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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
一章 知らなかった世界の真実
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11話 俺はお前を認めねぇ

「変な夢を見た?」


「うん……」


 俺はいつも通り登校し、教室に入って自分の席に座ると、加藤が声を掛けてきた。話を聞くと、昨日の夜、なにやら反転世界に黒い大きな巨人が現れた夢をみたらしい。普通に聞けばあほみたいな話だが、加藤には予知能力がある。ということは、能力で見た夢なんだろう。会長に反転世界で発見された魔物のリストにはそんな魔物はいなかったし、グランシウスでも見たことはなかった。


 黒い巨人……なんか、嫌な予感がするな。


 しかもこれが彼女にとって初めての能力の発現だという。うわー、不吉だな。


「そこに誰か人はいたか?」


「いつものメンバーだったんだけど、何人か知らない人がいたんだよね。ぼやけていたから、よく分からなかったし。あっ、後遠藤が何故かいなかった」


「俺が?」


 俺がいなかったか……他の任務でも行っていなかったのか、あるいわ……。俺は最悪の可能性を考えて、直ぐに首を横に振った。


「どうしたの?」


「嫌、何でもない」


 加藤はなんか心配そうな声を掛けてくるが、俺はいつも通り軽い感じで答える。このことは校長室に行ったら一応、会長にも伝えるそうだ。

 そしてこの後、先生が教室にやって来て朝のホームルームが始まった。






 今日の授業が一通り終わると放課後になり、いつも通り加藤と二人で校長室に向かった。その途中加藤が俺に話し掛けて来る。


「そういえば昨日私、霧島先輩と任務に行ったんだ」


「へー」


 霧島か……。俺がまだ一緒に任務に行ったことのない人はその霧島に、会長、そして佐藤だ。霧島は第一印象は暗い感じで、初めての戦闘での射撃が印象に残っているな。


「どんな感じだった?」


「少しおどおどしてるけど、とてもいい人だったよ」


「なんか教わったのか?」


「リングの使い方とかね。結構使えるようになったんだよ」


「ほー、それは期待していいのかな」


「ふふふ、もちろん」


 加藤は笑顔で答える。さてさて、どこまで回復できるのやら。


「ところで服部先輩はどうだった?」


「服部?ああ……」


 俺は昨日の戦いを思い出した。


 ……速かったな。


 恐らくこのメンバーの中でも素の速さだったら、一番速いだろう。うまく風の能力も使ってたしな。技は中二臭かったけど……。


「……ああ、小さい癖にプライドがあったな」


「後は?」


「忍者だったぜ」


 確かに忍者だった……姿は。


 俺は少し加藤の中で服部のイメージを無駄に大きくする。なんか加藤の眼差しが、期待の眼差しになっているような……気のせいだろう。俺はこのことが面倒事にならないよう心の中で祈っておいた。






 俺と加藤が校長室に入るとそこには会長と佐藤がいた。佐藤は相変わらず俺のことを睨んでいる。本当に俺は何かしただろうか。

 部屋に入ると加藤が会長に、早速昨日に見た夜の夢について話した。


「黒い巨人ね……」


「会長、心当たりでも?」


「さっぱりだわ」


「だよな」


 なにやら会長は考える素振り見せたので、もしかしたらと思ったのだが……まぁ、知らないよな。


「しかし、夢ね……とりあえず本部の方には私から伝えておくわ」


「お願いします」


 確か本部には研究室とかあるんだよな。地味に見てみたい。俺は一人、二人の話を聞きながら、本部について考えていた。






 加藤の夢の報告を終えると、俺は今日の任務について会長から聞いた。


「今日は遠藤くん、佐藤くん、加藤さんの三人で任務に行ってもらうわ」


「内容は?」


「魔物の討伐よ。AエリアでCクラスが三体」


「了解」


 俺は会長の話を聞いて頷く。隣にいた加藤は自分の実力を俺に見せられると、張り切っているようだ。


「早速、拝見できるな」


「ふふふ、楽しみにしててね」


 加藤の話を聞くと、俺は今日もう一人のパートナーになる佐藤に声を掛けた。


「今回はよろしく」


「……ちっ、俺はお前を認めねぇー」


 佐藤は俺に一言吐いて、先に任務の場所に向かった。すると会長が少し暗い表情で、俺に謝ってくる。


「本当にごめんなさいね……」


「いえいえ、ぜんぜん問題ないぜ」


「なんかあの人、遠藤のことずっと」


 俺はお前を認めねぇー……か。俺は本人と他の人から話を聞き、佐藤が俺を嫌う理由が見えてきた。しかし、こればかりはどうしようもないので、暫く放置することに

 決めた。

 俺と加藤は少し嫌な空気のまま、佐藤を追う形で反転世界のAエリアに向かった。






 俺と加藤がAエリアに向かうと、ちょうど佐藤が両手に火を出していて、その前の方にいた三体の魔物が黒い粒になり、消えていくところだった。

 どうやら、もう戦闘は佐藤一人で終わらせてしまったようだ。



「えー」


「おいおい、一人で終わらせるかフツー」


「……」


 佐藤は俺たちの言葉を聞いても、何も答えない。そして佐藤は俺の方に向いた。


「遠藤……俺と戦え!」


 佐藤は力強い言葉で、俺に戦いを挑んだ。

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