は俺の師匠に笑顔で聞いてくる。俺は自分の師匠について軽く説明した。


「そうですね……世間からは『剣聖』なんて言われてたけど、俺から言わせてもらうと唯の酒好き女だな」


「結構厳しく言うのね」


「まぁ、でもいい師匠だったよ。ホントにね……」


 この時の俺の顔は一体どういう顔をしていただろうか。それは会長しか知らない。







「いい話を聞けたわ。ありがとう」


「いえいえ。それと今日はもう解散でしたっけ?」


「そうよ。学校には私一人で戻っておくわ。まだやることもあるし」


「了解」


「明日はメンバーは全員校長室に集合よ」


「全員集合?珍しいですね」


 正直、もう直ぐ一ヵ月この支部で活動していて分かる事だが、皆それぞれの任務に行くのでメンバーが全員集合することはめったにない。なので俺は思わず緊急事態ではないかと、身を構えてしまう。


「ああ、ごめんなさい。別に緊急事態という訳ではないわ。まぁ、重要な物が届くの」


「重要な物?ああ、もしかして……」


 すると会長は笑顔で待つわびた子供のように言った。


 自分のリングである『妖刀』が届くと……


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