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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
二章 呪われし妖刀と闇の魔法使い
19/54

16話 師匠

遅くなって本当に申し訳ありません。活動報告でも書きましたが、二章やこれからの方針を考えてたら、二ヵ月以上も空けてけてしまいました。また木曜の朝六時に一週間に一回更新で頑張っていきます。

それと遅くなりましたが累計pv2万越え、感想ありがとうございます。これからも帰還勇者と超能力者をよろしくお願いします。


『才能?』


『うん』


『お前にあるはずないだろ、バカだなー』


『なっ』


 夢を見た……そう、それは懐かしき記憶。まだ世界を救った一人の勇者が唯の一人の少年で、異世界最強の剣士である『剣聖』に荷物持ち……いや、師事していた頃の夢。師匠は女性で、俺が異世界……グランシウスに来てから右も左も分からず死にかけていた自分を拾い救ってくれて、さらに一年の間彼女は俺に剣とこの世界のことを教えてくれた。

 正直、彼女の特訓は地獄かと思うくらい辛く、死にかけたこともあったが自分は強くなることが出来た。まぁ、彼女ほど強くはなれなかったけど、それでも彼女のおかげで俺はあの世界で上位にくいつくほどには強くなったと思う。もちろんただ辛い日々だっただけではなく、楽しい日々でもあった。この時も元の世界に帰りたいという思いがあったにも関わらず、俺はこの時間がずっと続けばいい……なんて風な矛盾を抱えるほどに。

 しかし、そんな日々はある日当然に幕を閉じた。いつもの旅の途中に突然、ある男に決闘を挑まれ師匠は命を落としたのだ。師匠は相手の異常性を理解すると俺を下がらせ決闘を承諾した。

 今でも、あの光景はグランシウスの魔王討伐の時よりも鮮明に覚えている。彼女を殺したのは魔族の男で後から知ったのだが、魔王幹部の最強の剣士。

 師匠と奴との戦いは恐らく剣士同士の戦いの中でも、誰からも分かるほどに熾烈を極める戦いだった。いや、普通の人では戦いすら視界に収めることが出来ないな……。

 戦いが終わり、奴は彼女に刺した魔剣を抜くと呆然としている俺を見て何故か大笑いをし始める。そして、こちらにやって来て俺の耳元に一言呟いた。


『強くなれ、この女のようにな』


 奴はその一言を告げると、音もなく姿を消す。奴が強くて師匠が弱かった。そして何よりも……。

 俺は悔しさと悲しさという感情が混じり合い、ただ彼女の亡骸を眺めることしか出来なかった。






 師匠を失い一ヵ月後、世界は魔王軍の侵攻が強まり、世界は危機に瀕していた。それはガルシア共和国でも変わらない。

 なので、ガルシア共和国はついに自国にある聖剣の封印を解く決意をした。しかし、聖剣の封印を解くだけでは扱うことは出ない。真の所有者を見つけない限りは……。

 そして『剣聖』の弟子という表向きな理由から、俺がガルシア共和国から魔王を倒すために聖剣を抜く候補として招集が掛かった。


『あのような男に聖剣が抜けるはずが……』


『まったくけがらわしい……』


『何故、剣聖はあのようなどこの馬の骨かもわからない男を弟子にしたのか?』


『……』


 周りからはこの場にいる俺を批難する声がたくさん上がっていたが、俺は気にすることなく聖剣を抜く。しかし、俺がこの聖剣を抜いた時に占めていた感情は師匠を殺した者が魔族と知ったからかほとんどが復讐心で満たされていた。






 俺は朝の眩しい太陽の光を浴びて、目を覚ます。どうやら、またしてもグランシウスの夢を見ていたようだ。


「俺は強くなったよ……ディアナ」


 俺は一人師匠の名前を呟いて、ベットから起き上がった。





「魔物は?」


『前方に一匹、その左右に二匹。どれもBランクです……気を付けてください』


「了解」


「はりきって、燃やすぜ」


「落ち着け。今回、この場の指揮は俺に任されてる」


「ちっ、気にくわねぇが……会長の命じゃ仕方ない」


「もう、こないだのようなことはないようにしてくださいね……」


 俺は今日、佐藤と加藤とともにCエリアに来ている。Cエリアは学校から南に離れていて、海の近くだ。直ぐそこに海が見える。

 そして、今日は反転世界の視界が霧で覆われているので、霧島が敵の場所を伝えるなど、サポートを行ってくれている。

 俺は仲間二人の様子を伺う。佐藤は両手に自身の能力で炎を出現させ、加藤は俺と佐藤の後ろに下がって自身のリングの能力である回復を使えるように準備している。

 次に俺はいるであろう前方のBランクの魔物たちの方を見据えた。姿は見ないが、霧島の支持と、俺が気配を感じているおかげで、大体の位置が分かる。霧島は俺と同行することは少ないが、何故かこうやってサポートとして、校長室から連絡してくることは多い。会長の考えだろうか……。

