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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
一章 知らなかった世界の真実
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13話 レットドラゴン

 俺たちの前に、突如としてレットドラゴンが姿を現しす。しかし加藤と佐藤が混乱している中、俺はレットドラゴンの近くで感じた別の気配を目で追っていた。


「……っ、あそこか!」


「……」


 俺はフードを被った人影を見つけて、そこに向かおうとすると、そこにいた人影はもう姿を消していた。


「逃げられたか……。だが今は」


 俺が謎の人影を逃がして舌打ちしていると、佐藤が俺に声を掛けてきた。


「おい遠藤、一旦引くか?」


「ああ。会長たちに連絡しなくちゃいけないしな」


 俺は携帯で連絡を取ろうとする……しかし。


「……圏外だと」


「なに?」


 この反転世界でも携帯が使えるはずだが、今回に限り使うことが出来なかった。


「嘘……」


「今度はどうした?」


「ゲートが開けないの……」


 俺の次に元の世界に繋がるゲートを開こうとしていた加藤が声を出した。


「なら俺がカシウスでゲートを開いてみる」


「お願い」


 俺はカシウスを出現させ、次元を断ち切ろうとする。しかしその途中、何か見えない壁のようなものに阻まれた。おいおい、嘘だろ。

 俺はこれと似たような体験をグランシウスでも、経験したことがある。そして先ほどの人影が脳裏に浮かんだ。


「なるほどな……」


「おい、何で出れないんだよ」


「どうやら、俺たちは結界で閉じ込められたらしい」


「結界って……」


「嘘だろ……」


 加藤と佐藤が驚きで、固まっている。俺は先ほどまで謎の人影があった場所を睨みながら、二人に告げた。


「さっきあそこに謎の人影を発見した、恐らくそいつの仕業だろう。レットドラゴンは結界を張ることなんてはできないからな」


「ちっ、誰だか知らないが面倒なことしてくれたぜ」


「まったくだ」


 俺と佐藤は二人でやれやれと、溜息を吐く。まぁ、溜息を吐ける状況じゃないんだがな。すると加藤が俺に声を掛けてきた。


「これからどうするの?」


「幸い、この結界は中だけに働いているみたいだ。まぁ、回復役がここにいるんだし、会長たちが気づいて駆けつけて来るまで時間稼ぎかな。それか反転世界のあちこちまで逃げるか」


「後者は却下だな。このドラゴンが暴れて、もしも現実世界に影響が出たらまずい」


「だよな……。結局やるしかないか」


「はっ、足引っ張るなよ」


「そっちこそ」


「怪我したら直ぐに私のところに来てね」


「ああ、期待してるぜ」


 俺は加藤に声を掛けると、右手にカシウスを、左手にソウルブレイドを持ち、身体強化の魔法を使った。


 身体強化……『参』


 俺は両手に炎を生み出している佐藤とともに、レットドラゴンに向かい駆け出す。レットドラゴンはそんな俺たちに応えるように、大きな雄たけびを上げた。







「ちっ、硬いな」


「佐藤。首の下か、腹を狙え。うろこがあるところは硬いからな」


「おう」


 俺はなかなか攻撃を通すことが出来てない佐藤に、レットドラゴンの弱点を伝える。そんな中、俺はどうやったらこの状況を打開出来るか、一人考えていた。

 俺が単独でこのレットドラゴンを倒すには、身体強化を後二段階上げる必要がある。しかし、今の俺ではギリギリ後一段階上げるのが限界だ。しかも、その強化は長くもたないので、今直ぐには使えない。


 火力が足りないか……。


 そんな時、俺は会長たちを思い出した。俺のカシウスの斬撃を入れたチーム全員の火力なら、レットドラゴンを倒せるかもしれない。昔はレットドラゴンとの戦いで多くの被害を出したが、今回はリングがある。前のようにはならないだろう。

 俺がレットドラゴンを倒せる可能性を考えた時、奴の炎のブレスが俺を襲った。


「熱い……な!」


 俺は迫ってきたブレスをカシウスで横に薙ぎ払うと、レットドラゴンの懐に加速して潜り込む。そしてレットドラゴンの腹にカシウスとソウルブレイドで二連撃をかました。

 レットドラゴンは短く悲鳴を上げると、俺にでかい爪で引き裂こうとしてくる。俺は一歩後ろに下がり、その攻撃を避けた。


「おらーーーーー!」


 すると、後ろから佐藤が俺にお構いなしに、炎をレットドラゴンに勢いよくぶつけた。おいおい、危ないな。


「うし、やったか」


「やったかじゃねぇ。もう少しで当たるところだったぞ!」


「まっ、勇者だしこのくらい避けれるだろ」


「それは関係ない」


 俺と佐藤が口論をしていると、レットドラゴンは俺たちではなく、奥にいる加藤を見た。


「おい……糞、加藤逃げろ!」


「ちっ……」


 加藤は最初は後ろの方に隠れていたが、俺たちの戦いを眺めている内に、無意識に前に出て来てしまった様だ。俺は精一杯加速して、加藤の元へ向かおうとするが、間に合わない。

 そしてレットドラゴンの炎のブレスが加藤を襲った……しかし。その瞬間、突風と一閃が見事にブレスをはじき、中から四人の人影が姿を現した。


「間に合ったみたいね」


「……良かった」


「ふん、無事のようだな」


「皆さん、怪我がなくて良かったです」


 そこには、会長を筆頭に残りのメンバーの姿があった。


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