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帰還勇者と超能力者  作者: 厨二王子
一章 知らなかった世界の真実
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8話 チーム一の巨体

今回の話は、少し長いです。

「おい、遠藤。お前目にクマはってんぞ、大丈夫か」


「ああ……大丈夫、大丈夫……」


「全然大丈夫には見えないぞ」


 俺は朝の学校への通学路を、翔太と共に歩いていた。今日の登校時間は翔太の朝練の時間に合わせた関係で結構速い。


「俺の朝練の時間にわざわざ付き合う必要はないんだぞ」


「いや、別に大丈夫だって」


「でも……」


「んじゃ、お言葉に与えてこれからはいつもの時間にさせてもらうわ!」


「おい、そこは付き合うところだろ……」


 俺は一瞬翔太に曇った顔を見せ、直ぐに明るい顔を見せた。それを見た翔太は溜息を吐く。そして翔太がそういえばと思い出すようにつぶやいた。


「お前部活中に、会長と加藤と一緒に歩いてたけど、何かあったのか?」


「何かあったのかってお前。なんか俺がやらしたように聞こえるんだが」


「えっ、そうなんじゃないのか?」


「違うわ!ちょっと色々あってな……」


「色々ねぇ……問題だけは起こすなよ」


「起こさないわ!」


 翔太は俺をからかうと、ケラケラ笑う。


 はぁ、朝からこんなペースか……疲れるな。


 翔太は笑い終わると真面目な顔をしてこちらを見てきた。


「いや真面目にお前さ、俺以外にしゃべる奴いないだろ、だから純粋に嬉しんだよ。数少ない友人として」


「翔太……」


 俺は翔太の言葉を聞き、感動する。


「じゃあ、こないだ借りたお金返すの来週でいいか」


「……やっぱさっきの話なし」


 俺は翔太と楽しく話しながら、今日の登校時間を過ごした。






 時間は過ぎて昼休みになり、俺と翔太で昼飯を食っている。


「わりぃ、遠藤。今日も部活遅くなるから、先帰ってくれ」


「ああ。ていうか、今日も会長のところに行かなくちゃいけないんだよな」


「会長のところね……ん?、あー思い出した!」


「なんだよ、突然でかい声出して」


 突然食事中にも関わらず、翔太が大きな声を出す。俺は思わずその声に驚き、箸を落としてしまった。


「ばか!突然でかい声を出すな。箸落としちゃったじゃないか」


「わりぃ、わりぃ。思い出したんだよ、会長の噂」


「噂?」


 噂ねぇ……なんとなく、予想はつく。


「会長……実はなんかの宗教に入ってる疑惑があるんだ」


「……は?」


 思わず変な声出ちまった。しかし宗教…宗教ね。あながち間違ってはないかも。


「会長のところに最近行ってるってことはお前もそこの宗教に参加してるんだろ」


「いや……ちょっ」


「まっ、お前が何しようが勝手だが俺は巻き込むなよ」


 翔太は笑いながら、俺に一言告げる。宗教ではないが、危険な魔物や超能力者たちの戦いに巻き込むわけにはいかない。


「巻き込まないよ、絶対……」


「……そうか。頼んだぜ」


 俺は翔太に一言告げると、落とした箸を洗いにトイレの近くの水道に向かった。







「…まぁ、こんなもんでいいだろ」


 俺は落とした箸を洗い終えると、水道から離れようとする。すると、見覚えのある顔が目に入った。


「んっ、もしかして今村か?」


「あっ……遠藤くん」


 そこには遠くからでも分かる巨体で、チームの壁役である今村がいた。


「トイレ?」


「箸……落とした」


「なんだ、俺と一緒だな」


 はっはっはと俺は大きく笑うが、今村は口元を少し動かして小さく笑った。というか少し怖い……。


「やっぱそんな体だから、弁当もたくさん食うのか?」


「弁当……三箱」


「そ、そうか……」


「……」


 やっぱ食うな……ていうか、会話が続かない。

 俺が次何話そうか考えてる中、今村は一人黙々と箸を洗っている。


「なあ、今村は何で戦ってるんだ?」


「……戦いダメ……皆傷つく。だから……止める」


「なるほど……なんか分かった」


 見るに今村は恐らくあのメンバーの中でも、ずば抜けて優しい性格をしているのだろう。それ故に皆を守れて、敵に攻撃する回数が少ない壁役をしているのだろう。


「良いことを聞けたよ。そうだ、今日は放課後いるのか?」


「……いる」


「OK、じゃあ、放課後に」


 俺は今村に一言告げると、その場を後にした。






 時が過ぎて、放課後になった。俺と加藤は昨日のように校長室に向かう。

校長室に入ると、会長と今村の姿があった。


「来たわね、二人とも。今日から二人は、別々のことをしてもらうわ」


「了解……っで、何すればいいんだ?」


「遠藤くんは今村くんとともに、Bエリアの魔物の討伐をお願い。加藤さんは私とリングに使い方を確認しましょう」


「わっ、分かりました」


「はいよ」


 加藤は会長の言葉を聞き、緊張して答える。たいして俺は会長に返事をすると、今村のところへ行く。


「今日はよろしくな」


「うん……よろしく」


 この後、俺たちは陣形など確認しながら、魔物がいる反転世界のBエリアへ向かった





 Cエリアは市の南にある海の方面で、俺たちは浜辺の方に来ていた。夏になるとこの辺は観光客でいっぱいになる。しかし、今は夏でもないし、そもそも反転世界なので人なんて俺たち以外、一人もいないが……。