 そして、このメンツの中で気配を察知できるのが俺だけということで、今回の指揮を会長から任されたということだ。

 俺は頭の中でどう二人に指示を出すか考えていると、前方にいた魔物一体が動き出した。俺は直ぐに、佐藤に攻撃の指示を出す。


「佐藤、前方の魔物が動いた。前に広範囲で炎を撒いてくれ」


「はいよ」


 佐藤は俺の支持を聞くと、指示通り前方に炎を撒いた。すると、目の前に燃え盛る炎の壁が出現する。すると、同時に魔物の悲鳴も聞こえてきた。見事に今の攻撃がヒットしたようだ。ここでふと俺は上から他の二体の気配を感じとる。


「俺が前に出る。佐藤はもしものために加藤を守ってくれ」


「おいおい、大丈夫かよ」


「問題ない……よ」


 俺は佐藤に声を掛けると同時に、聖剣であるカシウスで飛んでくる二体の魔物を一閃した。


「ちっ、一体倒し損ねたか」


 俺は舌打ちすると、俺の横を通り過ぎようとしている魔物を目で捕らえた。魔物はスピードは遅いものの、防御は高いらしく、加藤の方に向かって行く。


 ……逃がさない


 俺は足で踏み込み、体の向きを前から後ろへ変える。さらにその流れで身体強化の魔法を使う。


 身体強化……参


 俺が魔法を使うと、俺の姿はその場から消えて加藤の前に移動した。


「佐藤、同時攻撃だ。恐らく、固いから二人で攻撃すれば確実に倒せる」


「分かってるよ」


 俺は佐藤の返事を聞くと、カシウスを構えて体中の魔力を一点に集中する。佐藤の様子を見ると、彼も手に持つ炎を大きくしている。

 そして、ついに魔物がやってきた。

 俺は佐藤の方を見て、攻撃の準備を終えているのを確認する。どうやら、準備は終えているようだ。

 俺と佐藤が同時に魔物に向かって走り出す。近くに行くと、魔物の姿が見えてきた。どうやら魔物は翼があるトビウオでトーボという魚の形をしている魔物だ。しかし、そのトーボはCランクの魔物だが、こいつは普通のトーボより少し大きくて固い装甲を纏っており、Bランクになっている。

 俺は力を込めてカシウスで切り込み、佐藤は炎ぶつけた。さすがのBランクの固い装甲を持つトーボといえども、この攻撃には耐えられなかったらしく、黒い粒となり消えていった。


「目標の三体を討伐。任務完了だな」


「なにが任務完了だ。なんであいつを俺一人に任せなかった?」


「んっ?ああ、あれは二人の方が確実だっただろ」


「なんだと!?」


「まぁまぁ、落ち着いて。佐藤先輩もだけど、龍太もだよ。もう少し、周りを頼ってもいいんじゃない?」


「そうだな……。すまん、少し先走りし過ぎた」


 俺は申し訳なさそうに頭を掻きながら、二人に謝った。どうやら、今朝の懐かしい夢のせいか、少しおかしくなってたようだ。

 それと加藤だが何故か彼女もレットドラゴン件以来、会長と同じく俺を下の名前で呼ぶようになった。


「別に気にしてねぇよ」


「もう、分かればよろしい……んっ?」


 加藤が俺の手を見ると、少し固まった。なんだ……あっ。俺は彼女が見ている俺の手を見ていると、少し掠ったのか血が出ていた。


「あー、怪我発見!直すね」


「ああ、ありがと」


「いやー、二人に付いていくとなかなか怪我しないから、仕事がなかったのよね~」


 加藤はテンションが高くしながら、俺の傷をリングの力で治療する。すると、霧島から連絡が入った。


「はい、こちら遠藤」


『どうやら、無事討伐できたみたいですね」


「ああ。それとここから一回そっちに戻った方がいいか?」


『あっ、えっと。私がこのまま報告しておくので皆さん帰っても大丈夫ですよ。後、明日遠藤くんは会長と一緒に行動してもらいます。他の二人は私と共に校長室で待機です』


「「「了解」」」


『では、皆さんお疲れ様でした』


 俺たちは通信を終えると、反転世界から元の世界に帰って行った。




 元の世界に帰ると、加藤が真っ先に口を開いた。


「はぁ、終わった、終わった。そうだ、この後、三人でご飯とかどうですか?」


「俺はパス」


「俺もだ」


「ええー」


 俺は文句言っている加藤を無視し、二人に別れを告げて家に帰って行った。



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