「魔物の気配がするな。Bクラスが一体、Cクラスが二体かな」


「レーダーでも……同じ反応が出てる。すごいね……気配で分かるなんて」


「まぁ、慣れみたいなものだな。それに危険察知は、師匠に最初に教えてもらったことだからな」


「師匠がいたんだ……」


「ああ、弟子思いのいい師匠がな」


 俺はグランシウスのまだ勇者になる前のことを思い出す。ひたすら、師匠にしばかれたからな。あれはとても辛かった。


「それより、魔物さんのおでましみたいだぜ」


 俺が一言告げると、突如黒い霧が出てきて、三匹の魔物が姿を現す。現れた魔物はゴキブリの形をした魔物が二体、カブトムシの形をした魔物が一体いた。


「ゴキウスとカブトスか……」


「それが……あの魔物たちの名前」


「ああ、ゴキウスはともかく、カブトスの大きな角には注意だ」


「了解……」


 俺はカシウスを出し、今村は自分のリングから大きな盾を出し構える。俺も会長から貰ったリングを使ってみようと思ったが、Bクラスの魔物が相手なので、カシウスを使うことにした。


「行くぞ!」


「うん……」


 俺の掛け声とともに、俺と今村は突っ込んでいく。今村が戦闘で、俺がその後ろに張り付いている感じだ。それと今村はあの巨体の割に、動くのが速い。おかげで俺もスピードが出せる。すると、向こうもゴキウス2体が突っ込んでくる。その二体の突進を、今村が自慢の盾でがっしりと受け止めた。


「うらぁーーー!」


 今村の力強い声が、この場に響く。


 俺は今村がゴキウス二体を抑えている間に、身体強化の魔法をかける。


 身体強化……『弐』


 身体強化の魔法をかけた瞬間、俺のスピードは加速する。俺はすぐさまゴキウスの背後をとり、二体の体を真っ二つにした。


 ……これで後は、カブトスだけだ。


 ゴキウス二体がやられたからなのか、今まで動いていなかったカブトスが動いた。カブトスは背中についている羽を振動させると、加速してこちらに向かってくる。


「僕が止めるから、遠藤くんは……横からお願い」


「OK」


 俺は今村に返事をすると、身体強化をもう一段階上げた。


 身体強化……『参』


 俺がまた魔法をかけている間に、今村が必死に敵の攻撃を止めくれている。俺はさらに加速し、カブトスの背中を捕らえた。


「くらえ!」


 俺は手に力を入れ、カブトスの背中を切る。カブトスの背中に、少しヒビが入った。俺たちは一度、カブトスから離れ、体制を立て直す。


「ちっ、やはり固いな。奴の弱点は装甲が薄い、下部なんだが……」


「それなら……僕に考えがある」


「マジか!」


 俺は今村の提案を聞いてみる。聞くと今村がその大きな盾をカブトスの下に挟み、思いっきりひっくり返しす。そして俺はその瞬間、上空から一閃し、カブトスを真っ二つにするという作戦だ。即採用!


「よし、それで行こう」


「……分かった。じゃあ、行くよ」


 今村は俺に一言告げると、その巨体の割に速い足を使い、カブトスとの距離を詰める。カブトスもスピード全快で突っ込んでくる。そして、今村はその突進を受け止めた。


「さてと……」


 その間に俺は足に魔力を貯めていく。


「ふん!」


 今村はカブトスとの長いせめぎ合いの末、カブトスを前へと突き離す。カブトスのバランスが崩れた。今村がその隙を見逃すはずもなく、カブトスの下に大きな盾の先端を挟む。


 ……今だ!


 俺はこのタイミングで大きく跳んだ。そして今村は思いっきり、カブトスをひっくり返す。カブトスは元の体勢に戻ろうとするが、今村が抑えているため、

戻ることができない。


「止めだーーー!」


 俺は上から落ちる衝撃を、利用してカブトスの胴体を一閃。今村は当たる瞬間後ろに下がる。俺の攻撃を食らったカブトスは、ゴキウス同様真っ二つにされ、黒い霧となり、消えていった。


「ふー、終わったな」


「無事……任務完了」


 この後、俺たちは学校の校長室に戻り、会長に無事任務を終えたことを伝えると、それぞれ家へと帰っていった。


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